先週ご紹介した、
ソラリク兄弟は、保護されたとき4兄弟でした。
今週は、残る2匹のお話です。
海に近い町の日の当たるお部屋で、相棒のシッポをチョイチョイ。
偶然、この2匹も、新しいおうちで「ソラ」と「リク」というカッコいい名前を付けてもらっていました。
こっちが、リクくん。お母さんに言わせると「物わかりのいいお兄ちゃんタイプ」
こっちがソラくん。「ちょっと人見知りの、自由が好きな弟タイプ」だそうです。
お顔立ちも模様もシッポの長さも、まったくおんなじ!
どうやって見分けるのでしょうか。
「私もお父さん(夫)も、すぐにはつかないんですが、息子はちゃんと見分けますね」と、お母さん。社会人の長男さんが、正式な2匹の飼い主だそう。
リクくんは赤い首輪をしていますが、自由を愛するソラくんは首輪をつけても自分で取ってしまうので、今はしていません。私には、それしか見分けられませんでした。よくみると、ソラくんのほうがちょっとシュッとしているような......。
保護された後の2匹。そっくりです。
目がぐちゅぐちゅしているのは、多頭飼育で飼い主をなくし、蓋をした段ボール箱の中に4匹入れられていて、猫風邪をひどくこじらせていたから。
親族の方に「死んじゃいなさい」と言われたのに、4匹がんばって生きていて、NPO「ドリームキャット」にレスキューされました。
この家にもらわれてきたのは、昨年の10月。来た日から「我が家」と思ってくつろいでくれたそうです。
このおうちでは、昨年8月に、チコという猫を14歳で亡くしていました。残されたもう1匹のマコは、そのチコちゃんがおうちに招き入れた猫です。
7年前の台風の日、チコが戸を開けてと訴えます。開けると、子猫がぴょーんと入ってきて、チコちゃんのご飯を食べ始めました。白黒チョビヒゲの女の子でした。
後で近所の方に聞いたら、この辺のノラ母さんが1匹だけ産んだ子だということ。それで子猫をノラ母さんのもとに連れていき、「うちの子にしていい?」と、お母さんは聞きました。
ノラ母さんは、わが子の鼻面を、「お行き」とばかり自分の鼻先でぐいと押しました。それで、その子猫は「マコ」という名をもらい、チコと6年半仲良く暮らしました。
「8月にチコが亡くなった後、マコはご飯も食べず、夜も探し回って、痩せていったんです。それで、猫を迎えようと。マコだけでなく、私も家族もさびしかったので」
マコちゃんは小柄なので、おとな猫より子猫の方がいいかなと思い、ドリームキャットさんへ。「兄弟2匹で迎えた方が、おとな猫のストレスにならないかも」と勧められました。1対1だと、子猫のエネルギーに太刀打ちできないこともあるからです。きょうだいなら、互いに遊んで、先住猫とはいい距離が保てますからね。
正解でした。
マコちゃんは、やってきた子猫たちにスリスリされたり追いかけられたりが、いい刺激になったようで、「お腹すいた~」と催促するまでに元気になりました。
そうそう、事件と言えば...おうちには1階と2階を自由行き来できる猫ドアがあるのですが、ある日、お母さんが2階にいると、ぎゃああ~~~あ!という声が階下から聞こえてきました。あわてて降りていくと、マコちゃんが毛を逆立てて、「お母さん、早く早く!」とわめいています。リクくんが手をドアに挟まれていたのでした!
マコおばちゃん、ありがとうね。
このおうちが、4匹のうちで目の状態のよかったほうの2匹を迎えたのは、残る2匹のほうは目の治療と検査がドリームキャットでまだ済んでおらず、募集を始めていなかったから。どの2匹でもよかったそうです。「見た目や障害は、すべてその子の個性」と、このおうちのお兄ちゃんは常々いっているそうです。2軒とも、同じ価値観。素敵ですね!
こうして、過酷な環境に産まれ、死ぬ寸前だった4匹の子猫たちは、全員しあわせをつかみました。寒い日が続きますが、猫たちがこうしてそれぞれぴったりの素敵なおうちに迎えられた情景は、心をポカポカにしてくれました。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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またまた同じ名のソラリク兄弟、スケールの大きな名前が素晴らしい。物わかりがいい兄と人見知りの弟とは、人間とよくにている。大人しそうなマコちゃんにも受け入れられて本当に良かった。幸せをつかんだソラリク兄弟×2が。家族共々健康で楽しく長生き出来ますように。
by Y.M 2023-01-17 20:24
偶然とはいえ、4匹の子猫たちが、二匹ずつ新しい家族に迎えられ、同じ名前をもらって愛されて育ててもらったこと、ほんとうに不思議でほんとうにうれしいです💞
良かったね!!
二匹のソラ、二匹のリク!!
たくさん愛されて、たくさんしあわせになってくださいね💞
心あたたまる、ステキな猫たちのストーリー、
ありがとうございます!!
by ruineko 2023-01-18 04:23
わっ、ホントにそっくり!!4枚目の写真がまた同じお顔ですね~(^-^)見分けのつくご長男さん、さすがです☆そしてこれまたとーーっても素敵な家族のもとに行かれましたね♪うれしい、うれしい!ソラくん、リクくん、マコちゃんみんなみんな可愛い!!障害もまた個性ってほんとに素敵。今日も心ぽかぽかになりました。
by とも 2023-01-18 07:35
本当に、そっくり!でも、ちゃんと個性があるんですね。保護されたての痛々しい赤い目が、今は、きらきらと生命力に溢れた目に。
同じ、リクとソラという名前も縁ですね。
by ちぃ 2023-01-18 12:09
こちらのリクくん、ソラくんも幸せになれたね。
見守るマコおばちゃんも可愛らしい、お空のチコちゃんが結んだ縁がとても素晴らしいです。
死んでいい猫なんているわけありません。ドリームキャットさんに繋いでもらった小さな命、これからも楽しい猫生を歩んで欲しいです。
by ヤンヤン 2023-01-18 18:30
>Y.Mさん
年上姉さんに、やんちゃ兄弟て、組み合わせが最高でしたね。やっぱり長いこと譲渡活動をしている方は目利きです!
by 道ばた猫 2023-01-19 10:47
>ruinekoさん
不要と扱われていた命が、こうして、輝く。ソラとリクという広々とした名前をもらって。
嬉しい限りです!
by 道ばた猫 2023-01-19 10:50
>ともさん
お父さんは、いまだすぐに見分けがつかず、帰宅して足元にやってきた子の名が呼べず「お前はどっちだ?」と聞くそうです(笑)。
by 道ばた猫 2023-01-19 10:53
>ちぃさん
ご縁の不思議と、猫の生命力とをしみじみと感じますね。
レスキューしたときは「助からないかも」と思ったというドリームキャットさんが、この記事をとても喜んでくださいました!
by 道ばた猫 2023-01-19 10:55
>ヤンヤンさん
チコちゃん、マコちゃん、ソラくん、リクくん、一家の愛情はしっかり受け継がれてますね!
揃って元気に長生きしてくれますように。
by 道ばた猫 2023-01-19 10:57
いい話やー
by ぴよこ 2023-01-25 12:07