[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

こんな丸っとした黒猫さんに出会ったのは、とある町角。



黒猫さんは、お店のガラス窓の中から通りを眺めていて、通りかかった私とばっちり目が合ったのです。



体も目も、まん丸。
なんて、ブーゲンビリアやシクラメンの似合う黒猫さんなのでしょう。
北風の街路に、そこだけ、あたたかい光が射していました。
思わず、お店に入ってしまいました。
他にお客さんもいなかったので、優しそうな女性が黒猫さんを「猫の写真？　どうぞどうぞ。モモっていうの。男の子なんですよ」と紹介してくださいました。



「ボクの話してるんだ～」と、モモちゃん、床にゴロン。



あまりといえばあまりの無防備さ。
たっぷりと可愛がられて、怖いものなしの証拠です。



あっ、モモちゃん、そんなポーズしたら、お歳暮の「のし」つけて黒猫好きに贈っちゃうぞ。
それにしても、何から何まで丸い猫。体もお目々も性格も。
「今、6.5キロあります。保護したときは、ガリっガリだったんですけどね」と、お店の方。



「そうなの。お母さんがボクのことおうちに入れてくれたの」
モモちゃん、お母さんの靴にそっと手を添えました。



うんうん、いのちの恩人のお母さんが大好きなんだね。
2年半前の5月がモモちゃんとの出会い。大人でもなく、子猫でもなく、若そうな猫。でも、ガリッガリでした。
ある朝、一緒に暮らしている息子さん一家の坊ちゃん（当時小学校２年生）が、お手伝いで、そこのゴミ捨て場にゴミを出しに行って、驚いて帰ってきました。
ゴミの山に分け入って、黒猫がゴミを漁っていたのです。
男の子が「キャ～！」と言うと、猫はゴミの中から出てきて、お行儀よくそばに座りました。
聞けば、ご近所の方たちがときどきご飯をあげているノラのようでした。
お店はお母さんと息子さんが、プロフェッショナルで働き、お父さんが裏方をこなすという家族経営。全員が動物好き。
お父さんもお母さんも痩せた猫をほっておけずにご飯をあげるようになり、黒猫は朝に夕にやってきてお店の前で待つようになりました。
やがて梅雨入り。



「最初はみんなに可愛がられている地域の猫でいいんじゃないって思っていたんです。でも、何日も雨が続いて、この雨の中どう過ごしているんだろうと不憫になって......。ひと晩泊めてやったら、もう外に出すのがかわいそうになって。うちの猫にするとみんなで決めました。で、あれよあれよと、まん丸になって」と、お母さんは笑います。



全員猫好きの一家に迎え入れられたんだから、無理もないかも。
しかも、スタッフさんも猫好きとのことで、モモくんの爪切りや、毎日の歯磨き、ブラッシング、体拭きもしてくれるのだとか。



「モモ」と言う名は、最初にゴミ捨て場で出会った孫息子君がつけてくれました。女の子だったら「メメ」だったそうです。
獣医さんでの検診では、何の問題ない健康体とのことで、ひと安心。



モモちゃんファンはいっぱいで、チュール持参でご来店のかたも。モモちゃんのゴロンが楽しみなんですって。
（この業界のルールでは「みだりに犬猫を店内におかない」とのことで、モモちゃんはみだりにいるわけではないのですが、店名や業種を書かずにご紹介しました）



じつは、モモちゃんは、そっくりの黒猫兄弟でノラをやっていたらしく、片方の黒猫さんは車に轢かれてしまったそうです。兄弟で運命の明暗を分けてしまったけれど、その子の分まで、モモちゃん、元気で丸っと長生きしようね。

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「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。


『猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを


『寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。


『猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。


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動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。


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