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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

猫のまもりびと

2022年04月09日

第11回 預かりボランティア

クラウドファンディングで集めた360万円と、銀行から個人で借りた500万円で、譲渡型猫カフェCAIT SITH(ケット・シー)をスタートさせた、代表の服部由佳さん。取材している間にも沢山のスタッフさんが、掃除をしたり、開店準備をしたりと忙しそうですが......。

前回のお話(『猫のまもりびと』第10回)はこちら

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開店前の食事の時間


「実はうちは、私も含め、スタッフは全員ボランティアなんです」

ええっ、ぜ、全員ですか!

「カフェスタッフ以外にも、例えばインスタを更新したり、お問い合わせに答えたり、猫たちの預かりをしたり......さまざまなパートを受け持つ、60人弱のボランティアさんたちがいるんですよ」

それはすごい! 聞けば、本業は美容師さんだという服部さん自身も、カフェをオープンしてから今まで、お休みは1日もないのだとか。

「覚悟して始めたことなので、お休みがないことは大丈夫なんです」

大勢のボランティアさんをまとめるのは大変そうですが「猫を助けたい、という思いは一緒だから、相手を否定せず、何かあれば着地点が見つかるまで話し合っています」という服部さん。強い思いがなければできないことだと、改めて思いました。

実は、このカフェを紹介してくれたTomokoさんから、CAIT SITHは、大人の猫でも不思議なくらい里親さんがどんどん決まる、と聞いていました。

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里親さんが見つかった猫たちの写真。ごく一部だそう。

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1匹ずつ、ノートに丁寧に紹介されている。


「そうなんです。それはきっとボランティアさんたちが、猫たち一匹いっぴきの性格を詳細に把握して、なにが好きでなにが苦手な子か、しっかり説明できるってことが大きいと思います。サイトにも、いいところだけじゃなく問題になりそうな部分も、正直に書いてるんです」

確かに、CAIT SITHのサイトやインスタには、猫たちの性格が伝わってくるような写真やコメントがいっぱい。どの子ものびのびと自然体で、「この子と暮らしたらこんな生活になるんだろうな」と、すぐに想像できます。

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店内に掲げられた数字は、里親さんが決まって巣立っていった猫たちの数なんだとか。写真も所狭しと飾られていて、この子たち全員に、出会いとドラマがあったんだなあ......と、思わず胸が熱くなりました。

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「うちは、猫を引き取ると、まずは最低2ヶ月間、預かりボランティアさんのお家で預かってもらうんです。そのあいだに病気やウイルスの有無も分かるし、カフェデビューできるところまで、人に馴らしてもらいます」

里親希望者さんとは、詳細にやりとりをし、しっかり書面も交わします。譲渡にあたって条件もいくつかあります。それでも、場合によってはまだ預かりさんの家にいるうちから、「この子と暮らしてみたい」と、トライアルの申し込みがあるんだそうです。

でも......と、服部さんは言いました。

「このところ、保護猫の預かりボランティアさんたちの家が、いっぱいになりつつあるんです。それでも誰かが手をあげないと、猫たちの行き場がなくなってしまう。正直、いつどうなってもおかしくない状態なんです」

その言葉は心に引っかかって、取材を終えて帰宅してからも、ずっと離れませんでした。

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カフェで出会った、愛くるしい猫たち。
猫たちのために休みなく活動する、大勢のボランティアさんたち。
行き場がない保護された猫たち。

それは大変ですねえ、で済ませてしまっていいんだろうか。私にできることが、なにかあるんじゃないだろうか――。
いろいろ考え、私は、預かりボランティアに立候補したいと、夫に相談しました。

我が家には、すでに猫が4匹いて、持病がある子もおり、これ以上お世話することはできません。
ただ、夫の仕事場には使っていない部屋があって、常にスタッフさんが誰かいて、寝泊まりもしている状態です。
スタッフさんにも事情を話し、みんなで協力しあって、なんとか1匹だけでも預かれないだろうか。そう思ったのです。

夫がスタッフさんたちに説明すると、幸いにもみんな猫好きで、「ぜひ!」という返事。よかった。私たちはさっそく、預かりボランティアをするために必要なものを揃えました。

二段ケージ、トイレ、爪とぎ、指定のキャットフード。ケージを覆う布、脱走対策の柵、などなど。

そうこうするうちに、連絡が入りました。

「奄美でまた、猫が2匹捕獲されました。どちらか預かることはできますか?」

私たちはすぐに返信しました。

「どちらの子でも大丈夫です。うちでお預かりします」

続く


※第12回の更新は5月21日(土)予定です。


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猫のまもりびとライター紹介

あさのますみ

声優、作家。さまざまな経緯で出会った保護猫4匹と暮らしている。2019年、生まれて初めて野良猫を保護したことをきっかけに、地域猫活動や、TNRに興味をもつ。猫に関する著書に、「日々猫だらけ ときどき小鳥」(ポプラ社)、「ねがいごと」(学研)。趣味はカメラ。

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カテゴリ: 猫のまもりびと
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みにゃさまのコメント

どの子もみんな可愛い。
1日も早く、里親さんに出会うことを願っています。

by アンバー 2022-04-11 21:13