[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

「いらっしゃい」
ドアを開けると、かなり大きめの茶白の猫さんが、迎え入れてくれました。

ここは、神楽坂。
毘沙門天近くの向かい側の細い路地を入ると、突き当りに可愛い猫看板が立っています。



そこを右に曲がった路地裏に、表通りの喧騒と離れて「ふくねこ堂」はひっそりとあります。



大きな招き猫が窓から手招き。猫好きなら、入らずにはいられません。
入り口のドアに「ネコがいます　とび出すことがあるので　そっと開けてください」と書かれた貼り紙。そっと開けると......。



ようこそと、堂々たる猫さんがいたのでした。
ふくねこ堂は、2007年のオープンで、オープン何年目かに一度訪れています。その時は別の猫店長さんが迎えてくれました。



そう、後ろ姿の写真が壁に飾られている「ルイ」店長さんでした！　利発そうな眼をした名店長さんでした。
「ルイは18歳半まで店長をしっかり勤め上げてくれました。8年前、そのあとを引き継いだのが、この子、ルイ2世」なんです」と、オーナーの安田さん。



「そうなんだ、よろしくね」と、今年9歳になるルイ2世くん。
そもそも、安田さんは、先代ルイ君と会うまでは猫を飼ったことがなかったそうです。
それは、神楽坂にアパートに越してきて3日目のこと。ドアノブに紙袋が吊るされていて、その中に「試しに1週間飼ってみませんか」という手紙と子猫の写真が入っていました。
そのアパートは「猫ねこアパート」の別名があるほど、猫好きが揃っていて、手紙の主も、保護譲渡をがんばっている人でした。
「わからないことは教えるから」と、その人は言い、ケージから何から全部貸してくれました。
かくして、ルイ君との暮らしが始まり、神楽坂の路地に小さなお店をオープンしたときは、アパートから一緒に通って猫店長を立派に勤めてくれたのだとか。

そのルイ君が亡くなってほどなく。実家の物置でノラ母さんが子猫を産み育てている」との、弟からの知らせが。
母猫はどうやら何人かに面倒を見てもらっているようなので、子猫だけでも保護して譲渡先を見つけようと、安田さんは、弟に子猫たちを連れてくるよう頼みました。何匹かも知らず。
やってきたのは、6匹！



ピーピー鳴く子猫たちのお世話は、アパートの住人たちが大協力してくれました。
5匹はすぐに貰い手が見つかり残った1匹が茶白の男の子。
「生まれた日は、先代のルイの四十九日のあたり。生まれ変わりのような気がして、ルイ2世と名付けました」



というわけで、ルイ2世くんも、ご自宅からカートに乗って安田さんと一緒に毎日ここに通勤してきます。（年中無休）
たまに違う道を通ると怒るんだとか。
お店に着くと、ゴロンゴロンしたり、安田さんに甘えたり、お客さんに構ってもらったり、好きなようように過ごします。



店名の通り、福を招く小物やカードや招き猫、そして、綺麗な状態のビンテージの着物も扱っています。非売品の年代物の招き猫も飾られていて、見飽きぬ不思議空間。



店長さんは、甘えん坊で気のいい猫さんですが、構いすぎる客には爪が出てしまうことも。
「猫をかまうのは、自己責任で」との貼り紙もあります。



大好きな安田さんと一日一緒に居られて、大満足な店長氏ですが、「重いです」と言われてますよ。



「小腹すいた」



「また寄ってくださいね」
あれあれ、玄関に先回りの店長さん。ピシッとしたお見送りです。
「神楽坂は「粋」の町。ふくねこ堂は路地の小さな小物販売店なので、ボクの写真を撮るためだけに入店し、ボクを追いかけまわしたりする「野暮」だけはやめてね」......構いすぎる客がたまにいらっしゃるそうなので、店長よりひとことでした。

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