梅雨の晴れ間のアジサイが見頃です。
麦わら色の猫さんが「うちのアジサイ、きれいでしょ」
切れ長の目をした、スレンダーな美猫さんです。
くぅちゃんは、1歳過ぎの女の子。
晴れた日には、こうして広い庭の中を散策します。
くぅちゃんのおうちは、千葉県の横芝光町という、田んぼの美しい農村にあります。
おうちは、古民家カフェをやっています。
広々とした前庭や美しい屋根を持つ「曲田(まがた)」家です。
土間を改修して作った店内からは、のれん越しに庭先の古い土蔵が見えて、のどかそのもの。
くぅちゃんのお母さんで、カフェの店主の真子(まさこ)さんは、高校時代まで、この家で過ごしたそうです。インテリア関係のお仕事をずっとなさっていて、この家に戻ってカフェを始めようと思ったきっかけの一つは、この地で長いこと養鶏をしている親族の扱う玉子のおいしさを、発信したかったこと。この店の自慢は、プリンです。もちろん、珈琲もキーマカレーも三色丼もハーブティーも、みんなおいしいんですけどね。
真子さんとくぅちゃんとの出会いを書く前に、きぃちゃんという猫のお話をしなければなりません。
このあたりは、昔からネズミ除けのためにどこの庭先にも猫がいるのがあたりまえの風景。真子さんのおばあさまが猫好きだったので、子供の頃からいつも2~3匹飼っていたそうです。
横芝光町に戻ってからも、キジトラ猫たちを近所で何匹も見かけました。どうやら、ご近所の猫小屋で面倒を見てもらっている猫たちのようでした。
1匹のキジトラがこの庭にやってくるようになり、カギしっぽなので「きぃ」ちゃんと呼んでいましたが、飲食業ゆえ、中には入れませんでした。
「ある日、とても具合が悪そうで...お医者さんに連れて行ったところ、治療法がない病気だったんです。最後の10日間は、家の中で看取りました」
きぃちゃんを家に入れてあげなかったことを、真子さんはずっと悔いていました。
きぃちゃんの一周忌あたり、去年の12月に、やってきたのが、そっくりな猫。「く」の字に曲がった尻尾だったので、くぅちゃんに。
最初は、店内にベッドを置いてやっていたのですが、今は、毎晩いっしょの布団。いい相棒になりました。
お天気のいい日は、店先に出て、背伸び。
そして、ゴロリンして、真子さんを呼びます。
「アタシを撫でて~」の合図です。
「くぅちゃんお目当てのお客さんも結構いらっしゃいますね。『ここ、猫さん、いますよね』って(笑)」
猫がいっぱいの松山庭園美術館も近いので、その帰りに立ち寄る人も増えてきました。
スレンダーで、りりしくて、穏やかなくぅちゃん。
たたずまいも美しくて、私は、中宮寺の弥勒菩薩を、ふと思い浮かべてしまいました。
この子は、くぅちゃんのお兄ちゃんのみづきくん。よく似ていますが、くぅちゃんより、ひと回り大きく尻尾はまっすぐです。みづきくんも、座り方がとってもきれい。
ご近所で面倒を見てもらっている子ですが、ここにも毎日のようにやってきて、庭先でご飯を食べていくのに、触らせない。だから、「食い逃げ男子」なんて真子さんに呼ばれちゃっています。
松山庭園美術館の「猫ねこ展覧会」は、7月末の日曜まで。訪館の折は、初夏の陽光に輝く田んぼ風景を楽しみながら、くぅちゃんのいるカフェまで足をのばしてみてはいかがですか?
※カフェ・マガタ
千葉県山武郡横芝光町小川台971
営業=木曜~日曜 11:00~16:30
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
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道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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ブログ更新を楽しみに待っていると、あっという間に一週間がたってしまう。待っているのは気楽だけど、この間、製作者はコロナも気にしながらさぞかし大変なことだろう。今回も、天然色の大自然と、渋い佇まいの古民家に良くマッチした猫達を見てもらい、なぜか平和な気持ちになった。女の子らしいくぅちゃん、男らしいみずきくん、光線の加減で縞模様が色々に見えるのがまた楽しい。
by Y.M 2022-06-14 16:15
本当に、きれいな姿や座り方ですね。猫って気高いなぁと思います。静かな歩き方や、密やかな鳴き声、身体の曲線等など。
私の人生を、間違いなく豊かにしてくれた猫さん達に感謝!
by ちぃ 2022-06-14 18:05
先週はコメントを2回書き込んでしまい、すみませんでした。(あれっ? 書いてたっけ...汗)
房総には素敵なカフェがいっぱいです。
猫ねこ展、バイク移動なので天気次第ですが、また訪れたいので帰りに寄ってみたいと思います。
きぃちゃんがつないだ猫さん達の縁、とても素敵ですね。
兄猫みづきくんの「食い逃げ男子」、サイコーです。(笑)
by ヤンヤン 2022-06-15 04:45
>Y.Mさん
あちこち歩き回っていると、出会ったり教えてもらったりで、どの子から紹介しようかなあと、はやる気持ちを交通整理するのが大変かも(笑)。コメントも毎週の楽しみです!
by 道ばた猫 2022-06-15 11:04
>ちぃさん
同感!! 猫がどんなに人生を愉しくゆたかに、ときにケセラセラにしてくれたことか(笑)。くうちゃんは鳴かない猫なので、いっそうひめやかです。
by 道ばた猫 2022-06-15 11:07
>ヤンヤンさん
房総移動はバイクでしたか、最高ですね! ひと休みして田んぼや海を眺めながら…・ああ、やってみたい!
房総は、魅力的なカフェが多いですね。
by 道ばた猫 2022-06-15 11:10
>皆さま
お店のキーマカレーは、「きぃまぁカレー」と表記されています。真子さんの小さい時からの愛称「まぁちゃん」と「きぃちゃん」を繋いだ、さる方の命名だそうです。
by 道ばた猫 2022-06-15 16:25
スレンダーでりりしい、くぅちゃん、
ほんとに中宮寺の弥勒菩薩みたいな気品があります!
また、佐竹さんの写真が、くぅちゃんの魅力を存分に引き出していて素敵です。
松山庭園美術館とハシゴしたい~♪
「きぃまぁカレー」のネーミングも秀逸ですね~(≧▽≦)
by ぴっころ 2022-06-15 17:08
ほんとですね、しゅっとしたキレイな姿のくぅちゃん!高貴なオーラをまとっているような。あじさいもいいですね。猫とあじさいもまた合いますね。
きぃまぁカレーとは素敵なネーミングですね。心の洗浄もしてくれそうな素敵なカフェ、行きたいです!!
by とも 2022-06-16 07:07
>ぴっころさん
ぜひぜひはしごしてみてください!
私も、この次ははしごして、きぃまぁカレーを食べようと思います~。
by 道ばた猫 2022-06-20 00:54
>ともさん
キジ猫さんは、庶民的なイメージだけど、りりしい子や堂々とした子も多いんですよね~。そして、なぜか、キジトラファミリーが多いような(笑)。
by 道ばた猫 2022-06-20 00:59