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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2023年09月26日

猫たちのまなざし

皆さんは、猫さんたちの何にいちばん心惹かれますか?
肉球、ふわふわのお腹の毛、可愛い手先、眠り顔......。それぞれに魅力的ですよね。
私が各地で猫写真を撮り始めてもう15年以上になりますが、見返すと、猫がこっちを見つめている写真が圧倒的。つくづく「このまなざしに魅かれて撮り続けてきたのだなあ」と思います。そして、いろいろな猫たちのまなざしが、その子の来し方や、当時の気持ちを今も手に取るようにくっきりと伝え残してくれているのに気づきます。

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この子は、農家生まれで、別の農家さんにもらわれたウメちゃんです。
これまでも今も、安心して暮らしていることがよくわかる、警戒心のないまなざし。葉っぱの陰に隠れて、私とかくれんぼをしたときの一枚です。

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つなちゃんは、幼い時、朝の路上でカラスにつつかれているところを、出荷に行く農家の女性に救われました。一緒にいたもう一匹は、息絶えていました。
愛され猫になっても、つなちゃんの目の底には、どこか必死でいじらしいものがあります。 つなちゃんの物語は、記事で書くとかなりの分量ですが、彼女はそのまなざしで、すべてを一瞬でつたえているようです。

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同じく農家の子、ルナちゃん。彼女は、納屋生まれで、母猫と共にすぐ家の中に入れてもらえたので、怖い思いはしていない子です。人間を怖がらず甘えるまなざしが、いかにも「可愛がられている子」でした。

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ひとりぼっちでいた路上から保護されたばかりだったノラの子。
アタシ、どうなるの?ここはどこ?と不安でいっぱいのまなざし。
彼女は、すぐに譲渡先が見つかり、今は、可愛がられて丸々お目々だそうです。

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居ついた観光牧場で保健所送りを宣告され、必死で逃げ回った末に、里山に迎えてもらったちくわ君。来た当初は、こんな遠慮っぽいせつない目をしていました。

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またたく間に、里山のムードメーカー、ほのぼのちくわくんに。
せつない目をすることはもうありません。

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猫は、対象をよく見ようとするとき、首をかしげます。
通りすがりに「見慣れない人間だなあ」と、こんな目で観察されることはしょっちゅうです。
でも、尖がっていた目も、話しかけるうちにたいていまあるくなっていきます。
猫の心のうちは、おもしろいほどまなざしにあらわれるのです。

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とある出版社の社内飼いのお局様。
年季をしかと感じさせる、立派なまなざしです。

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農園のネコくん。たまにしか会いに行けないので、行くたびに「えーっと、えーっと、誰だったかなあ・・・」という目で見られます(笑)。

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岡山県のお寺さんの猫。お賽銭泥棒は、この眼力で、撃退です。

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同じ猫が見せるまなざしの変化にも、心打たれます。
マヒを持つサチおじさんのそばにいつも寄り添っていた、若き日のゴローは、「ボクがいるからね」という、つよくまっすぐなまなざしをしていました。

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サチが衰弱していくのを、ただただ見ているしかなかった頃のゴローのまなざしは、「猫もこんな悲しい目をするんだ」と今も、心に焼き付いて離れません。
言葉を持たずとも、さまざまなまなざしで、これまでと、今を物語る猫たち。
猫の心のうちを、安易に人間の言葉に置き換えることはしたくありません。でも、まなざしから、そぶりから、猫たちの豊かで繊細な感情に「思いをはせる」ことは、物言わぬ動物たちと共に生きる私たちがけっして怠ってはならないことと思います。

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わが家の菜っぱさんも、いつもこんなまなざしで、私を見守ってくれるんですよ。
「マリコ、お仕事お疲れさま。もう寝たら?」なのか「小腹がすいたんだけど」なのか、さて、どっちなのか。猫のまなざしは、ミステリアス。
さて、これまで撮りためた猫たちのまなざしをテーマに、小さな写真展示をします。
お近くに来られた折には、千変万化のまなざしたちに囲まれてコーヒータイムはいかが?

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「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。

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猫との約束
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを

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寄りそう猫
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。

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ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。

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フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!

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道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

まなざし一覧の素晴らしいコメント、写真と見合わせながら、しっかりと読みました。まなざしは、それぞれの猫の個性を、一層引き立たせていることに相違ありません。ちくわ君の目、ゴローくんの目は、二人の性格そのものです。菜っぱさんの目は「オイ、ネコタチノタメニ、シッカリトヤッテキタカ、ワタシハチャント、ルスバンシテタノダゾ」といったところでしょうか⁉

by Y.M 2023-09-26 15:14

私の家の猫さんは、みんな元ノラさんなので、まなざしの変化には驚きます。そのまなざしを裏切らないようにしたいです。
岡山のお寺のサビ猫さんのまなざし?というより目つき!たまりません……番犬ならぬ番猫。いい仔ですね~
茉莉子さんの写真を見ていると、言葉は持たないけど、気持ちや思いが、そのまなざしから、しっかり伝わってきますね。

by ちぃ 2023-09-26 18:28

どの子も気持ちが表れている目にみえます、なんて惹き付けられるのでしょう。ゴローちゃんの悲しい目は本当に猫もこんな表情をするのね…と心をうたれます。菜っぱさんの目はまた人間界の遥か上からみているような…本当に素敵な目をしていますね。
写真展、川口のカフェ・ド・アクタさんですね、行きます!

by とも 2023-09-27 07:10

目は口程に物を言う。
猫さんの視線はすべてを見抜いて、そして何かを訴えているんでしょうね。
アクタさんの「猫たちのまなざし展」、美味しいコーヒーを飲みながら、まなざしを受けてみたくなりました。看板猫のネロくんにも会えたらいいかも。

by ヤンヤン 2023-09-27 21:11

どれも印象的なまなざしのネコさんばかりですね~!
ほのぼのちくわくん、なんて福々しいお顔・・・(*^▽^*)
まるでお地蔵様のようです。
そしてゴローくんの憂いのあるまなざし…何度見ても胸が詰まります。
ネコはほんとに表情豊かで愛おしい。
どうか、つらい思いをするネコさんがなくなりますように・・・
すべてのネコさんが好奇心いっぱいのキラキラお目めで、のほほんとしたお顔で生きられる世の中になりますように・・・と改めて願わずにはいられません。

by ぴっころ 2023-09-28 15:52

>Y.Mさん

うふふ、菜っぱさんの代弁、ありがとうございます。
菜っぱさんとは、「お互い自由にやろうね」という協定を結んでいますので、ここまでは思われていないつもりでしたが(笑)。

by 道ばた猫 2023-09-29 13:35

>ちぃさん

安住の地を得た猫のまなざしの変化は、ほんとうに目を見張りますね!!
その穏やかな目を裏切らないようにしたいと、私もいつも思います。

by 道ばた猫 2023-09-29 13:37

>ともさん

今回の展示は、ここ10年の主に房総で出会った猫たちの様々なまなざしを見ていただきたくて。
どの子もどの子も、いい目をしています!

by 道ばた猫 2023-09-29 13:39

>ヤンヤンさん

猫たちのまなざしに囲まれていると、気持ちがしゃんとしたり、反省したり、新たに約束したり…とった本人も、しみじみしています。

by 道ばた猫 2023-09-29 13:41

>ぴっころさん

ほんとうに!どの子もどの子も、つらい目をせずに目を輝かせて、その子の寿命をまっとうできる世のなかになっておしいです!

by 道ばた猫 2023-09-29 13:44