今週登場は、中学2年生のるいさんのおうちの、御年20歳のゴンタくんです。
抱っこが大嫌いだそうですが、大好きなパパに支えてもらって、まずは一枚パチリ。
耳は遠くなり、目ははっきり見えていないようで、足元もおぼつかなくなりました。
安全のため、ケージで囲った自分のハウスで暮らしています。
体温調節が難しくなったためか、今年初めの寒さに元気がなくなりましたが、パパが毎日寝場所に湯たんぽを入れくれたおかげで、復活。まだまだお達者です。人間で言ったら、95歳くらいのおじいちゃん。
「カリカリを音を立てて噛んで、よく食べます。人も噛むんです(笑)。若い頃は凶暴と言っていい猫だったけど、ここんとこ、丸くなったかな。もたないよって言われた捨て猫だったけど、20年、よく生きてくれてます」と、るいさんのおばあちゃま。
20年前、捨て猫だったゴンタくんは、命の期限ぎりぎりを、この一家に迎えられました。
おばあちゃまの友人の娘さんが、ゴミ捨て場に、小さな毛糸のボンボンみたいなものを発見。
近寄ると、それは生後間もなくの子猫でした。
警察署に届けましたが、1週間たとうとする頃、収容期間が終わりますとの知らせが。
それを知ったるいさんのおばあちゃまが引き取りに行ったといういきさつです。
警察では、子猫のお世話をしてくださっていたようですが、渡すときに「もうもたないよ、この子は」と何度も念を押されたそうです。
獣医さんに連れて行くと、やはり「この子、1週間もちませんよ」とのこと。
それでも、おばあちゃまは「できること」を聞き出します。答えは、「とにかく温めること」。
粉ミルクや哺乳瓶を買いに走り、ペットボトルに湯を入れてタオルに来くるんで湯たんぽにしました。
3~4時間おきにミルクを与えて...命は助かり、お達者に20年。
中学2年のるいさんは、当然ゴンタの後からこの家にやってきたわけですが、オレ様を貫くゴンタはなかなか手ごわかったようで。
「1回、噛まれてしまって、怖くてゴンタは触れないんです」と、るいさん。
るいさんのママが「めっちゃ可愛くて、めっちゃやんちゃだった」と言うゴンタくん。かなり自由気ままに暮らしてきたようです。
おばあちゃんが言います。
「とにかく言うことを聞かない子で。食卓のパンを袋ごと盗むんです。取り上げても、絶対に口から離さないで、一緒に持ち上げられたまま(笑)」
行動を束縛されるのが嫌いで、ベランダの洗濯物干しについてきても、「さあ、下りよう」には絶対に従わない。抱っこもさせない。爪も切らせない、体も拭かせない。気に入らないとガブリ。
パパがスマホに入っている10年前の写真を見せてくれました。
photo by gontapapa
おお、かなり筋肉質ですね!
段ボールの爪とぎ跡が、アグレッシブ。
というわけで、「ふつうの猫とは一味違う面白い子」として、愛されての20年です。
これまでも犬猫をよく拾っていたというパパを初め、一家全員が動物好き。
現在は、3匹の犬もゴンタくんといっしょに暮らしています。
チワワのすみれちゃんは、ペットショップで売れないまま大きくなっていた子。ケージ内生活が長すぎて、今も、ケージの外に出るのが苦手です。
おばあちゃまに甘えるダックスのおりょうちゃんは、保護団体で譲渡先がずっと見つからなかった子。
迎えたとき7歳くらいで、やってきて6年たちましたが、ひたすらおとなしい子です。
るいさんに抱っこされているのが、まだ5カ月のミックスのムギちゃん。
誰にもフレンドリーで、ゴンタ爺さまとも仲良くなりたいのだけれど......。
軽くスルーされてます。ゴンタくんがもうちょっと若かったら、かなりシバかれたかも(笑)。
「ゴンタは寒さに弱くなっているので、ことしの冬が心配」と、みんな口をそろえます。
でも、大丈夫。パパが率先して湯たんぽを毎日取り換えてくれるからね。
いつまでたってもオレ様猫で、怒ったり噛んだりもするけれど、それはまだまだ元気な証拠。
「大好きなゴンタに、ずっとずっと達者でいてほしい」
るいさんはじめ、ご一家の願いです。
保護犬保護猫、ワケアリ犬、一つ屋根の下でそれぞれがマイペースで暮らす、るいさんのにぎやかなおうちに乾杯!
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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若い頃のマイペース振りが偲ばれるゴンタくんだが、いい老け方をしている。さぞかし丁寧に面倒を見てもらってきたのだろう。訳ありで手間のかかるワンニャンたちの命を大切に、分け隔てなく愛情を注ぎ続ける、るいさん一家には頭が下がる。
by Y.M 2023-10-24 15:24
20歳!食べられるうちは大丈夫ですよね。うちの年寄り猫さんは、17歳です。先日、左上の牙が抜けちゃいました〜 けど、気に入らない仔に威嚇をかます毎日です。
とにかく、元気で、ずっと元気で…と祈ります。
ゴンタくんも、優しいご家族と可愛いワンちゃんと囲まれて、ずっと幸せに!
by ちぃ 2023-10-24 18:53
「ずっと達者でいて欲しい」
本当にそうですね!!うちの子は18歳トイレが上手く出来なくなりました。でも生きているだけで良い。
目指せ成人式と日々のお世話をしています。
by まる 2023-10-25 12:23
すごい!すごい!すごい!
名前通りのゴンタ、マイウェイで突き進んでください。良いお家に迎えてもらえて、猫の縁って素晴らしいなと感心するばかりです。いつも良いお話を読ませてくださって、佐竹さん、ありがとうございます。
by ねこま 2023-10-25 16:29
20歳のゴンタさん、お達者ですね。
そもそもオス猫はメス猫に比べて構造的に短命だったような... そんなことを全く感じさせないゴンタさん。
まだまだオレ様猫、素晴らしい猫生を送って下さい。
by ヤンヤン 2023-10-26 17:52
ゴンタくん、20歳はすごいなぁ!!真っ黒なお目目が可愛いですね。ご家族みなさんに愛されていますね。すみれちゃん、おりょうちゃん、ムギちゃんたちも可愛いですね。みんなそれぞれいいお顔ですね!
by とも 2023-10-27 07:13
>Y.Mさん
やんちゃでもビビリでも、その子がありのままで愛されている環境は、ほんとに素敵ですよね~~。
長生きの元と思います。
by 道ばた猫 2023-10-30 13:19
>ちぃさん
気に入らない子に威嚇をかます……それなら、まだまだお達者でいることでしょう。
年とともに頑固になるのも、可愛いですよね!
by 道ばた猫 2023-10-30 13:22
>まるさん
生きているだけでいい。その愛情は、しっかり伝わっていると思います。
成人式が楽しみですね!!
by 道ばた猫 2023-10-30 13:24
>ねこまさん
一家全員から愛されているごんた爺様、本当に幸せ猫と思います。
どの子も愛されて、その子の寿命を全うできますように。
by 道ばた猫 2023-10-30 13:26
>ヤンヤンさん
たしかに雄猫のお達者猫は雌より少ないようです。
ごんたくん、通説をひっくり返してね!!
by 道ばた猫 2023-10-30 13:28
>ともさん
一つ屋根の下、みんなそれぞれいいお顔。
犬猫飼いの模範みたいなご家庭でした。
by 道ばた猫 2023-10-30 13:31
ゴンタさん、最高です! 近ごろ見ないサムライのような猫さん。素敵です!
by ねこぶがんばらんば 2023-10-31 15:08