ミケちゃん、はじめまして。
「ええ~、知らない人が来た!お父さんが呼んだの?」と、恨めしそうなミケちゃんです。
ミケちゃんは大の人見知り。
隠れ場所を探し始めます。
先週ご紹介した、市川市北口ちかくの大門通り商店街活性化に大活躍の黒猫くぅちゃんのいる「夏秋武蔵屋酒舗」さんの、猫好きオーナーナツコさんに聞いてやってきたのです。
「この先に、すごく美人さんの三毛さんがいますよ」って。噂通りの美人さん!
「そうなの。お父さんは私がとっても自慢なんだけど、私はお父さん以外の人苦手なの」
まあ、そのうち出てきますよと、お父さん。
一緒に暮らすことになったいきさつをお聞きすることにしましょう。
ミケちゃんとの出会いは、隣の松戸市に住んでいたときのこと。
近くの駐車場には、いつもたくさんの猫がいました。
お世話をしている方が、1匹ずつ避妊手術をなさっていたのですが、「自分ではとても追いつかない」とこぼしていました。
また子猫が生まれきて、1匹もらってくれないかと言う話に。
お父さんは猫を飼うのは初めてで一人暮らし。もらうなら、一番元気のいい子が飼いやすいかなと、丈夫そうなオスの白猫をもらうことに決めました。
「その子をもらいにいったら走り回って捕まらず、一番小さくて弱々しい三毛の子が足元に寄ってきたんです」
「その子は弱り切ってるよ」と言われましたが、運命を感じたお父さんは、「この子にするよ」と、その三毛をもらうことに決めました。
やってきてしばらくたった頃。まだやせっぽち。
これは、だいぶたってから。
お父さんのスマホはミケちゃんの写真でいっぱいです。
おやつにつられて、ミケちゃんが出てきました。
「ほら、可愛い写真を撮ってもらおうね」と、可愛くて可愛くてたまらないお父さん。
ミケちゃんがのびのび暮らせるように、40年ぶりに小さい頃に住んでいたこの持ち家に越してきたそうです。
「小学生の頃、学校に捨て猫を持ち込んで先生に叱られ、友達と協議。武蔵屋さんのナツコ
姉さんに相談しよう!と。姉さんは、2日でおうちを見つけてくれました。姉さんは、いつも猫のことで熱くなってくれたなあ」
自室は2階にありますが、お仕事が終わって外階段を上ってくるお父さんを、ドアのすぐ内側で、ミケちゃんは毎日お出迎えしてくれるそうです。
ときたま、飲んだりして帰宅が遅くなると、ミケちゃん、拗ねて、しばらくいつもと様子が違うそう。
「ミケといるだけで毎日が楽しいですよ。ミケとずっと一緒に暮らせるよう、健康のこととかいつも考えますね。武蔵屋さんに連れて行っては「オレになんかあったらここに来るんだぞ」と言い聞かせてます(笑)」
ミケちゃんのお母さんたちが暮らしていた駐車場近辺の猫さんたちは、手術が追いついて
生まれてくる子もいなくなり、数も減ってお世話されているということで、ひと安心。
ミケちゃんのお母さん猫はまだ元気で、年に一度はミケちゃんを連れていくそうです。
「猫同士は覚えてはいないんだけど、おばちゃんが喜んでくれてねえ」と、お父さん。
お父さんは言います。
「弱り切ってた子がこんな美人になるとは思いもしなかったけど、みんなに美人さんだねと言ってもらうのは、やっぱりうれしいものですね」
あの日、ミケちゃんは「このひとんちの猫になる!」って決めてお父さんの足元に寄っていったんだね。
ミケちゃん、お父さんに大事にされて、ずっと元気でね!!
大門通りには、まだまだ幸せになった保護猫のドラマがいっぱい。
間が空くかもしれませんが、取材させていただいた順に紹介していきたいと思います。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫は奇跡』
"ふつうの猫"たちが起こした奇跡の実話17選
『
猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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