ピカピカの目をした茶トラくんが、ソファの上でくつろいでいます。
町なかはとっても暑いのに、ここに来たらいい風が入ってきて、暑さを感じません。
おやおや、茶トラくんにキジトラくんに真っ黒くんに、チョコレート色のラブラドールさんもいました。みんな仲良しなんだね!
チョコラブさんは「ちゃりこ」と言う名で、13歳。目がもう見えなくなっているそうですが、穏やかにのんびりと、猫たちと仲良く暮らしています。これは毎日がとっても楽しそう。
「あのね、お客さん。うちには、猫があと2匹いて、庭には大きなカメもいるんだ。だから、お父さん、お母さん、動物家族7匹の大家族なの。あと、もうおうちを出てお仕事してるお兄ちゃんがふたり、ときどき帰ってくるけどね」
キジトラくんがそう教えてくれました。
ケヅメリクガメのモンゴくんには、庭に入って最初に出会い、仰天したところでした。なぜって、60キロという巨体が、広いお庭をのっしのっしと歩き回っていたのです。
わけあって、廃業するペットショップから引き取って24年だそう。甲羅文様が何とも神秘的。「モンゴくん」と呼べばのっそり近寄ってきてくれるフレンドリーなカメさんです。
ここは、佐倉市郊外の田んぼや果樹園やラベンダー畑が広がる田園地帯。みかさん夫婦が手作りしたウッディーなおうちは、その高台にあります。窓からは野辺や大空が見渡せ、野辺を渡る涼風が入ってくるのでクーラー要らず。
金属を加工したアートを手がけるご夫妻にとって、手作りはお手の物。あちこちにワクワクする屋根裏などの小部屋や素敵なコーナーがあります。ああ、猫になってひと夏暮らしたい!
いまいる動物メンバーで、猫たちよりずっと前にやってきたのは、ケヅメリクガメのモンゴくん。
次に、黒兎のクロップくん。その次が、チョコラブのちゃりこちゃん。
6年前に、成田市郊外の友人が学校に迷い込んだ子猫を保護したというので、迎え入れたのが、最初の猫。キジトラのマーくんでした。今は天国にいるウサギのクロップくんがお母さん代わりになって、いつも寄り添って育ててくれました。
その2年後が、黒猫パンサーくんと茶トラのちゃちゃおくんの兄弟子猫。
ご近所さんのご実家に捨てられていた子猫で、保健所行きと聞いたみかさんがすぐに迎えに行きました。
そして......2年後。。
またもや黒猫くんが。「短尾(たんぽ)」くんです。
保護活動で知り合った方の保護した子猫でしたが、あまりにも人馴れしない子で、触ることさえできないでいたのを見かねて迎えました。クリスマスイブに保護されたので「イブオ」という仮の名がついていたその子を、パンサー兄ちゃんやちゃちゃお兄ちゃんがせっせと面倒を見てくれて、すっかり家猫になりましたが、いまだお客さんは苦手です。この日は逃げていく姿をちらりと見せてくれただけ。
続けてやってきたのが、短尾くんと同じかたに保護された長尾(ちょんぽ)くん。
やはり人見知りの長尾くんは、屋根裏の奥深く隠れて、その姿を見ることはできませんでした。
2階のベランダで転がっていたのは、いつの間にか1階から上って来たパンサーくんだったのかな。黒猫が3匹って、一日ではほんとうに見分けがつきません。
金属加工という力仕事を手がける多忙な日々、地域で路頭に迷う猫を放っておけずに保護譲渡に奔走するみかさんは、タフで、愛情深く、チャーミングなひと。
2階の部屋に飾られていた、このちゃりこさんの絵も、みかさんが描いたものです。
夏の終わりの半日を心地よく過ごして、おいとまするとき、2階ベランダの手すりから、黒猫くんが見送ってくれました。あれはパンサーくんだったのか、短尾くんだったのか。
今度行ったら、ちゃんと見分けられるくらい仲良くなりたいな。
取材後に、みかさんが送ってくれた写真です。
暖炉に火が入る季節になると、こうして集まってくるんですって。
みかさん夫妻のウッディハウスで過ごしたのはひとときでしたが、私は肌で感じた気がしました。自然の大きな巡りや恵み、そして動物の種を超えた大きな愛情の循環を。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
Instagram
ここは正に田園ハウス。ウッディハウスに周囲の風景といい、多種多様な動物たちといい、自然が一杯。生き物たちの世話は本当に大変と思うが、自然が流れている空間・時間は何とも言えず、素晴らしく羨ましい。訳ありの住人たちの個性は様々でも、それぞれの瞳はみな輝いているし、こうした仲間と見つめ合っていると、時のたつのも忘れそう、大家族の皆様、お幸せに。
by Y.M 2024-09-17 17:21
素敵なお宅ですねー
クーラー無しで暮らせるなんてうらやましい! こちらは、今日も35度超えでうだるようです。
大きな亀さんにびっくりです。名前を呼べば来てくれる?可愛いですね~
犬さんも猫さんも、ゆったりしてますね。暖炉に集まる猫さんの写真、
暖かさが伝わります。
by ちぃ 2024-09-17 18:50
みかさん宅、本当に素敵なおうちですね❣️
猫達もちゃりこさんもみんな仲良し、のんびり穏やかに暮らしているのがよくわかります😊
エネルギッシュで愛情あふれるみかさんに迎え入れられたこの子達、のびのびと本当に幸せそうでこちらまで幸せな気持ちになります。
私も、あの猫部屋に住んでみたい!
ひと夏と言わず、半年くらい^^
光の入り具合がとっても素敵な写真とあたたか記事、読ませていただきほっこりしました💓
いつも素敵な記事や写真をありがとうございます♪
by kimiko 2024-09-17 20:19
みかさん宅、様々な事情でやってきた動物家族の皆、仲良しで穏やかでマイペースに暮らしていて、とっても素敵🩷
みかさんのおおらかな優しさと愛情が、ちゃりこさんやニャンズ達、モンゴ君にも伝わっているのですね😊
私も猫部屋にお邪魔して、ひと夏と言わず半年くらい過ごしてみたい!!
この猛暑の中、冷房要らずの緑に囲まれた風通しの良い素敵なおうち。
窓から差し込み光も、みかさんの描かれた絵もとっても美しくて素晴らしいですね。
みんなが暖炉のまわりで丸くなる頃、またお邪魔したいです^^
あたたかくて自然の恵みを感じる素敵なおうちのご紹介、ありがとうございました🎶
by kimiko 2024-09-18 11:10
亀にラブラドール、猫さん5匹とは素晴らしい大所帯ですね。
モンゴくんは24歳、本当に亀さん長生きです。
佐竹さんでも流石に1日では黒猫を見分けられないんですね。(納得)
暖炉にたくさんのアンモニャイト、ああこれは羨まし過ぎます。
by ヤンヤン 2024-09-19 04:29
>Y.Mさん
室内飼いでも、こんなに自然を感じる住まいだと、猫の目もピカピカなのかと、感じ入りました!
人も同じはず、窓を開けようっと。
by 道ばた猫 2024-09-25 10:47
>ちぃさん
暖炉やストーブに集まる猫さんって、絵になりますよね。多頭飼いの醍醐味。
冬にまたお邪魔したくなりました。
by 道ばた猫 2024-09-25 10:49
>kimikoさん
猫も人も居心地のいい風通しのいいおうちって、最高ですよね。
みかさんの太陽のようなパワーも素敵でした!
by 道ばた猫 2024-09-25 10:52
>ヤンヤンさん
黒猫とキジトラは、たくさんいたら、見分けが難しいですね~。
猫さんの方は人間をバッチリ見分けていそうですが…(笑)
by 道ばた猫 2024-09-25 10:57