フェリシモ猫グッズの販売額の一部である「フェリシモの猫基金」、フェリシモメリーポイントの「動物たちの保護と飼い主探し支援」、 毎月ひと口100円「フェリシモわんにゃん基金」等でみにゃさまからご支援をいただいている団体さまの活動レポートです。
実施場所: 静岡県東部および伊豆半島西南部
●高齢者の猫問題に取り組む
2023年度の目標として挙げた、高齢者の問題に取り組む為、独自のチラシ4000枚を地元自治体の福祉関係部署をはじめ、包括支援センター・民生委員に協力依頼し、配布。2022年度よりのべ8か所にて同テーマにて講演や自治体会合に参加。特に独居高齢者の猫問題に着手した。
《K町》
一人暮らしの高齢者の猫相談に、以前ご親戚からの依頼で個人ボランティアが取り組み、15匹の不妊手術を終えたものの、全頭捕獲することが出来ず、半年以上が経過してから当会に相談があったケース。
基本、他団体が取り組んで中途半端になった現場は引き受けないのだが、レアなケースな為やむを得ず、引き受ける事になる。室内・室外それぞれに何頭術済みがいるのかもわからず、室内においては、手術時に耳カットの無い猫もいると言う。結果合計21匹の捕獲。ウチ8匹は手術済みだった為、耳カットのみを施す。また捕獲終了時、裏の農家の倉庫で猫の声がするとの情報。広い倉庫の為、入り口シャッターに捕獲機を挟み込み、確実な捕獲を試み成功。繁忙期が終わって暫く開閉の予定が無いと聞き、本当に良かった。
前回捕獲直後に生まれた猫達も数匹いたこともあり、冬支度として発泡スチロールの猫小屋も数か所設置。高齢の管理者が、少しでも管理しやすい工夫と、近所への告知と見守り依頼を行った。
同じK町の高齢者のゴミ屋敷。ひと月前に32匹のTNRを行った現場のフォロー捕獲。自宅でも近くの実家でも、全く不妊手術に応じない統合失調症らしき高齢男性。別居状態の奥様からの依頼だったが、ともかく不妊手術に関して同意すらしない為、頭を抱えてしまった.。餌やり人の協力が得られない為、捕獲は困難を極めたが、奥様の協力を得て自宅・実家と順次全頭手術に成功した。
《M市ケアマネより依頼》
元々ご主人が存命だった時に、室内に10匹以上の猫がいて、ここも他団体が以前取り組んだ現場だと言う。それも取り組み時にちょうど不妊手術していない猫二匹が外に脱走して一か月になるとのこと。まずは捜索チラシの配布途中に、一匹を発見。痩せて衰弱しているのにも関わらず、怯えていて捕獲に苦労したが、とりあえず確保。そのまま動物病院に駆け込み、一時的に自宅療養の後、体調が回復してから不妊手術。また、もう一匹はチラシを見た近所の方が保護されたことが分かり、その家で飼育継続してくれる事となり、残った室内猫と共に不妊手術を実施。
しかしながら、問題はその後だった。
本人の生活スペースである6畳の茶の間はほどほど何とかなりそうなものの、トイレや風呂に面した台所スペース及び玄関回りは、長年の糞尿とゴミで目も当てられない状況。木の床だった為、いくら掃除してもきれいにはならなかった。
このような状況ではペルパーもひきうけてくれないと、ケアマネジャーからの相談だった。生活保護のため、リフォームも叶わない。
まずはヘルパーと一緒に床の糞尿をかき取り、ごみを片付けた。壁紙と床の張替えも金銭的に不可能な為、当会のスタッフ3名が、室内清掃・クロス貼り・クッションフロアー貼りを数回に分けて実施。クッションフロアーはビニールなので、今後もし汚れてもふき取りが可能。また、猫のマーキングがある為、通常の施工の仕方ではなく、床より壁に20センチほど立ち上げて貼るなど工夫。何とかヘルパー訪問にこぎつけた。
<ご支援くださっているみなさまへ>
いつも動物ノートの活動にご支援有難うございます。2022年度に環境省によって策定された「多頭飼育防止ガイドライン」に基づいた活動の一環として、本年は高齢者の猫問題をテーマに位置づけ、他機関連携を目指して熱心に取り組みました。
高齢者の問題は、生活環境と密接に関係している為、動物関連の支援にとどまらず、生活支援も同時に行わなければならない難しさがあります。愛護動物は人間がいなければ生活できない為、取り組みのたびに引き取っていては、ボランティアが成り立っていきません。
高齢者の動物を引き取るシェルターではなく、そうなる前に発見し、自宅や地域社会で最後まで世話が出来るような支援が必要です。
また、社会弱者の家庭では、継続した人間の支援が必要な事が多く、報告期間のあと人間の相談会にも参加し、問題のある家庭の援助にも取り組む事に繋げています。
巷では「今更地域猫なんて」と言われることも多いですが、こういった高齢者の猫問題に対応する為にも、当会がこだわっている本当の地域猫活動が必要と考えます。室内であれ室外であれ、地域の方たちが助け合う体制が出来ていれば、高齢者に何かあった時にも、ボランティアが引き取る必要は殆どありません。
県東部ではおかげさまで殺処分ゼロを維持してはいますが、その原因が、以前は飼い主のいない猫の子猫だったのが、今は室内の過剰繁殖に変わりつつあります。どうにも出来ない動物が続々と産み出されては室外に出されているケースが増えているのを鑑みると、違った形の取り組みが必要と感じます。
またその為には、令和二年に法改正のあった、過剰繁殖に対する厳罰化に基づき、保健所や警察などと連携した活動もしていく必要を切実に感じます。その時代の流れに沿ったやり方に、すぐシフトしながら丁寧に取り組んでいきたいと心新たにしています。
引き続き皆様のご支援、よろしくお願い申し上げます!
「動物ノート」
http://www.doubutu-note.jp/