[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

なんて可愛いツインの後ろ姿でしょう！
ここは、横浜市にある一軒家。春の昼下がりです。
2匹は、仲良し兄弟。

名前を呼んでみましょう。
謙信く～ん！



「呼んだ？」
おや～、かなりのやんちゃ顔ですね。
好奇心に満ちたまん丸な目と、左犬歯がちょっとはみ出ているのが、謙信くんの個性。

もう1匹は、信玄く～ん！



「なあに？」
こちらは、小さめの目に、しゅっとした面長なお顔。なんとも味のある個性派です。
兄弟は、2年前の8月に、ここの子になりました。



よく見れば、口元など、そっくりですね。
二匹は、2年前の2月の終わり、神奈川県の温泉町の藪の中に、生まれたての３きょうだいで捨てられていました。発見したのは、夜の散歩でそこを通りかかった元保護犬の福井ロイくんです。
ロイくんは藪で立ち止まり、奥の大きな石をじっと見て動きません。飼い主さんが不審に思い、石の向こうを覗くと、段ボール箱がありました。ゴミかと思い、通り過ぎようとしましたが、ロイくんは戻りたがります。
もしやと段ボールの蓋を開けると、なかには、生まれたての目も開かない仔猫が3匹！
棄てられたばかりのようでした。寒い夜でしたから、発見が遅れたら、命は尽きていました。
雄2匹、雌1匹の3匹はロイくんのおうちで、譲渡先が見つかるまで大事に育てられることになり、女の子には譲渡先が決まりました。
「譲渡先を探している兄弟子猫がいる」という情報を、保護猫カフェ「鎌倉ねこの間」さんから聞いたのは、美里さんご夫妻でした。タイミングよく、2人は家の新築を機に猫を迎えようと思っていたのです。美里さんは、学生の時から「鎌倉ねこの間」に出入りしていた猫の間ファンで、夫君とのデートの場所でもあったとか。
家の完成が少し遅れ、2匹がやってきたのは生後半年たった8月。
トライアル初日から、兄弟はゴロゴロゴロと甘え、猫じゃらしで大ハッスル。すぐに新しい家族とおうちになじみました。



美里さんは、猫と暮らすのは初めて。「猫って、人見知りとばっかり思っていましたが、この子たち、誰が来てもまるで人見知りしないんです」と笑います。捨てられてすぐに拾われ、怖い思いを何一つしたことがないからでしょう。



ネーミングは、「動じない子」と聞いた子にまずは「信玄」と武将の名をつけ、相棒には敵陣の武将「謙信」とつけたそうです。



たしかに、勇ましいお顔です。



信玄君は、拾われたときから「小眼球症」という、眼球の小さな症状を持っていましたが、視力や日常生活に何の問題もなし。むしろ、のほほんとしたいい味を醸し出しています。



謙信くんのほうがやや食べ過ぎ気味なので、信玄くんに多めにあげるのですが、信玄くんは最後に謙信くんに譲ってしまうのだとか。



「謙ちゃんは、甘えん坊で、ベタベタと後をついてきます」



「信ちゃんは、おっとりさんですが、頑固でしぶといところもあります」



2匹は大の仲良しで、戸棚にしまってある猫餌をぶちまけたりのやんちゃも一緒。
夜中に小腹がすいてお父さんのお顔をざらざらの舌で舐めて起こすのは信ちゃんで、背後で待っているのは謙ちゃんと、チームワークもばっちりです。お母さんは何をやっても起きないので、もっぱらお父さんを攻めるのだそう。やはり武将が揃えば作戦がみごとですね。



現実の謙信と信玄の「川中島の戦い」は、両者が勝利宣言をしたそうですが......。兄弟の「川中島の戦い」プロレスは毎日繰り広げられ、やはり五分五分とのこと。初戦は、体格がやや大きい謙ちゃんの有利なのですが、戦いが長引くとしぶとい信ちゃんが盛り返すのだとか。



2匹なら、やんちゃも2倍ですが、笑顔も平和も幸せも2倍。
「兄弟で迎えて本当によかった」と、おふたりは口をそろえます。



「やんちゃ放題は諦めました（笑）。川中島の戦いを毎日繰り広げて、このまま揃って元気で過ごしてほしい。願いはただただそれだけです」

動物の遺棄は犯罪です。棄てられていた3きょうだいを見つけ、しあわせを運んだロイくん、縁を繋いだ保護主さんとねこの間さん、ほんとうにありがとうございます！！
謙信くんと信玄くんの、愉しき日常は、美里さんが毎日発信するインスタグラムskrd1013で見られますよ。

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