ベーグル屋さんで出会った茶白くんの名は、「モナカ」くん。
あんこがたっぷり入っていそうな、何とも魅力的なモナカです。
ここは千葉県野田市にある「ぽぽぽべーぐる」という名の、ベーグル屋さん&カフェ。
江戸川と利根川が近くを流れる、古い町並が残る町です。
春の一日、菜の花が満開の江戸川土手を北上して、10年ぶりくらいの野田市まではるばる来てしまったのでした。
住宅地の路地に、カフェの看板があり、「縁側からお入りください」の文字が。
これは、猫になったみたいで楽しそう。
懐かしい昭和の住宅がお店になっていました。
何種ものベーグルと具材から選べるので、クリームチーズとリンゴジャムをプレーンベーグルに挟んでもらいました。からだにやさしい素材で作られた、噛み応えのあるとってもおいしいベーグル!すべて手作りです。
お店に入ってすぐ、私は見逃しませんでした。本棚に猫の本が何冊も。そして、壁に猫の写真!
食べ終えて、店主の女性に「猫がお好きなんですね。猫の本や写真がありますし」と話しかけると、店主さん、朗らかな笑顔でこんなことを。
「はい、その写真、私が撮ったうちの猫なんです。モナカっていいます。あとで、2階から連れてきましょうね~」
わあ! 立派な茶白のモナカくん。6歳だそうです。ずっしりと重そう。
食べ物屋さんなので、自由に店内を歩かせたりはしませんが、猫好き客の要望があれば、こうして店主の奈帆さんに抱っこされたモナカくんに会うこともできるそう。
奈帆さんは、小さい頃からずっと猫を飼っていた猫好き。クリスマスイブの日に迷い込んできた「イブ」という白い猫を、お店のオープン3か月後に亡くしてからは、「もう猫は飼えないかな」と思っていました。食べ物屋さんでもあるし、忙しかったし、見送るのはもうつらすぎるし。
でも、猫好きなので、「猫の日」には、猫好きのお客さんたちで集まって奈帆さん特製の「猫まんま」を食べながら 猫話をしたり、持ち寄り猫写真展をしたり。
願いが叶うとお客さんたちに人気の当店の七夕の短冊に、叶えられないと思いながらも「猫と一緒に暮らしたい」と書いたのは、7年前の夏のこと。
翌月の暑い盛りに、ふと店の縁側を見ると、2カ月くらいの可愛い子猫が‼ どこからやってきたのやら、縁側で寝そべったり、庭で遊んだり。「なんで、ここの天使がいるの」とみんなでびっくり。
子猫は夜になる前にどこかへ帰って行って、朝、玄関を開けると「おはよう!」という感じで、そこにいるのです。
「大の動物好きで現在はトリマーを志す、当時中学生の次女が「うちの子にしよう」と言い続け、チョロチョロしているのは心配でもあったので、1週間目に家に迎えることを決めました」
あ、これは、まさに天使。短冊を見たノラ母さんが「毎日通って、ここの子にしてお貰い」とけしかけたのでしょうか。
ちっちゃい時は紙を破り散らかすなど、やんちゃを極めたそうですが......。
6年後の今は、胆が据わったマイペース猫さんに成長し、フレンドリーで誰にも抱っこされる穏やかな隠れ看板猫に。
次女さんの希望で、2年前にはプードルの「ポトフ」くんも仲間入り。2匹は仲良く一緒に寝ているそうです。
7月生まれの長女さんと一緒に、毎年バースデイを祝ってもらうモナカくんです。
奈帆さんは、町に根ざした垣根のないコミュニティー作りを目指し、スタンドFMの「ぽぽぽラジオ」で、その日の出来事や思うことなど毎日の発信を続けています。
また、手紙部、写真部、スパイス部、映画部などのユルくて楽しい「ぽぽぽ部活動」も、「みんながまあるくつながる」という菜帆さんの生活テーマの一環です。
「なんかね、猫としても、すごーく居心地のいいおうちに押しかけて、仲間に入れてもらっちゃった」と、モナカくん。
そうだね、猫も人も居心地のいい町がいちばん。
また、会いに行くね!
※ぽぽぽべーぐる
千葉県野田市中根66
営業日と時間は、曜日によって違いますので、店のインスタでお確かめください。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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ふくよかな体つきのモナカくん、人付き合いが優しそうな上に寝顔も素晴らしい。モナカくんに加え、周囲の環境、お店の雰囲気などを見ていると平和な雰囲気が伝わってくる。こんな平和がいつまでも続きますように。
by Y.M 2024-04-16 15:05
美味しそうなお名前ですねー
猫は自分で家を選んでやって来ると聞いたことがあります
うちにも、いつの間にか、家の近くにやって来て、家に迎えた仔が3匹います
選んで来たの?と聞いても、勿論答えてくれませんが、きっとそうだと思っています
モナカくんもきっとそうですね
by ちぃ 2024-04-16 18:39
>Y・Mさん
人付き合いのいい猫さんって、お店にぴったりですよね!
飼い主だけに心を許す猫ももちろんたまらなく可愛くて、しまっておきたい(笑)
by 道ばた猫 2024-04-17 15:03
>ちぃさん
きっとそうですよ!! ちぃさんちを選んでやってきたのですよ。
みんなみんなそんな気がします。
by 道ばた猫 2024-04-17 15:04
これは立派な茶白のもなかくん、たしかにあんこがたっぷり入っていそうです。
短冊に「ネコと暮らしたい」なんて書いたらNNNの思う壺、そんな話よく聞きますね。
お迎えされてから6年間の写真にとても癒されます。
我が家の姫ももう7歳、歳を重ねた後のこのまろやかさって本当に何なんだろうと思っています。
by ヤンヤン 2024-04-19 05:10
>ヤンヤンさん
猫の可愛さって、後半が本番と思います(笑)。きっと熟年・老年猫さんと暮らしている方は、同感してくださるのではないかなあ。
by 道ばた猫 2024-04-30 11:01