フェリシモ猫グッズの販売額の一部である「フェリシモの猫基金」、フェリシモメリーポイントの「動物たちの保護と飼い主探し支援」、 毎月ひと口100円「フェリシモわんにゃん基金」等でみにゃさまからご支援をいただいている団体さまの活動レポートです。
実施場所: 岩手県
2023年10月~12月は多頭飼育に関するご相談が多数寄せられました。
8月に花巻市の社会福祉協議会からご相談があった30頭前後の多頭飼育現場。中部保健所のご協力も得られたことから、26頭のねこたちは手術が完了いたしました。手術後のねこたちはもりねこの施設に空きがなく、こねこ5匹を除いてもとのおうちへと戻したのですが、飼い主さんは70代のご夫婦で体調も悪く経済的にも困窮していらっしゃいます。
みなさまからご支援いただきました緊急支援フードを届けに伺いながら引取のタイミングをはかっておりました。
このご相談がご縁で11月に社会福祉協議会花巻市矢沢支部が主催する合同研修会にて理事長工藤が講師を務めました。
その際に、同じく花巻市で30頭以上の多頭飼育の飼い主さんから引き取りを考えている、その他にも遠野市にも2件、数10頭未満ではあるものの多頭の現場がある、ということを中部保健所の職員の方から伺い、現場視察に同行させていただくことになりました。
視察に行った花巻の現場のねこたち。雪の降る日でしたが、飼い主さんはねこたちを家には入れたくない、ということでねこたちは暖房のない小屋の中で過ごしていました。
冬毛ですのでふっくらして見えますが、フードが十分ではないとおっしゃっていましたので、栄養状態は良くないことが推察されます。
こちらは遠野市の現場のねこたち。こねこのように小柄ですがおとなのねこたちです。当初は15頭いたそうですが、2023年12月現在では6頭にまで減ってしまったそうです。
屋内で過ごしているとは言うものの、おうちの中はこのような様子です。
おうちの中やねこたちの様子から、キャットフードが不足していることが推察されました。
また、写真はありませんが遠野市ではもう1件、多頭飼育の現場を訪問してまいりました。
花巻市と遠野市で2件ずつの多頭飼育の現場。いずれの現場にも共通しているのは飼い主さんの生活が困窮していらっしゃるということ。
諸般高騰の折り、キャットフードも値上がりしたためキャットフードを与えているおうちでも量が不足していてねこたちの栄養状態が良くないことが見て取れますし、経済的な事情からキャットフードを購入できなくなりごはんを炊いてねことひとで分け合っている、という現場もあります。
もりねこでみなさまに緊急支援フードのご支援のお願いを募りましたところ、ねこたちの様子に心を痛めたみなさまからたくさんのフードが寄せられました。
それぞれのおうちにフードをお届けしてまいりましたが、まずはこれ以上数が増えないように避妊去勢手術を実施すること、そして飼い主さんが無理なくお世話できる数にまでねこを減らすことが急務です。
みなさまのご支援で設立がかないましたもりねこ診療所で手術まではスムーズに実施できるのですが、保健所ももりねこも保護施設が常に満杯の状態で現場からのねこの引き取りに時間がかかっています。
その一方で岩手県内各地の保健所からも引取のご相談は次々に寄せられます。
高齢の飼い主さんが亡くなってねこが残されている、飼い主さんが入院することになりねこの行き場がない...。全く別の地域の保健所からよく似た内容のご相談が寄せられます。全国に先駆けて高齢化が進行しつつある岩手県では、今後このようなご相談がますます増えてくるのかもしれません。
今後のことを考えると気持ちが沈みがちですが、明るい兆しもあります。
今まではねこのことは保健所や動物愛護団体、ひとに関することは行政の福祉関連部署、と担当が明確に分かれていましたが、ねこだけ、ひとだけ、を見ているのではこの問題を根本的に解決することはできない、ということが関係者の共通認識になりつつあります。
多頭飼育の現場を発見した際、福祉関連の担当者の方は飼い主さんの健康状態や困窮の程度は正確に把握できるものの、ねこたちの健康状態の確認や飼い主さんへの声掛けの仕方については難しさを感じられるそうです。
逆に動物関係部署の方たちは動物たちの状況については適切な判断やアドバイスができますが、飼い主さんご自身のことについては正確な判断をすることができません。
チームを組んで現場対応を行うことでそれぞれの専門分野を生かすことが出来、多頭飼育崩壊を未然に防ぐことが出来るのではないか。そう考えたみなさまが、あちこちで勉強会や研修会を企画してくださっています。もりねこの代表も、愛護団体の立場から講師を務めさせていただく機会も増えてまいりました。
一関保健所で開催された『ねこの多頭飼育に係る講演会』での講演の様子です。
近隣の保健所や福祉関連部門の担当者様で定期的に開催されているという研修会にお招きいただきました。福祉部門と動物関連部門、両者が連携して対応しないとねこの多頭飼育の問題は解決しない、という声が参加者からも聞かれました。
このような連携が増えれば、多頭飼育崩壊を未然に防ぐことが出来るとともに、一度対応した現場も引き続き見守りを継続することで再発を防止することが出来ます。現場からその必要性を訴え続けることで岩手県全体の意識を変えることが出来るのではないか、と考えております。
<ご支援くださっているみなさまへ>
みなさま、いつも応援、ご支援をお寄せくださり本当にありがとうございます。
日々寄せられるご相談に時に押しつぶされそうな気持ちを感じることもありますが、そんな時に支えてくださるのが活動を応援してくださっているみなさまの存在です。応援してくださっているみなさまがいらっしゃるからこそ、もりねこは日々活動できています。
ねこの問題は、ひとの問題。もりねこは、ねこだけではなくその背後にあるひとの問題にも目を向け、福祉部門のみなさまとも手を取り合って多頭飼育の問題に取り組んでまいります。
その先にはきっとねこもひとも、しあわせに暮らせる社会が待っていると信じています。引き続きの応援を賜りますよう、お願い申し上げます。
「特定非営利活動法人もりねこ」
https://www.morineko.org/