みにゃさま、こんにちは。
今回は、「訪問アニマルコミュニケーション」にご応募頂いたFさんのお宅に行ってまいりました。
ご相談はこちらです。
なまえ:ちょびちゃん。女性。年齢は推定4歳半~5歳。
とても怖がりで、警戒心が強いです。手を怖がるので、まだなでなでも、ケージの中に手を入れて撫でることはできますが、ケージの外では、手を出すと逃げます。どうすれば信用してもらえるでしょうか?
それなりに、信頼関係はできているとは思います。「おやつ、ごはん、遊んで」は、意思表示してくれます。でも、まだ怯えがあるように思い、安心して暮らしてもらいたいと思っています。
どうぞよろしくお願いします。
Fさんが猫と暮らし始めたのは小学4年生の頃。当時飼っていた犬が散歩中に段ボール箱を見つけ、その中に入っていたへその緒のついた乳飲み子たちを連れ帰ったのが最初でした。
その後も家の前に猫が捨てられていたり、親戚から譲り受けたり、学校の帰り道、まさに今猫を捨てようとしている人を目撃してその猫を引き受けたり......と猫とのご縁は絶えなかったそうです。
ちなみに、捨てようとしていた人はペットショップで1匹購入した際に店員さんにもう1匹を強引に勧められ、断り切れずに飼ってしまったけれどやはり自分には2匹の世話は無理だと思い、1匹捨てることにしたのだとか。捨てる人もペットショップも恥ずべき無責任な行為。事情を聞いて「じゃあ私が引き受けましょう」とその場でFさんが譲り受け、その猫さんは幸せに天寿を全うすることができましたが、良かった良かったでは済まされない、考えさせられるお話です。
Fさんご一家は、そうして出会った猫たちと幸せに暮らしていましたが、猫の最期を見送る度に深い悲しみと癒えない辛さを抱えたご両親が、これ以上見送るのは辛いと次第に猫を迎え入れることをやめ猫とのご縁は途絶えていきました。
その後、Fさんは結婚で実家を出たのですが離婚で戻り、この頃ご両親は他界されていたので、「やっと猫との暮らしが再開できる!」と猫を探し始めました。
そして同じ市内の保護猫カフェで出会った1匹の猫、それがちょびちゃんです。
ちょびちゃんはこの半年前にとある地域で人懐こい野良猫を保護しようと仕掛けた捕獲機に偶然入っていて保護された、推定1、2歳の女の子。
人馴れしておらず、1匹で居ることを好むちょびちゃんに、Fさんは自身の一人っ子という境遇やご自身の性格と重なり一瞬にして心惹かれました。
お迎え直後のちょびちゃん
しばらくカフェに通い、満を持してトライアルを申し込み、譲渡が成立したのが2020年の夏。
お迎え直後に人に対して恐怖心を抱いているように思えたので、飼い主であるFさんは怖くない人と分かってもらえるよう、ちょびちゃんが嫌がることは一切しないと決めて接してきました。
同居生活は3年過ぎ、鳴いて意思表示をすることも増え、Fさんを怖がることはありませんが、来客や家の外の声や音への慎重さは未だに変わりません。
普段、来客時は見えない所に隠れてしまうそうですが、今回の取材時は私と話しやすい場所で待っていてくれたちょびちゃん。そして、私の訪問をFさんがちょびちゃんに伝えて以来、よくお喋りをするようになったそうです。歓迎してくれてるのかな? 何か話したい事があるのかな?
ケージの上のかまくらで待っていてくれました
岩 「ここに来て3年だけど暮らしはどう?」
ち 「イヤな事されないし、あっち(保護猫カフェ)よりはまとも。大切に思ってくれてるのは分かるけど、無理はさせないで。」
無理強いされたことはありませんが、念には念をと言ったようです。やはり慎重なちょびちゃん。
岩 「あなたに寄り添ってくれるし良い方じゃない? ここに来て良かった?」
ち 「うん。そうね、良かったかも。」
積極的に話してくれるのですが、なんだかそわそわ。心ここに在らずで先を急いでいるように感じていると――。
ち 「お母さんのこと聞くの?」
岩 「え? お母さん?」
ち 「お母さん探してくれるの?」
岩 「お母さんと何かあったの?」
ち 「突然いなくなっちゃたの。ずっと探してた。」
岩 「どんなお母さん?」
ち 「白くて金色に光ってた。すごくきれいだったの。お父さんは黒くてお腹に白い斑点があった。兄弟はいた......ねぇ、お母さん探してるの。」
岩 「お母さんに会いたいのね。」
ち 「心配なの。」
岩 「わかった。私が探せるかはわからないけど、今聞いた話をFさんに全部伝えるね。きっと何かできることはあるはず。」
不安げに、そして懇願するように「お願い」とちょびちゃんは言いました。
しかし、Fさんからちょびちゃんに聞きたい事が他にもあったので、まずはFさんの質問に答えて欲しいという事をちょびちゃんに伝えて、この場は会話を続けました。
岩 「留守番が長いからもう1匹お迎えはどう? 保護猫カフェで唯一、一緒に居た子なんてどうかなって言われてるけど。」
ち 「イヤ。お母さんがいい。」
今はお母さんのことで頭がいっぱいでそれどころじゃないのかもしれません。
岩 「Fさんに鳴いて何か言ってるらしいけど、いつも何を話してるの?」
これはちょびちゃんが普段の様子を映像で見せてくれましたが、「たいくつ!」と話していたり、「何してるの?」と聞いたりと、どこにでもある家族の風景でした。ちょびちゃんは「あっちよりまとも」なんて言っていますが、この様子を見る限りもうすっかり家族です。
ただ、お母さんのことを聞いている時もありました。今回明らかに私が来るのを待っていたのは、これですね。お母さんを探してほしいと伝えたかったのです。
岩 「人を怖がるのはなんで? Fさんがどうすればちょびちゃんに信用してもらえるかって言われてるけど。」
ち 「(信用)してるわ! 人はちょっと苦手。だって無理強いするでしょ? ちょっと待ってくれたらいいのにって思う。」
どうやら、人そのものが怖いと言うよりは、配慮が足りない猫への接し方に恐怖を感じることが過去にあったようです。これはちょびちゃん自身の経験だけでなく、他の猫への接し方を見ていてもそんな風に思い、人間に対して残念に思うことがあったのだとか。わたし達はそんなつもりでなくとも、当の猫さんが強引に感じ恐怖を抱き、それが心に残ってしまうのは悲しいことです。慎重で思慮深いちょびちゃんのような性格の猫さんには特に、個性や状況を慎重に配慮した接し方に努めたいですね。
岩 「Fさんにメッセージあるかな?」
ち 「これからもよろしくね。私ぶれないから。よそ者はご免よ。」
これは他の猫は必要ないという念押しですね。
ちょびちゃんとの会話をFさんにお伝えすると、「やっぱりそうだったのね!」と納得されました。以前、家の外を通る白猫に鳴いたりよく反応をしていたので、「もしかしてちょびちゃんのお母さんは白猫?」と思ったことがあったのだそうです。ただ、その白猫さんは、ちょびちゃんが保護された場所からかなり離れているので、どう考えても血の繋がったお母さんではないと思うとのこと。
お母さんを探してほしいというお願いに関しては、「わかりました。できる限りのことはします。」とちょびちゃんに約束されました。
一人で抱えていたお母さんへの思いをFさんに伝えることができて、ちょびちゃんの気持ちが少し楽になったのが伝わってきました。そして伝えるだけでなく、私たちがちょびちゃんの思いに理解を示したことで安心した様子です。長年つっかえていたものがとりあえず取れて、安堵の大きなため息と共に久しぶりに深呼吸ができた、そんな気持ちが伝わってきました。
お母さんが見つかるのかは誰にもわかりませんが、どんな結果であれ、ちょびちゃんにはFさんという心強い家族がいます。家族である信頼のおけるFさんといれば、どんなことだって大丈夫。望ましいお知らせがあればその喜びは二人で何倍にもなるでしょうし、残念な結果であっても二人がしっかり手を繋いでいれば心の灯が消えることはありません。家族って唯一無二、かけがえのない存在ですね。
お話して私が帰った後のちょびちゃん
家庭であれ地域であれ、人と生きる猫はその人を選び決め、出会いの瞬間を目指して生まれてきています。出会いまでどんな経緯があったとしても、あなたを目指して生きてきたのです。そんなご縁の多くは今回の生だけでなく、遥か昔から続き、出会いと別れを繰り返していると猫たちは教えてくれます。
Fさん、ちょびちゃん、この度はご依頼ありがとうございました。末永くお幸せに!
Fさんより後日談をいただきました。
その後ですが、ちょびちゃんが保護された地域に白猫さんを探しにいきました。真っ白い綺麗なママさんはいなくて、地域の保護活動されている方に聞きに行ったり、またその方から他の保護活動されている方へ繋いでいただいたりしましたが、地域にまっ白い猫はいないとの事。
ただ、ちょびちゃん によく似たブチ柄?白黒の猫ならいっぱいいるわよ、きょうだいか、親戚かもね?との事でした。保護活動されている方からは、地域猫にしてもノラさんだと長生きしないから、4年くらい前にママなら、若くても5〜6歳でしょう?もう生きていないかもね、または保護されたかも?
そもそも地域猫の寿命は短くて、早ければ6歳くらいで、、、と言われました。
ちょびちゃんには、亡くなってるかも?とは言えず、探しに行ったけど見つからなかった、ごめんね。もしかすると、ちょびちゃんみたいに人間のおうちにいて幸せかも?また今度、探しに行ってみるね。とお話ししました。(心のどこかで亡くなってるかも、、と感じている私の気持ちが、ちょびちゃんに伝わってない事を祈ります)
岩津さんが来られてから、ちょびちゃんは私に、あなたも話せるんでしょ?と言わんばかりに、話しかけて、見つめてきます。わからなくて申し訳なく感じています(笑)
そして、ケージの外でも、食べたい時だけですが、手からカリカリおやつを食べてくれるようになりました。
こんな表情も写真がとれるくらい近くに来てくれるときもあります。(2日前の写真です)
少しづつですが、私に対しては怖さが薄れてきているような気がします。
岩津さんに来ていただいて、本当に良かったと感じています。
これからも、ちょびちゃんの幸せを考えて一緒に暮らしていきます。
アニマルコミュニケーター修行もしたいと考えるようになりました。
このたびは、本当にありがとうございました。
フェリシモ猫部からのお知らせです。
「岩津さんに聞く!」コーナーのブログ更新は、月一回、第二金曜日です。 次回のブログは11月10日(金)の公開予定です。
■ Instagram→
asakacyama
【訪問アニマルコミュニケーション再開のお知らせ】
~あなたも、岩津さんを通じてペットとコミュニケーションしてみませんか?~
猫部の訪問アニマルコミュニケーションは新型コロナウイルス感染拡大の影響で募集を中止しておりましたが、現在、岩津さんのご自宅(神戸市内)より日帰りでお伺いすることが可能な範囲で再開しております。訪問範囲の詳細については個別に対応させていただきますので、ご希望の方はご相談ください。 岩津さんがあなたのご自宅に訪問して、動物と対面でアニマルコミュニケーションを行い、その様子を当ブログ上で記事にさせて頂きます。(プライバシーは守られます)
費用は90分以内¥15,000 +神戸市内の岩津さんご自宅からの実費交通費と諸経費になります。
うち15,000円は、岩津さんのご厚意により動物愛護団体に寄付されます。
詳細は、応募フォームをよくご確認の上ご応募ください。応募者多数の場合は抽選となります。奮ってご応募ください!⇒
応募フォームはこちら
※当選の場合はご応募から1ヵ月以内にご連絡いたします。
※感染の状況次第で今後の訪問範囲を広げる予定です。
※感染拡大した場合は再び訪問を休止します。
※岩津さんへのアニマルコミュニケーションの依頼や、お急ぎの方は岩津さんまで直接ご連絡ください。
お問い合わせ先はこちら⇒
animal & spirit communication
※こちらからお問い合わせいただいた場合は、猫部ブログの取材対象にはなりません。
連載が書籍になりました。
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猫があなたに伝えたいこと』(イースト・プレス)好評発売中。
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写真
アニマルコミュニケーター岩津さんに聞く!
岩津 麻佳
2014年、ひょんなきっかけからアニマルコミュニケーターとしての活動を開始。落ち着いた語り口と外見からは裏腹に、動物たちのエピソードを時にユーモア交えて語ってくれます。
HP
白猫母さん光ってたんだ😭
お母さんってやっぱりどんな世界でも特別な存在すぎますね✨
あっちよりまともって正直な感想がまた愛おしい。
慎重な猫さんと距離が縮まっていく時間の愛おしさったらないですね!
なんて可愛いセッションでしょう、ほっこりしました。
お幸せに💓
by ねんぐるみん 2023-10-23 08:12
ねんぐるみん様
みんな大好きお母さん♡
ママンは偉大、グランマンマーレですよね^_^
焦らず急かさず、絆がひとつひとつ結ばれていくこの貴重な時間を実感できるのもありがたいのだと思います。
by 岩津 2023-10-26 09:45