ひょこり
「なにもエピソードがなくて......」15歳のメインクーン「しずく」(メス)を前に申し訳なさそうに語るのは、飼い主の昭俊さん・美穂さん夫妻(神奈川県在住)。とは言え、本人たちも気づいていない隠れご長寿ポイントがきっとあるはず! まずは、しずくさんの生い立ちからお話を伺いましょう。
猫生活は突然に
今から15年前――、夫妻の長女と次女がまだ小学生の頃。「猫が欲しい」と言い出したのは子どもたちではなく美穂さんでした。当時の心境の変化をはっきりとは覚えていないようでしたが、仕事や家事育児、PTA活動、他にも色々......。かなりお忙しかったようです。「きっと癒されたかったんでしょうね」と振り返ります。
昭俊さんは過去に犬猫と暮らした経験もあり、家族会議は全会一致で可決。迎え入れる猫もすぐに決まり、ケージや猫トイレなど一式を買い揃えた矢先、残念なことにその話は頓挫してしまいます。「猫を飼えない?」そんな失意の折、美穂さんの友人から連絡が。「子猫が産まれたから見に来ない?」
マイペースなしずく
庭を眺めるルーティーン
どんな心境の変化があったのか? 3〜4年前から、
来客に動じなくなったという
想定外! それは猫にハマるということ
友人がメインクーンのブリーダーであることは知っていましたが、体が大きくなる種と聞いていたため、初めての猫生活にはちょっとどうか? と思っていたのも事実。それでも気分転換にと、ちょっと遊びに来た感で訪ねたご家族でしたが、生後3ヶ月のしずくの可愛さたるや! しこたま遊んだのちすぐ虜に。いずれ大きくなることが想定される体の大きさよりも愛嬌一番! と迎えることを決めたのでした。
愛嬌は〜
ヨシ!
目の輝きもヨシ!
当初は猫に引っかかれるイメージが大きく、恐る恐る触っていたという美穂さんでしたが、思っていたよりも大人しく、「猫ってこんなに甘えて来るんだ」と拍子抜け。教えてないのになんでも自分で出来てすごいなぁと猫の魅力にハマっていったのです。それから甘え上手のしずくの性格も後押ししたのか、10ヶ月後に同キャッテリーから新しくメインクーンを迎えることになろうとは誰が予想できたでしょう。しかも昭俊さんたっての希望で2匹目は大きく育つ「オス」をって! わずか1年のうちに家族は多頭飼育のステージへ。人生とはわからないものです。ちなみに2匹目の「雷(らい)」の最盛期の体重は10kgとなったことも付け加えておきます。
こちらはサビ猫の「このは」(メス・7歳)
雷とは仲良し
健康管理と食事、そして雷のこと
1年に一度は健康診断を受けているという猫たち。しずくは1歳時に大腸炎を罹った以外に大病はなく、腎臓は小さくなったものの良好な状態で安定しているとのこと。食事は大腸炎後から「ヘアボールケア(ロイヤルカナン)」に切り替え現在に至り、1日2食、1回の量は13g程度。(現体重5.4kg) 一方、雷は8歳時に糖尿病にかかり、インスリン注射が欠かせなくなりました。それまでの食事は「ヘアボールケア」や胃腸の調子が優れない時は「センシブル(ロイヤルカナン)」を試し、糖尿病から療法食の「糖コントロール(ロイヤルカナン)」と色々と探っていったようです。
時に幼い顔を見せる。シニア猫の魅力のひとつ
そして、雷が11歳の時、全身の毛が禿げるという症状で掛かり付け医に相談するも、なかなか原因が掴めずに二次診療を紹介されたのです。精密検査の結果、すい臓に腫瘍が発見されました。場所がすい臓の上に、腫瘍も大きく手術は無理だという診断結果以後、内科的治療で見守る方針に――。それから2年の月日が流れ、2020年9月、雷は虹の橋を渡っていきました。(享年13歳)
左の写真立てに雷の姿が
教訓を胸に続けていくシニアケア
雷としずくとの仲を伺うと、「悪くはなかったかな」という感じだそうです。ただ、雷の晩年はしずくがそっと寄り添い、これまでなかった毛づくろいをするシーンも見られたのだとか。しずくは人間だけでなく、猫をも癒すのか......(じーん)。
今後は体重の増減、歩き方、排泄物、食欲に注視し、しずくを見守っていきたいという夫妻。それらすべてが雷からの教訓であり、家族への最期の贈り物だなんて最高に格好イイじゃないか。「エピソードがない」なんて、とんでもない! お話を伺うと思いがけないご長寿ポイントに巡り合えたのでした。
美しき15歳
新年を迎え、猫又トリップは7年目に突入です! 初年度と変わったところと言えば、ついに私にも老眼というやつが......。ただしカメラは優秀なので撮影自体に問題はございません。まだまだ旅を続ける決意を胸に、今年もゆるくお付き合いいただければ幸いです。
カメラマン ケニア・ドイ
「猫又トリップ」が書籍になりました。
『
ご長寿猫がくれた、しあわせな日々』
15歳以上のご長寿猫と、その家族が奏でる28の物語をお届けします。
試し読みはこちら
(ΦωΦ)
写真
猫又トリップライター紹介
ケニア・ドイ
1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。
http://kenyadoi.com
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Instagram
ヒトとネコ、種を超えた家族の絆に胸が打たれました。
しずくちゃんと雷くんが見つめ合う写真、じーんとするなぁ。。
雷くんの旅立ちという悲しみは、残されたしずくちゃんをはじめとする家族の健康を守っていく決意に変える!
そんな力強さをも感じました。
しずくちゃん、美しき20歳でまた登場してね✨
by ちー 2022-01-13 01:19
ご家族がまさに猫にはまる。とってもわかります。
猫と暮らす楽しさ、しーちゃんが教えてくれたのですね。
しーちゃんのエピソードも、雷君のエピソードも 読んでるとうるうるします。
雷君の分も、もっともっと長生きしてね。しーちゃん。
by ちろりん 2022-01-13 16:09
「猫は引っ掻くもの、と思っていたら、甘えてきて、なんでも自分でできるんだなあ」初めて猫を飼われた感想がとても微笑ましくて、心があったかくなりました。たしかにそうですよね。雷ちゃんの分もみにゃさん長生きされますように。
by 白黒猫と黒猫 2022-01-13 23:11
タイトルを拝見したときにすでにウルウルしてしまいました。。
しーちゃんの可愛らしさ、美しさ、凛とした強さがお写真にとてもよく表れていて、ご家族の愛情いっぱいに受けて幸せのオーラが伝わってくるようです。
私も猫ちゃんと生活するようになり、今までどれだけ人生損してたんだと思い知りました。
それくらい愛おしくもあり、頼もしい存在です。NO CAT NO LIFEです。
雷くんと見つめ合うしーちゃん。
視線がほんとに合ってるみたいで感動しました。しーちゃん、まだまだ元気で長生きしてね。成人式を祝わせてくださいね♡
by クロリンコ 2022-01-14 13:32
しーちゃん~本当に高貴で美しい美猫さん。
タイトル見て、雷くんのとこ読んで、泣けてくるけど、
人間だけじゃなく、雷くんも癒してくれていたしーちゃんは、mimiファミリーの柱!
猫はいろんなことをちゃんとわかってるんだな~って思えるエピソード。
これからもずっと元気で、目指せ成人式だよ!
うちは16歳で取材してもらった時は4ニャン(ジジも入れると5ニャン)揃っていたのに、
今はぷくにゃだけ・・・
とりあえず21歳を目指すぞー!
しーちゃん、一緒にファイトだよ~
by うに 2022-01-15 22:30
クールビューティなしーちゃん。人も猫もしーちゃんには敵いませんね。
しーちゃんが居てくれたから、雷くんは安心して穏やかな時間を過ごしてくれたのだと思います。女子ーズの長として、これからも元気で居てね。目指せ❣️ご長寿日本一⤴︎
by ねこまみれ 2022-01-16 20:04
猫は何でも一人でできる
まさしく思いました。
トイレは教えなくてもちゃんとわかるし
人の赤ん坊だったら かかりっきりなところを
自分で歩いて行って
自分でご飯も食べて
自分でお手入れまでして。
猫って凄いな いいな~と思いました。
そしていつの間にか チャンプも今年
雷くんと同じ年に。
しーちゃんの今の年になっても
しーちゃんみたいに 元気でいてくれたらと思います。
うちは1匹だけなので
しーちゃんが お姉さんみたいに思えます。
しーちゃん ずっと元気でいてね。
by チャンプ 2022-01-18 22:04