幸代(さちよ)さんご一家が、長男くんの小学校の運動会帰りに一家で保護した「にゃんたろう」くんが、めでたく20歳を迎えたとのことで、福島県まで会いに行きました。
おお、あなたがにゃんたろうくんですか。
休日で、仙台から帰省中の長男彰(あきら)さんといっしょに、仲良くお昼寝しています。ごめんなさい、物音で起こしてしまいました。
大事に大事に抱かれるにゃんたろうくん。
20歳、おめでとうございます。
彼は、20年前、ここにやってきたのでした。一家の初めての猫として。
彰さんが小学校2年生で、弟の嘉(よしき)くんがまだ保育園の時。小学校の運動会が終わり、車で帰宅途中、一家は前方の道の真ん中に子猫が転がっているのを見つけます。
「死んじゃってるね。道ばたによけてあげよう」
車を降りてみると、子猫は息をしています。それで家に連れ帰りました。
「お母さん猫が探してるかもしれないから、連れて行って様子を見よう」ということで、いっぺん現場に連れて行ったのですが、母猫はいませんでした。
疥癬という皮膚病にもかかっていたし、息子たちが「飼おう、飼おう!というので、譲渡先は探さず、そのままこの家の初めての猫となったにゃんたろうくん。
にゃんという愛らしさ。
一家の三男坊のごとく、愛される日々。
にゃんたろうは、いろいろなことをやらかしてくれました。
紐を飲み込んだため、バリウムを飲んで、なんとか開腹手術を免れたり。
玄関の傘立ての上に乗っかって、倒れた傘立てがガラスを割り、そこから外に出ようと顔を突っ込んで怪我したり。
押入れの天井板を自分で押し上げて、天井裏を探検したり。
家族旅行など、どこへでも同行。リード付きでの外出にはすっかり慣れています。
そんなにゃんたろうをひとりでお留守番させるのはかわいそうなので、保護猫を迎え、その後も、敷地内に現れた猫を迎えたり、道で拾ったりと、猫との縁は続き、一番賑やかな時は、6匹いたそうです。
三毛猫のはなちゃんは、5番目にやって来た子です。
次男の嘉(よしき)くんが小学校3年生くらいのとき。遊びから帰ってきて、お母さんにこう言います。
「きかんぼの子猫と道で遊んできたんだ」
「その子、どうしたの」
「置いてきた」
「お母さん猫は?」
「いなかった」
「冬にお母さんのいない子猫をそのまま置いてきちゃダメでしょ。探して連れておいで」
そんないきさつで、迎えてもらったはなちゃんでした。
たしかに、美人さんできかん気なお顔をしています。
「カメラを向けると目線をくれるので、モデル猫と呼ばれていました」と、幸代さん。
はなちゃんは、小さい時から、「かわいい、かわいい」と言われて育ったので、自分の名は、「かわいい」と思っているらしいとか。
お父さんのことは「私のペット」と思っているそうな。
4匹を見送り、現在は、にゃんたろうとはなちゃんの2匹となりました。
家族の歴史を長いことそばで見続けてきた2匹です。
「そうなの。東日本大震災の時は怖かったわ! あの後も何回か大きく揺れたけど、にゃんたろうおじさんったら、起きないのよ」
他の猫とは適度な距離を保ち、人ともあんまりベタベタしない、ちょっとクールなはなちゃんなんですが、揺れると、ギャアギャア隠れ場所を探すのだとか。
日頃の強気と、怖いものとはギャップがあるんですね。そういえば、にゃんたろうさんは、日ごろはのんきなのに、病院へ行くと、ビビりまくり唸りまくりで、豹変するのだとか。
豹変と言えば・・・・。
幸代さんは言います。
「一番変わったのは、父ちゃん。猫を家に入れるのを最初はあれほど渋っていたのに、猫たちを一番溺愛し始めて。自分の中のリミッターが壊れるのが嫌だった見たい(笑)」
にゃんたろうさんは、今も、リード付きで、お散歩に出ます。
足腰は弱り、お耳は聞こえないそうですが、家族の帰宅はすぐに気づくのだとか。
「入学、卒業、旅だち・・・・・息子たちの節目節目に、いつも猫たちはそばにいてくれましたね」と、幸代さんは感慨深げ。
仙台暮らしの彰さん。こんなに可愛がっているにゃんたろうと離れてさびしくはありませんか?
「こいつとは、遠く離れていても魂はふたつでひとつみたいな」という熱い言葉が返ってきました。
「にゃんたろうの一番かわいいのは、この角度からのハチワレと頭の丸さなんです。カギしっぽもね」
ほんとだ!
どうか、末永く、しあわせに。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
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道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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家族の節目に猫さんたちがいる
猫飼いには、納得ですね。
にゃんたろうくんの20年は、ご家族にとって子どもさんたちの成長と重なりますね。
うちの最年長猫さんも18歳です。にゃんたろうくんを目指します!
キレイな三毛のはなちゃんとこれからも仲良くね。
by ちぃ 2024-07-02 15:22
家族の節目に猫さんたちがいる
猫飼いには、納得ですね。
にゃんたろうくんの20年は、ご家族にとって子どもさんたちの成長と重なりますね。
うちの最年長猫さんも18歳です。にゃんたろうくんを目指します!
キレイな三毛のはなちゃんとこれからも仲良くね。
by ちぃ 2024-07-02 15:23
幸代さん一家の暖かい猫愛に包まれて、それぞれに楽しみ成長して来たにゃんたろうくんとはなちゃん、随分しっかりとした顔つきになっている。素晴らしい環境が、猫の性格や姿かたちまで変えてしまうから不思議。末永くお幸せに。
by Y.M 2024-07-02 15:32
なんと!20歳のにゃんたろうおじさん、リードをつけて今もお散歩とはお達者すぎますね。
三毛のはなちゃんも聡明な顔立ち、シニアねこさんたちの穏やかさに癒されます。
大所帯のねこさんたち、それを見送る。それぞれの時間を生きた結果でもあり、それは幸せなことと理解できるようになりました。
我が家は姫様一人ですが、穏やかに最期まで一緒にいられることを願います。
by ヤンヤン 2024-07-03 19:15
奇跡のあの出会いから20周年 にゃんたろうさん、凛々しい顔を見せて、お元気そうにおさんぽなんて子猫に負けないパワーの持ち主ですね!三毛のはなちゃんも美猫。このうちには、いろいろな猫の歴史が詰まっていて素敵。
by ひろにゃん 2024-07-09 20:26
記事にして頂けただけでもありがたいのに、温かいコメントまで頂けて…(涙)
動物さんと暮らす全ての人が願う、" 元気で長生き "
願っても叶わない事も多い中、にゃんがこの歳まで、元気で生きてきてくれた事を、手を合わせたいくらいありがたく思っています。
どうか皆様のご家族様も皆、健やかに長生きされます様に…
by にゃんたろうとはなの母 2024-07-16 14:50
我が家にも、12さいのもこちゃんと8さいのじしくん、3ヶ月の空くんがいます。
by もことじじのおかあさん 2024-07-17 09:39
>ちぃさん
家族の成長とともに、猫はあっという間に歳をとっていますね。
だからこそ、一日一日が愛おしいですよね。
by 道ばた猫 2024-07-17 12:21
>Y・Mさん
たしかに、愛されて年を重ねてきた猫さんは、落ち着いて自信に満ちたおおらかな顔つきをしていますよね。
にゃんたろう・はなちゃん、共白髪で末永く!
by 道ばた猫 2024-07-17 12:24
>ヤンヤンさん
見送ることは、それぞれの時間を生きた証。ほんとうに同感です。
姫さまとどうぞ、一日も長く一緒に過ごせますように。
by 道ばた猫 2024-07-17 12:26
>ひろにゃんさん
いろいろな猫の歴史が詰まった家や人生。
猫好きにとって、最高のしあわせに違いありません!
by 道ばた猫 2024-07-17 12:29