「サビ猫が大好き」と言う、亮平さん・珠央さんご夫妻。
おふたりは、都心のマンションで2匹のサビ猫と暮らしています。
年長さんは、3歳のキリンちゃん。
ごらんの通り、見るからに聡明そうな瞳を持つ、穏やかで優しい子です。
年少さんは、5カ月半のホップちゃん。
キリンお姉ちゃんより、尻尾が長くて、毛色が薄くて、目が丸くて......。
そして、お姉ちゃんよりやんちゃで、ビビリです。
亮平さんと珠央さんは、口をそろえて言います。
「ほんとうに、サビ猫って可愛らしい!!」
お二人が初めて飼った先代猫も、サビ猫さんだったのですって。
その子によって、サビ猫の魅力にすっかりハマってしまったのだとか。
10年ほど前のこと。珠央さんは、マンションの外で見かける1匹のサビ猫が気になっていました。
その子は、子猫の時から10年以上、当時あった定食屋さんのおじいちゃまにご飯をもらっていました。おじいちゃまも誰も触ったことがない生粋のノラで、名前はなく「ノラ」と呼ばれていました。
お水をもらえてなかったようなので、珠央さんは、マンションの下にそっと水を置くようになりました。
「この子は、もう12歳か13歳。そのうち姿を見せなくなって、ある日どこかで死んでいるのを発見されるのだろうか」
そう思うとせつなくてたまらなくなりました。
そこで、会員登録をしている「千代田にゃんとなる会」に連絡。保護したい旨を話しました。
会からは、「飼うのが大変だからと、また外に戻すのだけはやめてください。終生室内飼いで」と念を押され、保護を手伝ってもらいました。
その子が、「あさひにゃん」。食堂の名からの命名です。
外暮らしが長いノラだったあさひにゃんは、40日間鳴き続けましたが、やがて、心を許し、穏やかにその後5年を生きました。
あさひにゃんによって、「サビ猫ってなんて可愛いの」と、その賢さや温厚さ、愛らしさが大好きになったおふたり。
またサビ猫と暮らしたいと思い、千代田にゃんとなる会はじめ都内の保護団体のHPを見続けましたが、探すときに限ってサビ猫は見つかりません。
そうだ、房総にも保護団体があった! 記憶にあった「ドリームキャット」のHPを見てみると、そこには、あさひにゃんとそっくりのサビ猫が!
それが、保護されたばかりのキリンちゃんでした。
キリンちゃんは、3年前の12月、雨の降る寒い日に、海辺の公園に3匹で捨てられていたうちの1匹です。
漁師さんから「ゴミ箱の前に猫が捨てられている」と聞いたドリームキャットの千鶴子さんが行ってみると、シャムミックスのメス猫(1歳)とサビ猫(6か月)と茶白の雄猫(3か月)が鼻水を垂らして身を寄せ合い、ブルブル震えていました。同じ家で飼われていた猫たちが捨てられたようでした。
こんなひどい猫風邪状態でした。
珠央さんがHPを見たときは、すでに2匹は譲渡が決まり、サビのキリンちゃんだけが残っていました。キリンちゃんは、ドリームキャットの自宅シェルターにいるみんなと仲良くできる性格ハナマルの子だったと、千鶴子さんは言います。
こうして、はるばる房総から都心にやってきたキリンちゃん。やってきた日から、すぐになついて甘えてくれたのでしたが‥‥。
「手のかからない年寄り猫のあさひにゃんしか知らなかったので、生後7か月のキリンちゃんの活発さに、もうびっくり」
夜も寝かせてくれなくて困り果てた珠央さんは、千鶴子さんに相談。
「起きている時間にいっぱい遊んであげること」「子猫とはそういうもの」「キリンちゃんは、おうちができてうれしくてたまらないのよ」とアドバイスをもらい、気持ちが楽になりました。ほどなく、すっかり落ち着いて、聡明で穏やかな子になりました。
「いずれ、キリンに妹を」と思いはじめたおふたり。もちろん、サビ猫です。
今年8月のこと。ドリームキャットのHPに、サビ子猫の写真が載っていました。
道路脇をウロウロしているのを保護された2カ月半の子。
名前を見て「この子はうちに来る運命の子!」と、珠央さんは即決断。
名前は「ホップ」ちゃんだったのです。ホップ・ステップ・ジャンプからつけられた仮の名だったのですが、「アサヒ、キリン」の次が「ホップ」のビール3姉妹なんて、決まりすぎ!
やってきたちびサビを、キリンちゃんは大歓迎。すぐさま面倒を見始め、よく遊んでやる優しいお姉ちゃんになりました。
ダイエットが必要だったキリンちゃんでしたが、ホップちゃんが来てからは一緒によく動き回るので、珠央さんもひと安心。
「仲のいい姉妹ですが、キリンの気持ちには、お母さん的な母性も入ってるような」と、亮平さん。
たしかに、知らない客にビビるホップちゃんを終始守るような立ち位置のキリンちゃん。ホップちゃんにカメラを向けると軽くにらまれてしまいました。
「怖がらなくて大丈夫だよ」と、妹をやさしくなめてやるお姉ちゃん。
ふだんは、こんな風に、一緒にやんちゃをしているそうです。
「2匹共可愛くて、仲良くて、ほんとうにうれしいです」と、珠央さん。
「だけど、最初に暮らした子が白猫だったら白猫を、黒猫だったら黒猫を大好きになっていたでしょう」と、珠央さんは笑います。
そう、飼ってしまえば、どんな柄の子も最高。どの子も、いっぱいしあわせを運んできます。
地味と言われるサビ猫ですが、「飼いやすさ」や「仲間思い」では定評あり。唯一無二の個性的な柄模様、聡明さ、温厚な性格を持つサビ猫さんたちの魅力がもっともっと広まりますように。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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サビ猫、バンザイ! 私も、サビちゃん大好きです。うちにも一匹います。ドアも゙開けるし、猫さん同士がにらみ合っていると、間に入ってやめさせます。みんな一目おいているようで、わが家の、姐御です。
by ちぃ 2023-11-21 13:34
サビネコが醸し出す独特な雰囲気は何とも言えない。地味だけど見飽きることがない。ネコ達はその毛並・色彩によっても性格に特徴がでるのだろうか。ネコ達の幸せになった姿を見ていると何故か心が和らぐ。ご夫妻、ネコ達、いつまでもお幸せに。
by Y.M 2023-11-21 15:41
サビ猫大好き!3匹のサビ猫さん、みんな違ってみんなカワイイ。
私が生まれて初めて会ったサビ猫の名前は「オールカラー」でした。まさにその通りでした。
by ねこま 2023-11-21 18:04
我が家の愛猫もサビちゃんです。
7月に旅立ちましたが、初めて会った時から本当に賢くて、優しくて、頼り甲斐があって
最高に可愛い💕ニャンコでした。
今は、忘れ形見の茶トラニャンコを残してくれて、いつまでも私を守ってくれています。
サビちゃん大好き❤
by こはく 2023-11-21 20:15
キリンちゃん、ホップちゃん可愛らしい!
お空のあさひちゃんも微笑んでいることでしょう。ビール三姉妹、凄すぎます。
ホップちゃんを労わるキリンちゃん、本当に穏やかで優しそう。
聡明で温厚なサビ猫さん、いつまでも仲良くね。
by ヤンヤン 2023-11-22 05:11
わぁーー!サビ猫、サビ猫!独特の可愛さありますね!賢くてちょっぴり控えめでおっとりさんのイメージです、どの子も魅力的ですね♪たまらないですね(^^)
by とも 2023-11-22 07:03
少し前は不人気だったサビ猫ちゃんが、最近では人気度が上がって本当に嬉しい!
どの色柄でも多少の好みはあれど、猫はみんな可愛いんです!
みんなそれぞれ魅力的なんです!
by こいし るな 2023-11-22 09:09
>ちぃさん
サビ猫さんは、どこでもムードメーカーのようですね。
ちぃさんちの姐御サビさんも、末永くおしあわせに!
by 道ばた猫 2023-11-22 11:44
>Y.Mさん
たしかに毛色や柄によって、猫の性格は大体わかる部分があります。
サビさんは、私の会った限りでは、、温厚さではピカイチですね。
by 道ばた猫 2023-11-22 11:47
>ねこまさん
「オールカラー!」なんと的を得た名前!!
名付け親のセンスの良さに拍手です。「べっこう」ちゃんという子もいました。
by 道ばた猫 2023-11-22 11:50
ご縁があって最近サビ猫を保護しました。まだ4ヶ月でヤンチャですが、可愛くて仕方ないです。不思議な魅力がありますよね。これからの成長が楽しみです!
by みみ 2023-11-22 17:27
さび猫は結構甘えん坊さんが多い気がします。中には、気の強い子も居ますが、みんな可愛い子です
by 猫のおじいさん 2023-11-22 20:11
保護団体から迎い入れたポポちゃん、きっとサビは人気がないと思ってしまって。
ところが、とてもお利口さんで可愛くて。甘えん坊さんです。もっとサビの魅力を知って欲しいなぁ。
by ももちゃん 2023-11-23 09:15
>こはくさん
忘れ形見を残してくれたサビさん、今も、大切な家族の一員ですね!
しあわせな思い出がいっぱいのことでしょう~。
by 道ばた猫 2023-11-28 12:00
>ヤンヤンさん
ほんとうに、アサヒ、キリン、ホップって、デキすぎですよね(笑)。
つぎは、エビスちゃんあたりかな?
by 道ばた猫 2023-11-28 12:02
>ともさん
たしかに、サビさん、出しゃばらずに、どっしり構えて懐が深いといったイメージですね!
一家に一匹、サビ猫をどうぞと言いたくなります(笑)。
by 道ばた猫 2023-11-28 12:05
>こいし るなさん
そうです、そうです。どの毛色の子も、どの性格の子も、みんなみんな可愛い!それこそが、道ばた猫日記のテーマです!
by 道ばた猫 2023-11-28 12:07
>みみさん
わあ、4カ月のサビさんですか。そりゃあかわいくってたまりませんね。大人になっても、おっとりサビさんの魅力は倍増、楽しみですね!
by 道ばた猫 2023-11-28 12:09
>猫のおじいさんさん
サビは、三毛の一緒なので、ほとんどが雌ですが、三毛よりもおとなしい子が多いですね~。
三毛に近い濃いサビの方が気が強い子が多いような印象です。それぞれ可愛い!
by 道ばた猫 2023-11-28 12:12
>ももちゃんさん
これまでは譲渡会で残るとされてきたサビの人気、じわじわ上がっているそうですよ。うれしい限り。
ポポちゃんと末長くお幸せに!
by 道ばた猫 2023-11-28 12:14