みにゃさま、こんにちは。
今回は、「訪問アニマルコミュニケーション」にご応募頂いたHさんのお宅に行ってまいりました。ご相談はこちらです。
今年5月10日に両親が子猫を保護しました。現在先住の子が3匹いるのですが、私たち夫婦がシニアで子供もいないため、子猫の里親さんを探しています。1ヵ月以上過ぎてもまだ貰い手がなく、末っ子ともとても仲が良く親子のようにしているので、引き離せなくなってきました。先住の子たち、子猫自身にとって何が一番幸せなのか教えて頂きたく応募しました。
こたろう15歳、はな15歳、りん2歳、ゆめ3ヵ月くらい。よろしくお願い致します。
まず、4匹それぞれの出会いについてです。
15年前に知人宅で生まれた親違いの子猫6匹のうち2匹を譲り受けたのが、こたろう君とはなちゃん。子猫の頃から今日までお互いを大切に思いやる仲で、幼馴染のような良い距離感の仲良しさんです。
りんちゃんは、2年前に家の裏でひとり鳴き続けていたのをHさんが保護。保護当初は先住のこたろう君とはなちゃんが子猫パワーに疲弊し体調を崩してしまいましたが、りんちゃんの成長と共に落ち着き、今はみんなと付かず離れずのいい仲です。
ゆめちゃんは今年の5月10日に近所に住むHさんのご両親が保護しました。ご両親の家の前に突然1匹で現れた子猫。親らしき猫は周りにはおらず、ひとり鳴き続けていたので放っておけず保護されたそうです。
保護直後のゆめちゃん
Hさんの取材は7月で、保護からちょうど2ヵ月後のことでした。
この2ヵ月の間に4人も里親さん候補のご縁があったのにも関わらず、なぜか毎回トライアル前に先方の都合で流れてしまったそうです。
その間、りんちゃんはまるで育児をするようにゆめちゃんのお世話をし、ゆめちゃんもりんちゃんを慕い、ふたりは離れることなく常に一緒に過ごしてきました。こんな様子を毎日見ていたのと、里親候補の話が次々と流れていったことが重なり、取材時にはゆめちゃんを家族にしようと心に決め4匹にそう伝えた後でした。
しかしながら、やっぱりちゃんとみんなの気持ちを確認したいとHさん。
上からりんちゃん、ゆめちゃん、こたろう君、はなちゃん
リビングに通されるとこたろうくん始め、来客時はいつもどこかに隠れてしまうというはなちゃん、りんちゃん、ゆめちゃんも勢ぞろいで出迎えてくれました。
勢ぞろいと言っても、こたろう君以外はベッドの下のかろうじて目が合う場所で待機。挨拶をすると、みんな挨拶を返してくれます。りんちゃんとゆめちゃんは特に人見知りなので本当は挨拶に顔を出すなんてまっぴら御免ですが、お母さんの顔を立ててがんばって挨拶してくれました。Hさんが「岩津さんにお話してね。」と4匹に念を押して伝えたことがよくわかります。
りんちゃんは挨拶の後、「もういいよね!」と押し入れの奥にそそくさと隠れてしまいました。
押し入れに入ったりんちゃんを追うゆめちゃん
Hさんに4匹の話を聞いている間、こたろう君はHさんの横で一緒にゆったり堂々と話を聞いています。
みんなの気持ちを聞くことに少し不安があるHさんの気持ちを和らげようと、「今日はうちの事でありがとう」と一言。さすが長男こたろう君です。
こたろう君
4匹の詳細を聞いた後、こたろう君にゆめちゃんが家族入りすることについて聞いてみると、「もうその話はいいから違う話しようよ。」とのこと。
この返答でHさんがこの2ヵ月、いかに毎日悩み考えておられたのかがよくわかりました。家族との時間は、ゆめちゃんのことで頭がいっぱいだったのでしょう。
こたろう君はゆめちゃんをすっかり受け入れた、と言うよりは最初からこうなると結果がわかっていたように感じました。そしてわかっていたからこそ、その過程でHさんが悩んでいると寄り添い、少しでも気持ちを楽にして欲しいと努めてきたようです。頼もしいこたろう君ですが、2か月もこの話題でHさんのサポートをしてきたので、もうそろそろ終わりにして違う話がしたいようです。
こたろう君
この様子を少し離れた場所でうとうとしながら聞いていたはなちゃん。
どうやらはなちゃんは自分の番を待っていてくれたようで、簡潔に話すとすぐに寝てしまいました。(ちなみにりんちゃんの時もあきらめて受け入れたはなちゃんです)
はなちゃんは、普段は人前には出てこないそうですが、ため息交じりに「はいはい、わかりました。ちゃんと話しますから安心して下さい。でもそんな大ごと?」と対応してくれました。面倒だけどお母さんの為ならしょうがないわ、と話してくれたはなちゃん。眠いのにありがとうね。
はなちゃん
お次はりんちゃんです。りんちゃんは押し入れの奥深くに入って出てくる様子がないので、写真を通して話しました。
「ゆめちゃんが来てからやっと落ち着いた感じ。待望の子よ。私の生き写しみたいでしょ?でもお母さんは違うから姉妹じゃないし、親子でもないよ。どんな子になるか成長が楽しみだわ。でっぷり太ったりしてね(くすっと笑う)。」
そして...
「母親にはなれないけど、いいお姉ちゃんにはなれるかな。お母さんっていいよね。私は母になるチャンスが与えられたんだと思う。お母さんごっこみたいね。ゆめちゃんがね、私がお母さんによく似てるって言うの。私は違うよって言うんだけどね。でも、そんなこと言ってくれるなんて嬉しいじゃない?」
りんちゃんはお母さんになりたかったのね、と私が言うと、
「うん。お母さんになりたかったな。だから今はとても幸せ。子育ての苦労も知れて嬉しい。これからもずっと一緒にいられたらいいな。」
りんちゃんは心から幸せそうに話してくれました。
りんちゃん良かったね
りんちゃん
続いてゆめちゃんに聞きました。
「ママみたいでしょ? でもママじゃないのよ。でもね、すっごく頼りになるの。お外にママはいたよ。でもいなくなっちゃったの。ひとりぼっちになってすっごく怖かった。人も怖かった。」
ゆめちゃんの横を通る人の大きな足と、ザッザッと足音が響く様子が伝わってきます。子猫から見ると大人の人間はどんなに大きな生き物かよくわかります。
ゆめちゃんとりんちゃん
「私たちそっくりなの。かわいいでしょ?(Hさんが)よそにやろうとしたの知ってるよ。どうしようって(りんちゃんに)言ったら、大丈夫よって。その通りで大丈夫だったわ。(りんちゃんは)子供が欲しかったんだって。だから私がいたらちょうどいいねって話したの。だから(Hさんに)言っといてくれる? 引き離さないでって。離れるがの怖かったし、ずっとここにいたいの。私ね、産んでくれてありがとうってやっと思えたの。ここに来るまで怖いことばかりだったから。」
まだまだ幼いのにしっかり話すゆめちゃん。りんちゃんに出会い、母親のような愛情で大切にしてもらい、生まれてきてよかったと心から思えたようです。
お外での不安と、Hさんのお家から一人でどこかに出されるのではないかという恐怖からようやく最近解放されたゆめちゃん。
しかしながら念には念をということで、Hさんにどうか引き離さないでと伝えてほしいと私に言いました。
ゆめちゃん
りんちゃんとゆめちゃんに聞いたことを伝えると、涙ぐんで頷かれたHさん。
決して若いとは言えない年齢なので、これからも元気にみんなといられるように、りんちゃんとゆめちゃんとも最後までいられるように、健康に気を付けて長生きしたいと仰いました。
りんちゃんとゆめちゃんはお互いの望み通り、これからもずっと一緒。母のように慕い娘のように愛し、思い合い求め合う姿は運命的な強い絆を感じます。
Hさんはシニアで現在健康で元気に暮らしておられますが、高齢のご両親やご自身の今後について、いつ何が起きるかわからないという不安があり今回のご依頼を頂きました。
はなちゃん
Hさんの年齢は、一般的な保護団体から猫の譲渡可能な年齢制限ぎりぎりです。今回のご依頼内容もそうですが、お家を拝見したりお話をしている中でもよくよく伝わってきましたが、Hさんは非常に責任感のある方でした。
今まで多くのお宅に訪問させて頂きましたが、Hさんのお宅は整理整頓され猫が4匹いるとは思えない程清潔で片付いた室内で、来客の為に一時的に片づけたのではないのもわかります(訪問数が多いからでしょうか、一時的とそうでないのはすぐにわかります)。会話だけでなくこういった室内の様子からも、きちっとされた方という性格や傾向、嗜好等も伝わりますよね。
しかしながら、シニア年齢で責任感のある方だから今後何があっても大丈夫とは言えませんし、極端かもしれませんが若いから大丈夫とも言えません。責任感があってもなくても、シニアでも若くても、将来のことは誰にもわかりません。
動物を愛し共に暮らす人は皆、動物家族が寿命を全うするまで一緒にという、いわゆる終生飼育を前提にし、個々の考え得る最大限の責任の範囲で考え、計画しお迎えをしているのではないでしょうか。しかしながら、先にも書きましたが、誰しもこの先自分に何が起きるかはわかりません。この数年のパンデミックもそうでしたね。病気や怪我、天災等、想定外のことは誰にでも起こりうることです。こればかりはどうしようもありませんが、ただ一つ、そんなことが起こっても、孤独でなければ、孤立していなければ助け合うことができます。
家族や親せき、友人知人、ご近所さんだけでなく、動物や猫が好きな者同士が繋がっていれば何か起きた時、直接的なお世話や受け入れだけでなく何かしらサポートできたり、一緒に考えたり、ご縁を繋げたりと可能性も広がるのではないでしょうか。
終生飼育は前提としても、頑なに自分だけでなんとかしようと頑張り過ぎず、ひとりで頑張っている誰かが思い浮かぶ人はそんな人を忘れないようにしていれば、今後何かあった時に猫を愛する者同士でできることがあるかもしれません。
もちろん、何もなければそれはそれで幸運ですが、危機の時にだけ必要とするのではなく、普段から人と人との繋がりや温もりが、安心の一つとしていつも手に届くところにあるといいのかもしれません。仲間がいるって素晴らしいことではないでしょうか。
猫を愛する人の心はひとつ。万国共通。猫が好きという原点と、世界中の猫の幸せを願い、猫と共に幸せになるという頂点は同じです。そんな猫好き同士が手を取り、助け合い、認め合い猫たちと共に幸せを作っていけたらいいですね。
今回のHさんのご依頼はこれからを考えるきっかけとなりました。Hさん、この度はご依頼をありがとうございました。いついつまでもみんにゃとお幸せに!
Hさんより後日談をいただきました。
岩津さんに来て頂いてから
りんとゆめは一段と仲が良く朝夜の運動会がパワーアップして楽しそうです。
こたろうとはなは我関せずのスタンスですが、
シニア組とヤング組の距離が近くなったと感じます。何気ない時にふと同じ空間に集まっていて、
何度も写真を撮ろうとするんですが
散らばってしまい、なかなか一緒の写真が撮れません。
わざと撮らせないようです。なんででしょう、、、
今私の前で、こたろうがゆめと寝ています。
岩津さんに来ていただき、この子達の気持ちを聞いて
私の気持ちも落ち着きました。
今を楽しんで、いつか来る日のために自分達だけでなく、周りのお力をお借りする事も
勉強しようと思います。ありがとうございました。
フェリシモ猫部からのお知らせです。
「岩津さんに聞く!」コーナーのブログ更新は、月一回、第二金曜日です。 次回のブログは9月8日(金)の公開予定です。
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asakacyama
【訪問アニマルコミュニケーション再開のお知らせ】
~あなたも、岩津さんを通じてペットとコミュニケーションしてみませんか?~
猫部の訪問アニマルコミュニケーションは新型コロナウイルス感染拡大の影響で募集を中止しておりましたが、現在、岩津さんのご自宅(神戸市内)より日帰りでお伺いすることが可能な範囲で再開しております。訪問範囲の詳細については個別に対応させていただきますので、ご希望の方はご相談ください。 岩津さんがあなたのご自宅に訪問して、動物と対面でアニマルコミュニケーションを行い、その様子を当ブログ上で記事にさせて頂きます。(プライバシーは守られます)
費用は90分以内¥15,000 +神戸市内の岩津さんご自宅からの実費交通費と諸経費になります。
うち15,000円は、岩津さんのご厚意により動物愛護団体に寄付されます。
詳細は、応募フォームをよくご確認の上ご応募ください。応募者多数の場合は抽選となります。奮ってご応募ください!⇒
応募フォームはこちら
※当選の場合はご応募から1ヵ月以内にご連絡いたします。
※感染の状況次第で今後の訪問範囲を広げる予定です。
※感染拡大した場合は再び訪問を休止します。
※岩津さんへのアニマルコミュニケーションの依頼や、お急ぎの方は岩津さんまで直接ご連絡ください。
お問い合わせ先はこちら⇒
animal & spirit communication
※こちらからお問い合わせいただいた場合は、猫部ブログの取材対象にはなりません。
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猫があなたに伝えたいこと』(イースト・プレス)好評発売中。
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写真
アニマルコミュニケーター岩津さんに聞く!
岩津 麻佳
2014年、ひょんなきっかけからアニマルコミュニケーターとしての活動を開始。落ち着いた語り口と外見からは裏腹に、動物たちのエピソードを時にユーモア交えて語ってくれます。
HP
ゆめちゃんの「産んでくれてありがとうって やっと思えたの…」の言葉に胸が暑くなりました。人もふわもこちゃん達も同じ、生まれてきて良かった……そう思えることが大切だと…、みんな幸せになるために生まれたは信じたいです。
by チェリー 2023-08-12 01:52
前回(前後2回)といい、訪問編もドラマがあっていいですね。
キュンとしたり笑ったり胸迫ったり・・・
みんな健気でみんな可愛いしいじらしいし愛おしい!
次も楽しみにしてまーす!
by ハヤブサの親方 2023-08-14 15:30
チェリーさま
心にゆとりができたのでしょうね^_^ 本当に良かったです。
by 岩津 2023-08-19 15:58
ハヤブサの親方さま
どこのご家庭にもドラマがありますね(*^_^*)
私も次回の訪問取材が楽しみです!
by 岩津 2023-08-19 16:00