この春、久しぶりに、田園風景の中にあるカフェ「アンチ―ブ」に行くと、こんな新顔猫さんがお店の外庭にいました。
なんだよ、なんだよ、それ以上近づくなよという顔つきです。
外猫歴、かなりありそうですね。
中腰になって逃げる姿勢なので、その日はお近づきにはなれませんでした。
マスターに聞くと、去年秋、外に置いてあった小鳥用パンくずを失敬しているのに出くわしたのが、初対面だったとか。
そういえば、ここの看板猫だったドラちゃんも、小鳥の餌のパンくずを食べていたのがマスターと初対面の、ガリガリのノラちゃんだったのでした。
マスターは去年の3月に、ドラ君を亡くして以来、寂しさをずっと抱えていたので、この猫さんに情がうつってしまったようです。
そう、あの男前のドラ君が空に上って以来、私もさびしくて、長いことここに足を向けられないでいたのでした。
(当ブログ2020/10/20「
オトコの風貌」)
「で、あの子をお店の子に?」
「そう思って、少しずつ手なづけているんですが、なかなか用心深くて。女の子なんですけどね」
「えっ、雄猫とばかり思ってました。雌にしてはなかなかの面がまえですね」
ご飯をあげるようになって、ぴょんぴょんウサギのように走ってくるので、「ぴょんちゃん」と名をつけたそうです。
そんな話をして、5月にまた行ってみると‥‥。
ぴょんちゃん、栄養がついたのか、毛艶もよくなり、かなりふっくらしているじゃありませんか。
先日、店のお客さんで猫の保護活動をしている方にお願いして、避妊手術を受けさせに、動物病院へ連れて行ってもらったそうです。
「すると、なんと、ぴょんちゃん、男の子だったんです! 去勢済みの」と、マスター。
「病院行きの怖い思いしちゃったぜ」とぴょんちゃん。
「タマタマがなかったので、女の子とばかり思いこんじゃったんです」と、マスターは笑います。
というわけで、ぴょんちゃん、只今、2代目看板猫の修業中。
といっても、どこから通ってくるのか、どうやら他にも食堂やねぐらがあるような気配だそうです。店の敷地で過ごす時間は長くなりましたが、マスターが用意したねぐらにはまだ入ってくれてないのだとか。
「少しずつ、店に慣れさせていきます」とのこと。
店裏の大きな石の上で、風に吹かれていたり。
気持ちよさそうに寝入っていたり。
店内に入ってくるのは、朝夕が多いのだとか。今のところ、触らせるのは、マスター限定。
お店の中には、先代のドラちゃんを偲ぶお客さんたちの絵や写真やお手紙が飾られています。
ドラちゃんが、どんなにお客さんたちに愛されていたのかわかります。
だからこそ、お客さんたちは、ドラちゃん亡き後のマスターの悲しみがよくわかっていたので、今は口々にこう言うそうです。
「マスター、ぴょんちゃんが現れてよかったね!」
可愛い声でマスターに甘えるぴょんちゃんの目、どんどん丸くなっていきます。
「あ、甘えている顔、見られちゃったぜ」
ほんとは、甘えん坊なんだよね。
ここが安住の地と分かったら、ぴょんちゃんはぴょんちゃんなりの「オトコの風貌」を作っていくことでしょう。
ちなみに、ぴょんちゃん、年齢不詳で、6~7歳のような、いや案外若いような...だそうです。
※軽食&喫茶 アンチ―ブ
千葉県柏市藤心389-1-2
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
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道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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眉間にしわを寄せた風情のぴょんちゃん、渋く男前だったドラ君が先立ってしまったのは残念だが、その跡を継ぐに相応しい存在感を示すのも、最早時間の問題だろう。お幸せに。
by Y.M 2024-06-04 13:44
うんうん、やっぱ男の子のお顔ですよね~!
ぴょんちゃんのお目めが、まあるく幸せそうになってきて、ほんと嬉しくなります。
ドラちゃん、渋くて存在感のある男前でしたが、ぴょんちゃんも、なかなかですよ~♪
頑張って修行して、立派な2代目看板猫になってね~!
by ぴっころ 2024-06-04 14:21
きびしい野良猫生活からぴょんちゃんが幸せになれてよかったです ぴょんちゃんは、瞳のグリーン色とか、どことなくどらちゃんに似ていますね もしかしてどらちゃんが猫てんごくでもういっかいやさしいマスターと一緒に暮らしたかったから、一部白にしてきたのかな?
by ひろにゃん 2024-06-04 16:36
寂しい思いのマスターを見て、ドラちゃんが、ぴょんちゃんにお空からお願いしたのかも 「行ってあげてね」って
ぷくぷくの体とまん丸お目々は、すでに家猫の風貌ですね
これから、暑さ厳しい季節なので、安心です
きっと、お客さん方にも愛されますね
by ちぃ 2024-06-04 18:24
なんと! ドラくんの後継、ぴょんちゃん登場ですか!
ドラくんには会うことができませんでしたが、ぴょんちゃんなら会えそうですね。是非行きたいです。
昨年、平日に休暇が取れたので東松山やまだ商店さんを訪問、ちゃたおくんに遊んでもらい、お蕎麦を堪能できました。
まだまだ行ってみたいところがいっぱいです。(笑)
by ヤンヤン 2024-06-04 19:41
温かいぴょんちゃんライターありがとうございます😊
私はオーナーの同級生です。
去年秋からずっと見守ってきました
うちの母も先代ドラちゃんにちゅーる上げたりまた、ナデナデしたり家族4代で可愛がってました。
ドラちゃんが亡くなり、暫くみんな淋しく色々話していたら、本当にある時にぴょんちゃんきてビックリ❤️😲
本当に最初は近くに行くと逃げてしまい、ん~~どおしたら、心許してくれるのか?
と、遠くから見てましたが、今ではスリスリも来てくれるので、少し戸惑いますが、きっと愛される存在にはなることは間違えないです。
素敵なほっこりライターありがとうございます😊
また、楽しみにしております😊
by 佐野ママ 2024-06-05 05:36
>Y・Mさん
ぴょんちゃんが2代目看板猫に収まったあかつきには、「オトコの風貌」ならぬ「オトコの変貌」で、また記事を書きたいと思います(笑)。
by 道ばた猫 2024-06-07 10:13
>ぴっころさん
そうなんです、ぴょんちゃんも「なかなか」なんです。
きっと、また人気者になることでしょう。
by 道ばた猫 2024-06-07 10:15
>ひろにゃんさん
ドラ君もそうでしたが、ぴょんちゃんの目の色も綺麗な黄緑色で、魅力的です。
おしゃる通り、ドラ君が白毛を足して戻ったかな?
by 道ばた猫 2024-06-07 10:18
>ちぃさん
アンチ―ブは、田んぼを拭吹き渡る風も心地よく、裏に木陰もたくさんあるので、ぴょんちゃんの夏はこれまでよりずっと快適と思います。
by 道ばた猫 2024-06-07 10:20
>ヤンヤンさん
おお!やまだ商店のちゃたおくんに会いましたか。チャーミングなオトコだったでしょう?
私も久々に会いに行きたいです!
by 道ばた猫 2024-06-07 10:22
>佐野ママさん
4代で、ドラちゃん可愛がり、いい思い出ですね!
ぴょんちゃんとも、もっともっと仲良くなるのが楽しみですね~。
by 道ばた猫 2024-06-07 10:25