千葉県松戸市本町(ほんちょう)は、江戸期に水戸街道の宿場町として栄えたあたり。歴史ある建物も点在していて、ぶらぶら歩きが楽しい町並です。
「山田屋の生活用品 SINCE1953」と、ガラス戸に書かれている店に入ってみましょう。
おや、なんという風格ある居住まいの綺麗な長毛三毛さん!
媚びもビビリもせず、悠然と座っています。
「カノンちゃん」というのですって。
商品の品ぞろえもまた魅惑。
バケツやホウキ、籠やざる、器やタオル、猫マトリョーシカなどの雑貨まで、ありとあらゆる内外の「用の美」が選りすぐられて置かれています。
あっ、カノンちゃんがイラストになったトートやTシャツやキャップまで。
こんなステッカーまでありました。
すてきなお店で看板猫しているカノンちゃんですが、12年前に、店と隣の蔵とのすき間でノラ母さんから生まれた子だったそう。
美人の母さん猫の産んだ子は、みなおうちが決まり、カノンちゃんは、ここのお店猫としてお客さんたちのアイドルとなりました。
カノンちゃんはガラスドアの内側から外を眺めるのが好きで、その姿を見た通りかかりの人がよく「猫さんがいたので入ってきちゃいました」と入店なさるのだとか。
さすがの招き猫です。
自然体のフレンドリーな接待で、カノンちゃんに会うのを楽しみに来店するお客さんもたくさん。
店内に姿が見えないときもあります。
「今さっきまで、ここでお客さんに撫でられていたんですけどね」
「あ、鈴の音がしましたね。階段の上かな」
手がすいているときは、11代目である店主夫妻や10代目であるお母様が親切に探してくださいます。
「カノンちゃんを探せ」ゲームはとっても楽しいけれど、ついついひとり盛り上がりしてしまうので、他にお客様のいらっしゃるときはほどほどにしましょう(笑)。
カノンちゃんの秘密基地はいくつかあって、たいていそこにいます。
階段、もしくは階段下のスペース。
商品棚の下のすき間にいることも。ひっそりお客さんウオッチングを楽しんでいるのかも。
お店を始める前の江戸期は、寺子屋だったという山田屋さん。ずっと犬派で、猫を飼うのは初めてだったというご家族を、カノンちゃんはとりこにしてしまったようです。
カノンちゃん、実は出産経験があるそうで、子どもたちはそれぞれもらわれていきましたが、その1匹は、路地を挟んだ隣のビルの2階にある「カルガモコーヒー」さんのおうちにもらわれていったとか。
カルガモコーヒー店も、とても気持ちのいい空間で、「カノンちゃんの息子のトラは、家じゅうに可愛がられて元気にしてます。はい、大事な家族です」と笑顔のやさしいマスターが教えてくださいました。
※山田屋
松戸市本町12-8
10;30~18;30 火曜日定休
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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長毛三毛とは珍しい、そんなカレンちゃんは多種多様なお店の品々とも良くマッチしている。「カレンちゃんを探せ」ゲームは楽しそう。買い物にもついつい手が出てしまうのでは・・・。
by Y.M 2024-07-16 12:37
隅から隅まで、ゆっくり探索したいお店ですねー
まして、こんな美猫なカレンちゃんがいるのならば尚更です。聡明そうなお目々が魅力的!
色々なところに潜んだりしているのも猫らしくていいですね~
カレンちゃんグッズを持ってる人を見かけたら、知らない方でも思わず声をかけてしまいそうです。
by ちぃ 2024-07-16 14:25
これはまたゴージャスな長毛の三毛さんですね。
会社に入った頃は松戸経由で通勤していましたが、今は武蔵野線利用となり松戸駅前もすっかりご無沙汰しています。古い町並みがきれいなので、お散歩がてら雑貨を探しにカレンさんに会いに行くのも楽しそうです。
by ヤンヤン 2024-07-17 05:04