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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2022年03月08日

マリちゃんのこと

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マリちゃんは、リサラーソンの猫のようなお顔と体を持っていました。
そう、大きな丸顔に、コロンとしたからだと手足、長くもなく短くもない尻尾が、とってもチャーミングな猫でした。

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そんなマリちゃんのことは、当ブログでも数回ご紹介したので、覚えていらっしゃる方も多いことでしょう。

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チャーミングな猫でした、と過去形で書くのは悲しいのですが、マリちゃんは、先日の春めいた日に旅立ちました。
マリちゃんが海辺の町に捨てられてから、14年間、ずっとマリちゃんの面倒を見てきた千鶴子さんからお知らせをいただきました。
もう会えないという深い悲しみと共に、「今頃は空でボスに再会しているかな」「みんなに可愛がられていい猫生だったね」という、どこか安らいだ思いで満たされています。

ドラマチックなマリちゃんの一生を、皆さまと一緒に、ここで寿ぎたいと思います。

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マリちゃんと初めて会ったのは、2012年の秋のはじめ。日暮れ時に初めて迷い込んだ小さな漁港で人顔待ち顔の猫さんに出会ったのでした。

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当時、まだ6歳くらい。漁港に捨てられて4年目で、まだ細くて心細げでした。
そのあとしばらく会えなかったのですが、少し離れた漁協直営の市場前の海辺で再会したときは、見違えるほどころんころんした立派な体格になっていました。

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でも、その日のマリちゃんは、必死な目つきで、浜辺に置いてある舟の中やら物陰やら、何かを探す風でした。

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あとで千鶴子さんに聞いて分かったのですが、マリちゃんが餌場を変えたのは、流れ者の「ボス」といい仲になったから。
ふたりはいつも連れ立って歩き、市場の人たちに可愛がられていました。

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でも、流れ流れてきたボスはすでに満身創痍のボロボロの体。風邪をこじらせて千鶴子さんのシェルターで養生することになりました。
私がマリちゃんに再会したのは、ちょうどボスがシェルターに入った頃だったのです。マリちゃんは急にいなくなったボスを探し回っていたのでした。
「よくなったら、マリのもとへ」と願って千鶴子さんは看病を続けましたが・・・・。
いよいよというときに、ボスを抱きかかえて古巣へ連れて行ったのですが、マリは見当たりませんでした。
ふれあい市場の人は皆、小さくなったボスを撫でてお別れの言葉をかけ、泣きました。

ボスがいなくなった後、マリちゃんは彼のあとを継いで女ボスになりました。

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栗色の毛並みを陽にキラキラ輝かせて、太い足で海辺を闊歩する姿は、それはカッコよく、遠くからマリちゃんに会いに来るファンもいるほどでした。

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舟の中でお昼寝をしたり、船陰で海を眺めたり。

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夜は、市場の中に、マリちゃんのあたたかな寝床が用意されていました。

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漁師さん、市場の人、地元の人たちみんなに愛されて年を重ねていったマリちゃん。
「マリが海辺で暮らすのがキツそうになったら、シェルターでのんびり老後を過ごしてもらうわ」と言っていた千鶴子さんは、
マリちゃんの老いが目立ち始めた2年前、シェルターに迎えました。

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若い仲間ができて、のんびり窓辺でひなたぼっこを楽しむようになったマリちゃん。
外ではきりりとした目つきでしたが、穏やかな目つきになって、相変わらずコロンとまあるいカワイイおばあちゃんでした。

今年に入り、「マリの首に腫瘍ができて、病院に通っている」と、千鶴子さんに聞きました。
3月10日には、東大病院で診てもらう予約も取ったとか。

その矢先、「マリが旅立ちました」という知らせ。
千鶴子さんの腕の中で、大きく息をして、苦しまずに旅立ったと。
16歳でした。

マリちゃん、きっとこう思ったんじゃないかな。
「大病院の検査や手術なんかイヤ。今日は春っぽいし、ボスのもとへ行くにはもってこいの日だわ」と。

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潮風に吹かれ、ドラマチックな猫生を生きたマリちゃん。
たくさんの人に見守られ、愛された一生でした。
今頃は、ボスと連れ立って雲の上をお散歩しているかな。

さよなら、マリちゃん、出会えてよかった、忘れないよ。


※今週は、goens卒業生シリーズを1回お休みして、マリちゃんのことを書きました。
 来週から、goens卒業生シリーズを再開します。




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道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

佐竹様のこのブログでマリちゃんの事は読ませていただきました。
マリちゃん、亡くなったのですね。
かわいそうと言っては失礼かも知れません。たくましく生きた立派な猫生でした。
御冥福をお祈りします。マリちゃん、またね。🐹🐱🙇

by hiroーRX7 2022-03-08 16:23

厳しくも沢山の愛情に包まれて自由に生きたマリちゃん。ボスとの出会いやボス就任なども経験し、顔つきや体型も歳を重ねるにつれて変化し貫禄もついた。なんと素晴らしいニャン生だったことだろう。天国には大勢の先達が待っている、再び幸せな日々を。合掌

by Y.M 2022-03-08 16:57

マリちゃん、虹の橋を渡ったのですね。残念だけど、大好きな大好きなボスのそばで第二の猫生を楽しんでいることでしょうね。本当にリサラーソンのマイキーのような可愛いニャンコでしたね。
マリちゃん安らかに・・・ありがとう。

by ぺったんの母 2022-03-08 17:22

マリちゃん、良く生きたね。ボスくんと雲の上でずーっと仲良くね!
ご冥福をお祈りします。

by ジハにゃん 2022-03-08 19:12

最近、私が最も敬愛する方の訃報を聞きました。
悲しさとその方から頂いた言葉の有り難さやらが押し寄せます。
マリちゃんの姿は消えても、生きた記憶は、ずっと関わった優しい人達の心に残っていくのですね。
人も猫さんも、そうして次の世代に繋がっていくのですね。 合掌

by ちぃ 2022-03-08 20:22

漁港を闊歩するマリちゃん、素晴らしい猫生だったと思います。
虹の橋でボスと会えたかな、晩年のシェルター2年間も穏やかに過ごせたね。
子猫は文句なしに可愛い。
落ち着いた成猫は人との関わりも良くできて、とても可愛い。(今)
全てを悟った老猫期は、きっと一番可愛い。
我が家のさぬき姫、長生きしてね。父ちゃんも健康維持するからね。

by ヤンヤン 2022-03-08 20:29

道ばた猫さんで知った子たちは、自分のお隣さんの猫に思えます。
おそらく、まったく知らない猫もそうでしょうね☆
どの子達もまっすぐですから♪
こういう知らせで思うのは、猫が人の言葉をしゃべれたらなぁ
または、その逆ですね!
私に出来るのは、自分と一緒にいてくれる子を可愛がることだけですが・・・

by ミンディー 2022-03-09 01:08

マリちゃん、、覚えていますとも!覚えていますとも!ハリウッド大女優のような貫禄と存在感とオーラのとっても素敵な猫さんでしたね。マリ様~と後をついていきたくなります(想像でします)。シェルターに迎えられた時は可愛いお年のいった猫さんになっていて千鶴子さんの腕のなかで幸せいっぱいだったでしょうね。お空からいつもみているのかな😸旅立たれたのは悲しいですが多くの人の心の中に生き続けますね。私もマリちゃんのように気高く強く優しく自由に生きていきたい!

by とも 2022-03-09 07:19

マリちゃんが堂々として穏やかに生きてきたのは、この漁港の人たちが暖かかったからでしょうね。
この海辺で、マリちゃんに会ってみたかったです。
春先の旅立ちは、マリちゃんらしいなと思いました。

by ひじきママ 2022-03-09 10:30

マリちゃんは以前ウチにいた猫に毛の色と名前が似ていて(因みにウチのコはマリリン)親近感を持っていました。旅立ってしまったのは残念ですが、今頃大好きなボスくんと再会しているかもしれませんね。ご冥福をお祈りいたします。

by シーマン 2022-03-09 20:29

佐竹さんのご著書の中でとても、印象的だったマリちゃん。ボスと会えないながらもカッコよく生きている姿が凛々しいなと思っていました。しかし、厳しいお外生活も心配だったので、最後2年間はシェルターで過ごされたと知り、ホッとしました。彼女らしい最期だったのかもしれませんね。
天国でボスと会って、日向ぼっこしたり毛繕いしあったり、幸せに過ごして欲しいです。

by よえちゃん 2022-03-09 22:04

マリちゃん、しあわせな猫性でしたね。
今頃はボスに甘えているかな。
外猫さんが、みんなしあわせな毎日でありますように。

by ruineko 2022-03-10 10:55

>hiro-RX7さん

逞しく生きた立派な猫生…私もそう思います!
仲間もいて恋もして、みんなに可愛がられて・・・楽しきいっしょうだったのではないでしょうか。

by 道ばた猫 2022-03-14 00:20

>Y.Mさん

なかなかこういったドラマチックな一生は、人間でも難しい(笑)。
私も猫だったら、マリちゃんみたいな猫生を過ごしてみたいです。

by 道ばた猫 2022-03-14 00:23

>ぺったんのお母さま

マリちゃんは、目も手足も尻尾も、素晴らしいデザインの猫さんでしたよ(笑)。
悠然と風の中を歩くのにぴったりな。

by 道ばた猫 2022-03-14 00:26

>ジハにゃんさん

よく生きた一生…まさにそうでしたね~。
彼と同じシェルターで、同じく穏やかな老後も過ごせて。

by 道ばた猫 2022-03-14 00:29

>ちぃさん

そうなんです。会えなくなっても、思い出すたびに甦るというか。
なので「悔やむ」ではなく、その一生を「寿ぐ」という言葉でご紹介しました。

by 道ばた猫 2022-03-14 00:32

>ヤンヤンさん

老猫の可愛さいとおしさは、格別ですよね!
一緒に暮らしてきたらなおのこと。さぬき姫さんの長寿を祈ります。

by 道ばた猫 2022-03-14 00:35

>ミンディーさん

マリちゃんが言葉をしゃべれたら、「なかなか面白い一生だったわ」というんじゃないでしょうか。
「千鶴子ママ、ありがとう」とも。

by 道ばた猫 2022-03-14 00:37

>ともさん

ダイナマイトバディーと逞しさ、懐っこさと愛らしさが共存するチャーミングな子でしたね~。
ふれあい市場とマリちゃん。港の名物が二つとも消えてさびしいです。

by 道ばた猫 2022-03-14 00:42

>ひじきママさん

同感です。周りの温かさあってこそ、堂々と生きられたのだと思います。
春の旅立ちも、ぴったりでした。

by 道ばた猫 2022-03-14 00:44

>シーマンさん

マリリンちゃんもマリちゃんも、とってもキュートな名前!
モンローウオークをする猫さんだったのかな、なんて。

by 道ばた猫 2022-03-14 00:47

>よえちゃんさん

シェルターでの日々も、丸っこい可愛いおばあちゃんで、いい一生だったと思います。
ボスとひなたぼっこしたりしている姿が目に浮かぶようですね~。

by 道ばた猫 2022-03-14 00:51

>ruinekoさん

過酷なく暮らしの末に、ひっそりとなくなる外猫さんも多い中、マリちゃんは本当に恵まれた環境でした。
どの子もしあわせな一生をと、願います。

by 道ばた猫 2022-03-14 00:54