猫と暮らすのは初めてという寺島ご夫妻のもとに、南房総から9月にやってきた2匹の子猫たちに会いに行きました。
「わっ、知らない人がやってきた!」
カーテンの陰から、好奇心に満ちたピカピカの目をのぞかせているのは、白黒のポン太くん。まだ5か月です。
「ええー、土曜日で、お父さんやお母さんとまったりしてたのに」
キャットタワーの上からお顔をのぞかせたのは、シャムミックスのワットくん。ポン太くんよりひと月お兄ちゃんの6カ月児です。
「大丈夫だよ、この人、ただの猫好きみたい」
さすが、お兄ちゃんのワットくん。弟をかばうようにこっちを偵察。
ワットくんは、水色の瞳が神秘的。香箱座りも絵になってます。
ポン太くんは、キュートなお顔に、その髪型がよく似合っています。
若き寺島さん夫妻にとっては、初めての猫。
「子猫を飼いたい、飼うなら2匹がいいかな」と探し始め、南房総で猫たちの保護譲渡活動を続ける「ドリームキャット」のHPで譲渡先募集写真を見て申し込んだのが、ワットくんと、もう1匹の女の子でした。
ワットくんは、増えるノラの相談を受けて、ドリームキャットが一斉TNRに出向いた地域で保護された子猫です。
おふたりがワットくんに会いに行ったとき、一緒にもらい受けようと思っていた女の子は噛み癖が治っていませんでした。そのため、ドリームキャットの千鶴子さんが「この子は、まだ譲渡が難しいけど、ちょうどいい年齢の子がいます」と、ワットくんを連れてくるときに一緒に連れてきてくれたのがポン太くんでした。
ポン太くんは、海岸で保護された出産間際の三毛母さんがシェルターで産んだ子猫たち3匹のうちの1匹です。
母さん猫は捨てられたのか、あのまま海辺で出産しなければならなかったら子猫たちは育っていたかどうか。
母さんのお乳を飲んですくすく育った子猫たち。白・黒兄妹は同じおうちにもらわれていき、ポン太くんがおうちを探していたのです。寺島ご夫妻はポン太くんもひと目で好きになりました。
寺島家にむかえられたワットくんとポン太くんは、最初こそ、テレビ台の奥に隠れてご飯だけ食べに出てきたけれど、たちまちなつきました。
千鶴子さんが「名前を呼びながら撫でるといいですよ」とアドバイスをしたのがすぐに功を奏したのでした。
生まれは別々だけど、「めちゃめちゃ仲のいい兄弟です」と、お母さん。
「やんのか」ポーズで始まるプロレスも、仲良し兄弟ならでは。
「猫のいる生活、楽しいですねえ!」と声をそろえるおふたりです。
「子猫はいろんなことをしでかすと覚悟していたけれど、とくに困ったことは何もしませんでしたね」と、お父さん。
「あ、でも、夜中の運動会で、こんなに踏まれまくるとは思っていませんでした」と笑うお母さん。
猫の魅力を伺うと、こんな答えが。
「甘えてくるところも、我関せずのところも、自由なところも、みんないいですね!」
どちらが見当たらないと、鳴いて探し合う兄弟。
おもちゃは、ワットお兄ちゃんの方が弟に先に譲るそうです。
で、皆さん、とっくに気づいてますよね。
2匹の鼻先のほくろがお揃いだということ。
そう、ワットくんとポン太くんは、仲良し兄弟になるべくして、海辺のシェルターを経て、優しいお父さんとお母さんのもとにやってきた運命なのでしょう。
一緒にうんと長生きしてほしい。それがお父さんとお母さんの願いです。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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黒と茶と色は違うけど似た髪型、そして鼻先のほくろと、チャームポイントがお揃いポン太くんとワットくん。ジャンケンをすればパーをだすのが得意そうなところも似ている。そのあどけない澄んだ瞳で、何時までも寺島ご夫妻を和ませてくれることだろう。
by Y.M 2023-11-28 15:39
1ヶ月違いなのに、しっかりお兄ちゃんなんですね。一緒に育てば、生まれは違っても兄弟ですね~
本当に、猫のいる生活は楽しいです。病気の時は、凄く心配ですが、それを含めても、間違いなく楽しい。子ども達が巣立った私にとって、幸せと感じさせてくれる大切な存在です。
ワット君、ポン太君、ずっと元気で。
by ちぃ 2023-11-28 17:39
可愛いー!なんてキラキラしたお目目でしょう!そして…鼻先のほくろがおんなじですね、仲良しでとっても可愛い!ほんとうの兄弟のようですね。愛情たっぷりお父さんお母さんからもらってますます可愛い兄弟になりますね(^^)
by とも 2023-11-30 07:04
南房総育ちのワットくんとポン太くん、とても幸せそう。良かったね。
南房総や館山の海岸線とてもきれいで大好きです。それでもドリームキャットさんに保護される猫たちがたくさんいるというのが現実なんですね。
この子たちのように保護されてずっとのおうちに迎えられるのはほんの一握り...
それでも保護活動に加えて、TNR活動も続けられているドリームキャットさんには、本当に感謝しかありません。
by ヤンヤン 2023-11-30 17:40
>Y.Mさん
じゃんけんをすればパーを出しそうな2匹、って、すごい観察力だと大笑いしてしまいました!
たしかに、共通点、鼻先だけじゃないようです。
by 道ばた猫 2023-12-05 13:43
>ちぃさん
ほんとうにおっしゃる通りです。病気も別れも含め、猫との暮らしはかけがえのないものですよね。
しみじみと思います。
by 道ばた猫 2023-12-05 13:45
>ともさん
なんか雄猫の方が、家族と認めた年下の面倒を見る懐が深いような気がします。
きっと、雄ならではの縄張り意識もあるのでしょうね。
by 道ばた猫 2023-12-05 13:48
>ヤンヤンさん
そうなんです。漁村では捨て猫や人知れず亡くなる子がまだまだたくさんいます。ドリームキャットさんの活動には、ほんとうに感謝と尊敬しかありません。
by 道ばた猫 2023-12-05 13:51