5月晴れの、茨城県水戸市内。
白い木のフェンスのすき間から顔をのぞかせて、小道を眺めている可愛らしい猫さんがいます。
きれいなハチワレ模様の白黒さん。
黒い鼻先と、そのそばに小さなほくろがあるのも、チャーミングです。
「ようこそ」
おや?ハチワレくんのおうちはお店のようです。
MYA-ZUKI(なんですって? みゃー好き!)と書かれている素敵な建物。
ギャラリーも兼ねる雑貨店のようです。入らずにいられましょうか。
花盛りの前庭に5月の陽光が踊って、猫さんの美しい金色の目もキラキラと輝き、絵本の中に迷い込んだよう。
「ボクは、ここの店長なんだ。名前は『ぼっちゃん』。ちゃんまでが名前だよ。よろしく」
リード付きで、お父さんとお庭に出ていた店長さんなのでした。
お店はおしゃれな一軒家。ドアを開けると、わあ~~!
猫好きにはたまらない世界が広がっていました。
奥行きも広く、いろいろなコーナーに、作家物を中心とした選び抜かれた猫モノが、あふれています。
陶器、バッグ、靴下、タオルやハンカチ、アクセサリー、マスキングテープ、便せんやカード、ガラスコップ、スリッパ......。どれもこれも可愛くて、よそでは見られない品ぞろえなので、猫好きはここで思わず時を忘れて過ごすことになるでしょう。この日の私のように。
ここは、猫を愛する高橋ご夫妻が、12年前に開いたお店です。棚も机も壁も、すべて旦那様の手作りなんですって。
レジのところに、いま出会ったぼっちゃんにどこか似た猫さんの写真が飾ってあります。
センター分けの髪型。ぼっちゃんとは反対側の右頬にほくろがありました。
「この子は、8年前に推定16歳で天国へ旅立った初代店長のみーこです」と、奥さまの由美さんが教えてくださいました。肩書は、ぼっちゃん店長の部下の「副店長」ですって。
みーちゃんことみーこさんは、由美さんが手なずけて家猫にした元ノラさん。穏やかな性格で、店長としてお客さんたちに愛されてきました。
みーちゃん亡き後、由美さんはさびしくてさびしくて。保護猫の譲渡先募集情報を眺めていた2年前のこと。みーちゃんに面差しの似た男の子の写真に目が吸い寄せられました。
「この子だわ!」
そうして、みーちゃんが旅立ってちょうど6年めの2022年10月に、7匹きょうだいで保護されたうちの1匹というその子はやってきたのでした。
「顔を見てた時、すぐに名前はひらめきました。この子はぼっちゃん!って」と、由美さん。
たしかに! 邪気のない、凛々しくもやさしげなところが、ぴったりの名前です。
ぼっちゃんは、お父さんといっしょに店の外回りや店内を一日に何度も何度も見回りしているので、お店に行けば会える確率の高い店長さんです。
この日は、初夏を思わせる気持ちの良い陽気で、ハイビスカスがよく似合っていました。
お店の目の前には、疎水百選にも選ばれた「備前堀」。散策にはもってこいです。
坊ちゃんも、ときどき水面を眺めに行きます。決して抜けない安全なリード付きなので、大丈夫!
お店の外壁にも、店内にも、保護猫譲渡推進のポスターが貼ってあります。
お買い上げ全額が保護猫活動支援に寄付される、猫デザインのバッグチャームなども販売ちゅう。
2年前からギャラリーは保護猫譲渡会場として提供され、「茨城桜ねこの会」主催の「みゃーずき譲渡会」の場となっています。
「そうなんだ。ここは、のらねこも外猫も幸せになりますようにと願う猫好きが集まる猫愛あふれる猫パラダイス。水戸に来たら、ぜひ寄ってね!」
凛々しいお顔で見送ってくれた坊ちゃん店長。名誉店長となったみーこさんが空の上から、その働きぶりに目を細めています。
※MYA-ZUKI(みゃーずき)
茨城県水戸市白梅4-2-19
11:30~18:00
不定休なので、お店のインスタでその月の開店日をお確かめください。
お店のインスタグラム =
mya_zuki2012
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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うわ~!素敵なお店に素敵なネコさん♪
ネコ好きには1日いられそうなお店ですね~
そして、『ぼっちゃん』というお名前!
私の母校が、夏目漱石が教えた、小説『坊っちゃん』の舞台にもなった高校なので、なんだかとっても親しみを感じてしまいました(^o^)
ネコ好きが集まる猫パラダイス、いつかぜひ行ってみたいです♪
by ぴっころ 2024-05-28 14:20
行儀がよく奥ゆかしそうなみーこさん、そんな面影から、ぼっちゃんが由美さんの目に止まったのが良く分かる。ぼっちゃの黒い鼻先と、何事にも興味を持っていそうな顔つきが皆の心をひきつけて、お店が賑わい保護猫活動も順調に進むことを祈りたい。
by Y.M 2024-05-28 15:50
みゃーずき? それは、無条件で入っちゃいますねー
加えて、こんなに可愛い猫店長さんがいるなんて!
近ければなぁ~
私も、何時間でも居ると思います
ぼっちゃんちゃん、これからもお店を盛り上げてね
by ちぃ 2024-05-28 20:00
ぼっちゃんさんは看板猫を超えて店長なんてすごい! このお店とかっこいいぼっちゃんにゃんこに猫好きはもちろん,猫もあこがれちゃいます♪ 自分の家と茨城がギリギリとなりの県じゃないんですけどいい機会に猫好きならば行きたいところです
by ひろにゃん 2024-05-29 16:32
白黒ぼっちゃん、ひょっこりお庭から顔出しが可愛らしいです。
先代店長のみーこさんが毛皮を着替えてやってきたのでしょうかねぇ。
ネコグッズを探し行きながら、ぼっちゃんにご挨拶なんていうのも楽しそうです。
by ヤンヤン 2024-05-30 05:10
>ぴっころさん
松山ですか!それなら、この名前にビビビときますね(笑)。
いつかぜひ行ってみてくださいな~。
by 道ばた猫 2024-06-04 16:10
>Y・Mさん
先代は奥ゆかしい風情で、2代目は若き気品で、それぞれの魅力がありますね!
疎水のほとりのお店に何ともぴったりです。
by 道ばた猫 2024-06-04 16:14
>ちぃさん
「みゃ~ずき」って、思い切った名前をつけましたね!
でも、猫好きならけっして見逃さなくて、正解!
by 道ばた猫 2024-06-04 16:16
>ひろにゃんさん
他の県をまたいで、って小さな旅を楽しめる距離ですよね~。
機会あらば、ぜひ!
by 道ばた猫 2024-06-04 16:19
>ヤンヤンさん
猫好き友だちにプレゼントしたいグッズがいろいろありました。
私も、また再訪問が楽しみです。
by 道ばた猫 2024-06-04 16:21