秋晴れの午後。
その日も、ジャム美容室の店内で、3匹は仲良く遊んでいました。
オーナー夫妻と一緒に通勤するキジトラのマサムネくんと、名前のまだない2匹のチビ黒猫たちです。
子猫たちに、いま名前がないのは、これから決まるだろう譲渡先で、素敵な名前を付けてもらうためです。
マサムネくんについては、当ブログ(2021/10/19「夏の落とし物」)でどうぞ。
温厚で面倒見のいいオトコで、何匹もの保護子猫たちのいいお兄ちゃんをしてきました。
このところ、立て続けに6匹到来!
近隣の町で、未手術のままご飯をもらっていた2匹のメス猫が同時に出産。「猫家族」というボランティアグループが見るに見かねて一挙に母子8匹保護したのです。
子猫6匹は、ジャム美容室預かりで譲渡先を探し、次々ともらわれていって、残り2匹となりました。
見分けのつかない兄弟。どっちもやんちゃです。
美容室預かりとなってひと月。いっぱい遊んで、よく食べます。
今年旅立ったトゥエルブ名店長の後を引き継ぎ、マサムネくんは、やってくるどの子にも慕われるのです。
それにしても、そっくり兄弟。
顔の大きさや耳の反り具合、尻尾の長さなどが違うそうですが。
やんちゃな弟たちを優しく舐めてあげるマサムネくん。
だけど、今日は何かいつもと違う...と、マサムネくんは感じていました。
夕方、市内に住む優しそうなご夫婦がお店にやってきました。
チビたちを抱き上げて「かわいい~~」と目を細めています。
兄弟を気に入って、一緒に家族に迎える人たちでした。
キャリーは、二つ用意されていて、それぞれが入れられました。
「これまで遊んでくれてありがとうね」と、チビたちのお父さんとお母さんになった二人が、マサムネくんに声を掛けます。
「チビたちは新しいおうちでしあわせになるんだよ。お別れをしようね」と、オーナー夫妻。
マサムネくんは、すべてを理解します。
こうやって、何匹も卒業していったから。
卒業後に遊びにくる子もいて、また一緒に遊ぶことだってできるから。
今日は、しあわせのバトンタッチの日。
ジャム美容室の卒業アルバムには、この兄弟がNO.98とNO.99として載っています。
さて、このジャム保育園卒業の日からひと月。
飼い主さんから電話で近況をお聞きしました。
NO.98のカギしっぽの子は「雷」くん。
NO.99の短め尻尾の子は「龍」くんという、カッコいい名前になりました。高校生のお兄ちゃんが付けてくれたのです。
2匹が一家に迎えられたいきさつは、お母さんの職場に迷い込んできたキジ白猫「ゴン」を17歳で亡くした後、猫がいない生活はさびしすぎて悲しすぎてどうしようもなかったから。お留守番をするのに、1匹ではかわいそうと兄弟で迎えることにしたのでした。
2匹はやってきた日こそベッドの下に隠れていましたが、すぐにやんちゃを開始。お兄ちゃんと大の仲良しになって、毎日毎日、ゴミ箱をひっくり返したり、家じゅう走り回ったり、カリカリ袋をかじったり...やんちゃの限りを尽くしているのだとか。
「もう可愛くて、楽しくて、毎日何かしでかすので笑ってばかり」とのことでした。
マサムネくん、安心してね。
100匹目は来るのかな、来ないのかな。
ひとりでゴロンゴロンするのも、今のうちかもね。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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ジャム美容室は、99匹の猫さんにとっては、実家の様な感じなんですね。そこにマサムネ君が居てくれれば、卒業していった仔にも、受け入れてくれた人にとっても、暖かな空間なんでしょうね。
マサムネ君、賢くて、優しくて、なんていい仔!私の娘が最近飼い始めたヤンチャ子猫も゙、マサムネ君なら指導?してくれるかな…
by ちぃ 2023-11-07 15:13
真っ黒な黒猫はここまで似ていると見分けがつかない。瞳は共にやんちゃそうだし、シッポだけが判別のポイントか。それにしてもマサムネくんは立派になった、だから皆に慕われるのだろう。お別れのさびしそうな表情が何とも言えないが、新たな旅立ちを祝福していることだろう。猫たち、そし関係者のご家族の皆様方、明るい日々をお幸せにお過ごし下さい。
by Y.M 2023-11-07 16:12
マサムネくんの優しさが画面に溢れていますね。
キャリーを見送る仕草、胸が熱くなりました。
本当にすごいのは、いずれまた来るであろう新入り子猫ちゃん達にも同様にしてあげられること。
流石は名店長トゥエルブくんの後継者です。
by ヤンヤン 2023-11-08 04:44
わー!黒猫さんたち、
顔つきがキリッとしててイケメーン🐈⬛
黒猫大好物の身としてはただただかわいいです。
by 通りすがり 2023-11-09 21:21
>ちぃさん
子猫たちの実家!まさにそれです。
やんちゃな子たちのために、一日保育園開いてくれたら、大繁盛でしょうね(笑)
by 道ばた猫 2023-11-10 10:46
>Y.Mさん
見分け方を飼い主さんにお聞きしたら、正面からは顔の大きさ、後ろからはシッポの長さ、それでも間違えやすいので、首輪の色で見分けているそうです(笑)。
by 道ばた猫 2023-11-10 10:48
>ヤンヤンさん
大きな猫さん(特に茶系の雄猫)は懐も大きな猫さんが多いような・・・。
トゥエルブくんの志がしっかり受け継がれています。
by 道ばた猫 2023-11-10 10:52
マサムネくんの存在、素敵ですね。猫って本当にすごい。人間、たくさん見習わないと!
by とも 2023-11-13 07:10
>通りすがりさん~
この子たちは、成長とともに、精悍なオトコマエになりそうですね~
黒猫、温和で賢くて神秘的で、いいですよね!!
by 道ばた猫 2023-11-13 12:49
>ともさん
新入りで慣れない子ややんちゃが過ぎる子のいるお宅には、マサムネくんが出張します!なんてサービスあったら素敵(笑)。
by 道ばた猫 2023-11-13 12:51
マサムネ殿の名前の由来がわかりました。
ほっこりする良い話ですね。
隻眼の猫は、何故か賢いんですね。
我が家もそうでした。
気持ちが通じる信用できる奴でした。
隻眼は、伊達ではなくて山本勘助側でしたけど・・・。
by hanachiban 2024-03-03 03:31