[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

みにゃさま、こんにちは。
今回は、「歯に衣着せぬ姉御猫さん」の後編です。


「じゃあもう話はいいかな？ さっさと入って帰ったら？」と、シナモン君が過ごす別室に入ることを促すももちゃん。取材を終えて、早く帰ってほしい様子です。

ということでお部屋に入ってみると......。





先にお部屋に入っていたＴさんのお膝で寛ぐシナモン君が、少し緊張して私を見上げます。

シナモン君にご挨拶すると、Ｔさんにゴロゴロ甘えながら「こんにちはっ」とお返事。Ｔさんにシナモン君の話を伺っている間にあっという間に緊張は解け、私の膝でもこの通り。



シナモン君は今回の取材の事や里親探しをしている現状をよく分かっていて、私から聞く前に自らお話をしてくれました。

「おいら、がんばった。母ちゃんとはぐれたんだ。ヒヨコみたいに付いて歩いてたんだけどさ。おいらかわいい？ 連れて帰ってよ！ おいら、母ちゃんが恋しいんだ......」


夜の繁華街、コンビニ前――捨てられた串に僅かにこびりついているもの等の残飯を食べ、お腹を満たそうとガリガリの体で首を落としてさ迷い歩くシナモン君の姿が見えました。痩せているのと夜だからでしょうか、時折見上げる目がぎょろりと光り異様に目立っています。



Tさん宅に来て間もない頃


保護当初、体重はわずか2㎏でしたが、今では3.5キロまで増えました。

体も洗ってもらいきれいになりましたが、毛玉をカットして全体的に短くなったのでシナモン君自慢の美しい長毛が生え揃うまではあとちょっとかかりそうです。



グルーミングサロンできれいにしてもらった後の記念撮影。少し緊張気味ですが保護直後と比べ、安堵で目が優しくなっていますね。


こんなに全身で人が大好きなことを表現するシナモン君。生まれ持った性格をこうして素直に出せるのは、Ｔさんの献身的なお世話の積み重ねと、シナモン君が安心して全てを委ねられるＴさんのお人柄なのだと思います。
シナモン君は、なんとへそ天で爪切りができるそうです。すごい！ Ｔさんの日々のケアの賜物ですね。爪切りやブラッシング等一生必要なことが拒否無くできて、尚且つシナモン君にとって嬉しいリラクゼーションタイムになっていると、譲渡後の里親さんがどんなに助かることでしょう。お手入れはコミュニケーションや体調チェックにもなるので、シナモン君の里親さんは幸運ですね。

Ｔさんはご自宅でもシナモン君のシャンプーをされたそうですが、私はキャットグルーミングを習っているので、長毛の大人猫のシャンプー&ドライの大変さがよくわかります（涙）。自宅の浴室できれいに洗って家庭用ドライヤーできっちり乾かすのは至難の業です。シナモン君のケアの為に、そして里親さんに繋げる為にチャレンジされたことに頭が下がります。



どこを触っても気持ちよさそうに委ねてくれます


「おいら、父ちゃん似なんだ。おいらは子供がいても大丈夫！」

私は連れて帰れないのだと伝えたのですが、イケメン顔はお父さん譲りで、譲渡先にお子さんがいても構わないと自己アピールをするシナモン君。なんていじらしいのでしょう。

譲渡会には2度出たそうですが、お声は掛かりませんでした。近々保護猫カフェに移動して里親さん探しをする予定です。シナモン君の人懐こい性格は、カフェという場が合っているかもしれません。毎日たくさんの人にかわいがってもらえて、甘えて遊んで、楽しい時を過ごしながら運命の人を待つのでしょう。

シナモン君は甘えん坊さんですが、手放しで無邪気に甘えるタイプではなく、洞察力に優れているので、相手がどうしたら喜ぶかを瞬時に察知し、それに合わせて表現や表情を変える緻密さがあります。生まれ持った才能なので全部自然としてるんですよ。

もし私がシナモン君をお迎えしたら、あっという間にコントロールされ（笑）、自然と心地よく、言われるがままの毎日になることでしょう。母性本能をくすぐる天性の甘えん坊で、感覚が鋭いながらも柔軟性に富み、ちょっとおとぼけのかわいらしい部分も持ち合わせたとても賢い猫さんです。シナモン君の魅力は挙げるとキリがないのでこの辺にしておきますね。





シナモンマジックで離れられなくなりそうになっていると、外からももちゃんの大きな声が聞こえてきて目が覚めました（笑）！

なんとすごいタイミング。「長居してますよ」というももちゃんアラートです。

シナモン君は押し過ぎず、引き過ぎずの絶妙な塩梅をも自然とできる猫さんなので、すぐにお部屋を出ようとする私たちを過剰に引き止めることはしません。「じゃあねバイバイ」と軽めの気持ち良い挨拶でさよならとなりました。後ろ髪引かれず、爽快にさよならをさせてくれるすごい猫さんです。





お部屋を出ると、「本当にもう困ったもんだわ」と半ば呆れていたももちゃんですが、怒ってはいなかったのでひと安心です。きっとこれも来客へのしつけなのでしょう。

ももちゃんの言葉は辛辣な時もありますが、その根底にはお母さんやおばあちゃんのような私たちへの愛情を感じました。しつけに厳しい愛あるご婦人、とでも言いましょうか。心許した相手には何があってもとことん、地の果てまでも付き合ってくれるような辛抱強く愛情深いももちゃん。なんだか修道院のシスターのようにも感じました。

ももちゃんは、シナモン君のことは全てお見通しで、運命の里親さんがいることもわかっているようにも感じました。一時的な同居は、心配無用ですね。

Ｔさん、ももちゃん、シナモン君、この度は呼んで頂きありがとうございました。


Tさんより後日談をいただきました。

シナモンの現状ですが、保護猫カフェsave cat cafeに移ってから6月に3度目の里親会に出て、そこでエントリーを頂きました。エントリーしてくれたのは私の知人ご夫妻で、私の都合でトライアル開始は今月16日の日曜日からとなっています。記事が出る２日後ですね。

保護猫カフェでは来るお客さんの膝に乗り、一緒にいる猫さんたちと遊び、時には人の出入りにも動じず熟睡していて、ずいぶん安心して暮らしています。私が行くとちゃんと甘えに来てくれて、まぁそれでも早くそんな日々を忘れて一人っ子として甘やかしてもらえることを願っています。

ももちゃんはシナモンがカフェに行って存在感がなくなってから、暫くはシナモンのいた隔離部屋を用心深く確認していましたが、さすがにもういないことを納得し、また少し甘えたが戻ってきました。

どの子も性格にあった環境で幸せに暮らせますようにと願っています。
今回は素敵な機会をありがとうございました。

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