真剣な目で、お母さんの手元を見つめているのは、茶トラの「花」ちゃん。
今年1月、南房総の館山駅前にあるカフェの前あたりをウロウロし、工事のおじさんや小学生など誰彼構わず、にゃあにゃあ鳴きながらついて回っていた子です。手術済みなので、捨て猫と思われました。
同じく、お母さんの手元を見つめるのは、「ダイ」くん。きょうだいの三毛「ロク」ちゃんとともに、海辺の別荘に入り込んで救出された子です。「大六海岸」と言う場所だったので、この名前になりました。
チュールだよ!と言うと、わらわら集まってくる猫たち。
左上から、「茶々」ちゃん、ロクちゃん、ダイくん、花ちゃん。
一番年長の茶々ちゃんは、台風がやってくる前日、自転車カバーの中で鳴いていた子でした。
そして、もう1匹。白猫「タピ」くん参上。
タピくんは、足をけがしていた外猫で、大雨の時にバケツの中にうずくまっているのを、急きょ保護。ケガが治ったら、外に戻そうと考えていたものの情が移ってしまい、家猫に。
そんなわけで、のぶさん・悠喜さん一家が暮らす、2世帯住宅の2階には、5匹の保護猫が一緒に暮らします。
日当たりよく、見晴らしよく、バードウオッチングも楽しめる毎日。それぞれお気に入りの場所を、ときに取り合いっこ。
おやつも、ときに取り合いっこ。でも、夜はみんなお父さんたちのベッドで仲良く眠ります。
見るからに優しそうなお父さんののぶさん。
階段や室内にかかっている愉しげな猫の絵は、みんなのぶさんの作品です。
アーティスト「いぐちとものぶ」さんとして、「PERO」というデザインスタジオを持ち、個展など多彩な活躍をなさっています。
「僕たちも、猫イラストのモデルになっているんだよ」と、誇らしげなタピくん。
タピくんの胸毛が、一部茶色なのは、ダイくんがチュッチュッ吸うからなんですって。
小さな弟に吸われるままにしている優しいおじさんなのでした。
「動物は何でも好き。中でも猫が一番ですが」と言うお二人のなれそめは、やはり「猫」でした。
じつは、のぶさんの本業は、東京に本部のあるいけばな古流の副家元。館山にも支部があり、たまたま館山で悠喜さんと知り合いました。
「無口だけど、物凄く猫を可愛がる変わった男性」と、悠喜さんは見ていたそうです。
のぶさんが飼っていた「ペロ」が白血病を発症し、手厚い看病をするも旅立ったとき、
落ち込むのぶさんと猫話をいろいろ交わして一気に心が通い合ったそう。まさに猫が結ぶ縁でした。
高1の長男くんと、中1の長女ちゃんも、猫大好き。ふたりとも猫アレルギーなのですが、うまく付き合っているそうです。
保護猫が3匹くらいになったときに「これ以上は、猫たちのストレスも考えて増やさないようにしよう」と決めていたそうですが......預かり期間のうちに情が移ったり、先住猫が新入りを受け入れたりで、いつしか大家族に。
階下のご両親のお住まいスペースにも、猫が2匹。
あずきちゃんは、悠喜さんが保護した母猫から生まれた子。母猫は猫エイズを発症し、旅立ってしまいましたが、「可愛い大切な猫でした」と、悠喜さん。
階下組のもう1匹は、空き家でみいみい鳴いていた目も開いていない仔猫を、悠喜さんのお父様が拾ってきて子育てを悠喜さんに任せた白猫「モモ」ちゃん。
「ミルクを飲ませてあんなに頑張って育てたのに、とんでもない凶暴猫に育ちました(笑)」と悠喜さん。でも、どの子もどの子も愛しいと思っているのがありありです。
いろんな猫が、いろんなドラマを持って、この日当たりのいいおうちに集合。
これから、一家のしあわせな歴史の1ページ1ページを彩ってくれることでしょう。
悠喜さんは、JR館山駅東口すぐそばにクレープ屋さん「gato」を開店したばかり。お店の壁には、のぶさんの猫絵が飾ってあります。館山方面に行かれときはぜひ立ち寄ってみてくださいね。
(営業日は
インスタでお確かめください。)
のぶさんが描く猫7福神のように、来年が、もっともっと人も猫も暮らしやすい、手をつなぎ合えるあたたかな世の中になりますよう。
日当たりのいい場所で暮らす猫さんが増えますよう。
2024年も、各地でしあわせになった猫さんたちの記事を、発信してきます。
皆さま、よいお年をお迎えください。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
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道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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猫大家族一家のネコ達は、過去の経歴もさることながら、とものぶさんの猫七福神同様に皆個性的。これだけ個性派が揃うとさぞかし賑やかなことだろう。明るく賑やかに、皆様揃って良い年をお迎えください。佐竹さん、本年も可愛らしく楽しく、また心温まるブログを有難うございました。明年も楽しみにいたします。
by Y.M 2023-12-26 16:31
年越しに心が暖かくなるお話しをありがとうございます。
猫の七福神 素敵です。特に鯛を捧げ持つ恵比寿様の表情が大好きです。神様 世の中の猫さんに暖かい場所と美味しいごはんを届けてください。
うちの猫さんたちは、たらふく食べて、ファンヒーターの前やら毛布の中やらでいい気持ちになっています。
茉莉子さん、皆さま 良いお年をお迎えください。
by ちぃ 2023-12-26 20:07
チュールを分け合う(奪い合う?)猫ちゃんたち、幸せな気持ちになれます。
いろいろな事情もあるでしょうが、そこに集った仲間なんですね。ご一家に保護していただいて良かったです。
一年間素晴らしい猫日記をありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。
よいお年をお迎えください。
by ヤンヤン 2023-12-27 12:40
なんて幸せそうな大家族…(*^▽^*)
のぶさんのお人柄がにじみ出ているような、あったかい絵もステキですね!
困っているネコさんをほっとけない気持ち、よくわかります~
うちも「う~ん…1匹なら」と最初の仔猫を保護して、1年程で6にゃんになりましたから(笑)
今回も、心がほっこり元気になる記事をありがとうございました!
今年1年、佐竹さんのブログに、どれほど元気をいただいたかわかりません。
来年も、幸せになったネコとニンゲンのお話をたくさん届けてくださいね!
ネコさんを「ほっとけない」仲間の輪が、どうか来年もどんどん広がりますように・・・
by ぴっころ 2023-12-28 12:58