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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2022年07月05日

ココとナッツ

goens(ごえん)卒業生シリーズ、今回は、ココとナッツの物語です。 2匹のいる東條家におじゃますると......。

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「あれれ、知らない人が来た」
お姉ちゃん格のココちゃん(3歳)が、困ったお顔。
いやいや、ココちゃんは、ちょっと目尻の下がった愛嬌顔なんです。

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逃げ道を一応確保すべく、お母さんにドアを開けてもらいます。

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そして、安心して、「いらっしゃい」をしてくれました。
まあるいお顔にまあるいお目々のふっくらキジトラさんです。

相棒のナッツくんは、どこに?

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おお、こちらは、シュッとしたお顔のクールなサバキジくんです。警戒心あらわに、キャットタワーのボックスに隠れて、半分しかお顔が見えません。
キミが、噂の「噛みつき亀」ならぬ「噛みつき猫」なんですね。
もっとも、それは過去の名前になりつつありますが。
「きのう、おやつを食べるときに指も噛まれましたが、それは悪気があったわけじゃない」と、お父さんは笑います。

社会人の息子さんと親子3人で暮らす東條家のお父さんは、子供の時からずっと猫と暮らしていて、いろいろな猫を知っていますが「ナッツは、今までに経験のない個性的な子」と言います。
「ココがいなかったら、ナッツは、いまだに噛みつき猫だったかも」と、お母さん。

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アタシたちのお話、お父さんお母さんから聞いてね、とココちゃん。

一家は、メインクーンのレイくんとアビシニアンのメイちゃんの2匹とずっと暮らしていました。メイちゃんが旅立った時、娘のように可愛がっていたお父さんの悲しみも深かったのですが、レイくんもとても寂しそうでした。
そんな時、お母さんがたまたまネットで目にしたgoens譲渡会の知らせ。写真で見たキジトラの女の子が、こう言っていたのです。
「お母さん、迎えに来てね」
譲渡会場に行って、「うちにおいで」と言ったら「行く、行く!」との返事。
それが、ココちゃんです。

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ココちゃんは、きょうだいで、ゴミ捨て場に捨てられていた子でした。goensのミルクボランティアさんのおうちで、性格の良い愛らしい子に育ちました。

ただ、東條家の先住のメインクーンのレイくんとは体格も年齢も違い過ぎて、相手にしてもらえず。
レイくんが旅立った後、おとなしかったココちゃんは赤ちゃん返りをして、「抱っこ、抱っこ」の催促をする猫になりました。そんなとき、お母さんはgoensで保護されたナッツの写真を見て、ピンときたのです。
「見て、見て、この子、面構えいいね」

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問い合わせると、「この子は、本気で噛みます」とのこと。多頭飼育崩壊現場で、自由飼いされていた子で、生き残るのに必死な子供時代を過ごしたのでしょう、人をとても怖がる子でした。 保護したボランティアさんの腕に、お姉ちゃんと2匹で噛みついてぶら下がるも、ボラの方に必死に保護される、という逸話の持ち主でした。

東條家の先住のレイくんも噛み癖のある子猫でしたが、メイちゃんがいつしかそれを治してくれました。「噛み癖があっても大丈夫」という夫妻の元へgoensはナッツくんを送り出します。ナッツくんは、最初はニンゲン怖さから噛みついていましたが、預かりボラさんのおうちで「この子は噛むことで愛情を表現する子」だとわかっていたからでした。

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やってきたナッツくんは、案の定というか、想像以上にお父さんお母さんを噛みまくり。
通りすがりに、ふくらはぎを噛み逃げしたり。
ココお姉ちゃんのことも噛みました。
そんなナッツくんに、おとなしかったココちゃんが、「やったわね」と制裁の噛み返しを加えるうちに、ナッツくんの噛み癖はだんだん少なくなっていきました。ナッツくんは、ココちゃんが大好きなのです!噛まれる痛さもわかったのでしょう。

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「奴(ナッツ)は変わりましたね。ココのおかげ」と、手を噛まれてグローブのように腫れたこともあるお父さん。
奴呼ばわりに、愛情がこもっています。

「噛まれなくなる日がこようとは」と、感慨深げなお母さん。
噛まれることより、この子がこのおうちでいいのかどうか、ただそれだけが気になっていたそうです。

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「何で隠れてんの」と、ナッツくんを覗き込むココちゃん。

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2匹は、はらはらさせたり、笑わせたり。
この前も、ナッツくんがやらかしました。
「夕食の支度をし終えて、運ぶ前にテーブルを拭き振り返ったら、ナッツが焼いたばかりのサバをくわえていて。「ナッツ!!」と叫んだら、サバをぶん投げて逃げました(笑)」と、お母さん。
炊き立てご飯をおにぎりにして、冷蔵庫に入れる前に冷ましていたら、ラップごとくわえて2階に逃走。「母ちゃん、ナッツがおにぎり食べてる!」という息子さんの声で気づいたそうです。
「小さい時、どんな暮らしをしていたのか。ちゃんと保護してもらってうちに来てくれてありがとう」と言うお母さんです。キッチンには、柵を取り付けて、予防策をしています。
ココちゃんにも、ビニールを食べる癖があって、ビニール類は絶対に出しておけません。

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「この子たちのそれまでのいろんな話を聞くと、ココにミルクをあげてくれた小学生の男の子や、ナッツから噛まれても噛まれても愛情を注ぎ、人馴れに頑張ってくれた預かりボランティアさんなど、たくさんの思いも預かっているという気持ちがあります」と、お父さんは言います。
「噛まれるとかなんて、なんてことないです。それ以上に、猫にはそれぞれに個性的な可愛さがありますから」

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「うちのお父さんとお母さん、猫のことちゃあんとわかってるでしょ。ナッツも、ここの子になってうれしいと思ってるはずよ」と、ココちゃんが言っています。
そう、ナッツくんは今や、撫でてほしい時は、部屋の隅やベッドの上でゴロンと転がって待っている甘えん坊オトコです。こんなふうに。

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「ナッツは、東條家でなければ無理だったね。ココも負けてないし。すごい!」と、goensの皆さんも感動しています。
噛み癖のある猫や猫エイズ・白血病キャリアの猫は、保健所では殺処分対象になることが多いそうですが、そんな猫さんたちも、goensから理解あるおうちのもとへ卒業していき、次々幸せをつかんでいます。


「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。

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道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

goensのみなさんの活動に頭が下がります。
ハンデのある猫さんたちも理解のあるお家でしあわせになれるのはうれしいですね。
ココちゃんとナッツちゃん、先住猫さんは新入り猫さんを遊びながら、ケンカしながら、いろんなことを教えていきますね。
ふたりとも、なんてかわいい穏やかな表情をしているのでしょう💞
しあわせが身体中から溢れているようです。
いつまでも仲良くしあわせにね。
お父さんとお母さんをしあわせにしてあげてくださいね💞

by ruineko 2022-07-05 18:01

ココちゃん、ナッツくん良いコンビですね。
お外で懸命に生きていたり、多頭飼育で崩壊... 大変な状況を生きてきたんだね。
ココお姉ちゃんの指導を受けて噛み癖を克服、やっぱり猫のコミュニケーションは凄いです。
我が家のさぬきはお母さんにコミュニケーションや狩りを習えたのかな?
甘えん坊なくせして、ベランダでトンボを捕ったり、小鳥を狙ったり(間に合って助けました)、そもそも狩りが上手すぎる...

by ヤンヤン 2022-07-05 18:04

警戒心のとけない猫は世話するだけでも大変なのに、嚙み癖まであるナッツを迎え入れたとは、東條家ほか関係されてきた方々の包容力の大きさに頭が下がる。ひたいの模様が特徴的な、ココちゃんの優しさも大きかったことだろう。尖がっていたナッツがゴロンと転がるまで温和になったとは、先々も末永く愛情一杯のネコand家族であり続けますように。

by Y.M 2022-07-05 19:46

うちにも噛み癖の仔がいます。鼻、耳たぶ、二の腕のお肉を小さな前歯でチロっと噛みます。歯が薄いので、結構痛い!好き好きの表現で、眠い時にすることが多いです。
ナッツちゃんも好き好きなんですね。ココちゃんとナッツちゃん、いいコンビですね。まんまるお顔がキュートです。ナッツちゃん、サバ取っちゃダメだよ。でも、きっと笑っちゃいますね。

by ちぃ 2022-07-05 20:37

ココちゃんとお母さんの出会いのエピソードは、まさに相思相愛で微笑ましいですね。
ナッツくんも精悍な顔つきから甘えん坊の顔つきになって、良いニンゲンの御家族、猫のお姉ちゃんに恵まれて良かったなぁ、と心が暖かくなりました。
しかし、お魚くわえたドラ猫が実在するとは(汗)以前家に居たマリリン(ココちゃんと毛の色が似ています)は家に来たばかりの頃、何処かの家から揚げる前のカツを持って帰って来たらしいです(汗)

by シーマン 2022-07-05 20:54

>ruinekoさん

みんなみんな、やってきてみれば、ココのおうちがベストチョイスだなんて、本当に神様の采配はみごと!
いつも感心します。

by 道ばた猫 2022-07-07 09:43

>ヤンヤンさん

新入りを迎えると、張り切る猫あり、拗ねる猫あり、それでも、折り合いをつけて仲間になっていくところにいつも脱帽です!

by 道ばた猫 2022-07-07 09:45

>Y.Mさん

手が出たり、噛んだりする猫は、それだけ、怖い思いをして生きてきたのでしょうね。心を許すと、甘えんぼになっていくのが、なんともいじらしいですね~。

by 道ばた猫 2022-07-07 09:47

>ちぃさん

鼻・耳たぶ・二の腕…どこも痛そう!(笑)。
好き好きの表現なら、叱れませんね~。うちは、起きないと顔をひっかきます(笑)

by 道ばた猫 2022-07-07 09:49

>シーマンさん

揚げる前のカツ!!ですか。やるなあ、マリリンさん。しかも、よその家に侵入して(笑)。
庭の金魚をくわえて逃げる猫は、昔、どこにもいましたが。

by 道ばた猫 2022-07-07 09:57

素敵なご家族ですね(^^)噛みぐせのある子が可愛がられて幸せになって噛みぐせも治まって…愛の力ですね。ココちゃんもナッツくんも仲良しで時にはココお姉ちゃんが注意をして教育してなんて素敵な姉弟なんでしょう。人間も見習わなければです(^^)

by とも 2022-07-08 06:59

ナッツ君の面構え、うちのりん吉と同じ匂いがしますよ!いまだに噛みつき猫です。愛情の裏返しなのかなあ~とも思います。ふくらはぎに青たんが出来ることもたまにきず!甘えて甘えて最後にガブッなのです。
それでも可愛くて可愛くてしょうがない困った母なのです。

by ぺったんの母 2022-07-09 13:52

〉ともさん

ホント、人間も見習わなくちゃ、です。クセのある人間、多いですからね(笑)。私も人見知りを猫たちにずいぶん直してもらいました!

by 道ばた猫 2022-07-11 10:09

>ぺったんのお母さま

りん吉くん、甘えたくて甘えたくて、気持ちがたかぶっちゃうんでしょうね~。可愛いけど、痛い(笑)。
昔、家にもいましたが、大げさに泣き真似をしていたら、やめてくれました。

by 道ばた猫 2022-07-12 09:52