8月の終わり。jam美容室さんに行くと、預かり子猫が2匹いました。
jamさんは、こうして、保護猫たちのおうち探しのお手伝いを長いこと続けていらっしゃいます。
この子たちは、生後3カ月を過ぎたところ。兄弟だそうです。
黒猫くんの方は屈託がなく、キジトラくんの方は、ちょっと人見知り。
1週間前にきたのですが、兄弟いっしょなので、みるみる環境に慣れました。
この子たちは、いったいどこから来たのでしょう。
とある町で、ノラ姉妹にご飯をやり始めた方が、姉妹のお腹が大きくなったのに慌てて家に入れたところ、合わせて11匹の仔猫が生まれて、母子で13匹となりました。困り果てて、保護団体に相談したものの、キャパオーバーで、断られます。
その話を耳にした、個人で保護活動をしている方たちのグループが、見るに見かねた末に、13匹を一挙に引き受けました。
母乳で育った11匹は、5匹が貰い手が見つかり、残りは6匹。グループの一人がjamさんで「こういう子猫たちの譲渡先を探している」という話をしたところ、オーナー夫妻が「一度、連れてきてみて」ということに。
顔見せに連れてこられた2匹(出かけるとき、たまたま自分たちからケージに入ってきたそう)を目にしたのが、これまた、たまたま出張でjamでお仕事をしていた、男性美容師の田村さん。
田村さんは、ずっと犬と暮らしていたのですが、5歳で引き取った海くんを、昨年11月に16歳で亡くしたばかり。以前、Jamで預かっていた黒猫を見たとき「猫も可愛いなあ」という思いが心に残っていました。
ちょうど海くんの新盆。前の日に不思議な夢を見たばかりでした。
子犬を二匹引き取った夢です。
「グレートピレネーズの子犬だったので、目が覚めたとき、さすがにグレート2匹は迎えられないな」と思っていた次の日に、二匹の仔猫が目の前に!
「もしかしたら、この子たちを迎えることになるという、夢のお告げ?」
田村さんは、すぐに奥さんにラインをします。
「子猫を2匹もらおうと思う」
「いいわよ」
「というわけで、僕たちのおうちはあっという間に決まったんだ。僕は『琉』(りゅう)って名前をつけてもらったよ」
「僕は、『幸之丞』(ゆきのじょう)。カッコいいでしょ」
田村夫妻は、猫を飼うのは初めてなので、準備が整う1週間を美容室で過ごすことになりました。
閉店間際になると、ケージフリーとなり、大はしゃぎ。
ここは、鏡が多くて、おもしろいなあ~~!
先住のマサムネくんも、つられてチビたちのおもちゃにハッスル。
さあ、お父さんとお母さんになる田村夫妻が迎えに来ました。
子猫たちに初めてご対面の奥さんも「可愛い~~」
田村さんは、ご両親と1階2階の2世帯住居なのですが、80代のご両親は、犬との別離の悲しさから、「もう生き物は飼うな」とおっしゃっていたそうな。
今回、田村さんは、子猫を迎えることを決めた後に、意を決して「子猫が2匹やってくる」と伝えました。
ご両親の反応は......。
「猫~~? いいじゃん!」
「あら~、いいわね、いつくるの、いつくるの!」
愛情深いご一家にもらわれていく、琉くんと幸之丞君くん、しあわせ間違いなし。
遊んでくれた(追いかけられてくれた)マサムネ先輩ともお別れです。
「行っちゃうのか、チビたち。またいつでも遊びに来いよ」
2匹が去った後、ちょっぴり寂しそうなマサムネくん。
チビたちは、新しいおうちに早くもなじみ始め、お父さんたちの足元や、ソファーの隣で甘え始めたそうだよ。安心してね。
そして、明日から、またjamにお預かり子猫たちがやってくるんだって!
まだおうちの見つかっていない琉くんたちのきょうだい4匹です。黒猫3匹とサビ猫1匹。
会ってみたいと思われる方は、市川駅すぐのJam美容室さんへ。
母猫2匹も、手術を済ませておうち探し開始です。
母子猫13匹を救った個人ボラのグループ「猫家族」では、毎月1回、譲渡会を開いて、地道な活動を続けています。
http://1link.jp/nekokazoku
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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琉くんと幸之丞くん、耳が大きく、目と目の間隔が広いのがチャームポイント。心もさぞかし広くおおらかなことだろう。動物愛一家にもらわれてのこれからが楽しみ。出会いを経験しながら成長していくマサムネくんの姿も見逃し難い。多くの猫を次々に保護しては貰い手を探す、その大変さは想像も出来ない。ネコ達に代わって感謝。
by Y.M 2023-09-05 14:48
私の娘が最近飼い始めた黒猫さんが、りゅう君そっくり! 違うのは、男の子ではなく、女の子。
子猫2匹。賑やかで、可愛くて、ご両親様もきっと、元気になりますね。他の仔達も良いご縁に恵まれますように。
by ちぃ 2023-09-05 16:07
お空の犬くんのお導きですか! そんなこともあるんですね。
琉くん、幸之丞くんはもう大丈夫、幸せだね。
遊んでくれたマサムネくんが寂しそうだけど、またすぐ新入りが来るからいいっか。
お外の猫さんたちを見ると複雑な気持ちになりますが、少しずつでもいいからこの兄弟のように幸せになってほしいです。
by ヤンヤン 2023-09-06 05:25
今回も素敵なおうちのお話ですね♪兄弟いっしょに迎えてもらってうれしいね、良かったね!幸せね!
本当に猫さんたちに代わって感謝です、ありがとうございます。
田村さんご一家もたくさんの幸せで包まれますように。
by とも 2023-09-08 07:29
>Y.Mさん
お店のスタッフと一丸となって、行き場のない猫たちのおうち探し。
長年続けてこられたのには、ほんとうに頭が下がります。
by 道ばた猫 2023-09-08 15:38
>ちぃさん
ちぃさんの娘さんのおうちの黒猫ちゃんも、金茶色の賢そうな瞳の持ち主なのかな?
娘さんのおうちに行くのが楽しみですね!
by 道ばた猫 2023-09-08 15:41
>ヤンヤンさん
2歳のマサムネくんは、チビたちのエネルギーにタジタジで、見送ってさびしさ半分やれやれ半分みたいですが、またまたちびっこ来襲(笑)。
by 道ばた猫 2023-09-08 15:47