ほぼ4か月ぶりの花はなの里訪問です。
里山はすっかり秋が深まっています。
わあ、気持ちよさそう!
青い空ひとりじめの猫さんはしのちゃん。
ここに現れたときは、出産後のガリガリで汚れ切った姿で花はなのゴミステーションを荒らしていたそうです。
やがて子どもを連れてくるようになり、母子共々麻里子さんに保護されました。
子猫ちゃんはもらわれていき、しのちゃんはすっかり里山猫の一員として、ふくふくと。
カフェの前庭の木に、上ろうとしている猫さんの丸々としたお尻の可愛いこと!
おや、トラ吉くんではありませんか。
新人ながら、その愛嬌ある体形で、一躍、キャンプ場のお客さんの人気者になっていると聞きました。
「とら吉ったら、下手なくせに木登り見せたがるんだから。だいたい若いのに体が重すぎるのよ」と、見上げているのはさえちゃんです。
さえちゃんも、やってきたときは痩せっぽちの女の子だったのに、ずいぶんとしっかりしたお姉さんになったね。
ちくわ君が、キャンプ場に遊びに来た母子におやつをもらっています。
「あとで、カフェにおいでね」と声をかけて中庭へ。
謙治くん、久しぶり!
ますます風格が出てきましたが、温厚で心優しき里山猫の中堅です。
お客さんに撫でてもらっているのは、れんくん。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん」とあとを慕っていたゴローは空の上ですが、こんなに立派に成長しました。
カフェ「ダム」に入ると、今年も薪ストーブが赤々と燃えています。朝夕は冷え込む里山では、大きなストーブは欠かせません。ちくわくんも来ています。
初めてハッピーやサチに出会ったときも、ストーブが赤々と燃えていて、そのそばでハッピーが全身まひのサチの毛づくろいをしてやっていて、「こんなあたたかな世界があるんだ」と目に心に焼き付いたものです。
カフェの店内には、ゆずちゃんの特等席が。
19歳になったゆずちゃんは、ここでのんびり一日を過ごすことが多くなりました。
撫でてやると、ゴロゴロゴロと大きく喉を鳴らしてくれます。
そして、店内には、あれ、あれれ?
ハッピーが2匹!!
いや、右側がハッピーです。では、左側はだあれ?
ハッピーの娘のカナちゃんは、奥の部屋で寝ていたし・・・。
よく見れば、足が曲がって背中の毛がパサついてきた20歳越えのハッピーより、左側のワンちゃんのほうが若いことがわかります。
そう、花はなの里に新入り犬がやってきたのです。この日の4日前に。
名前はアイちゃん。15歳の老犬で、すでに認知症が進んでいます。
ひとり暮らしの高齢のお男性が亡くなって遺されたアイちゃんを、麻里子さんが引き取ったのです。
幼子がお母さんとお散歩に出て、うれしくてスキップしているかのような、アイちゃんの足取り。
寒い冬が来る前に、おうちができて、仲間ができて、よかったね。
19歳のカナちゃんは認知症が始まり、ハッピーとアイちゃんは室内ではオムツをあてています。
「カフェダムは、さながら老犬カフェになってるの」と、麻里子さんは優しく笑います。
この秋に再開したカフェの売り上げが、犬猫たちのご飯代となります。
冬支度を始めた里山の樹々を眺めながらいただいた、自家栽培の野菜もオムレツもとってもおいしい!
老犬たち(ハッピー20歳、カナ19歳、アイ15歳、サブ13歳)は、麻里子さんご夫妻の自室で、仲良く並んで暖かく夜を過ごすそうです。猫たちも時々仲間入り。
おーい、屋根の上のしのちゃん。下りておいで。もうみんなおうちの中に入っって、晩ごはん食べてるよ~!
これから、里山に寒い冬がやってきますが、仲間たちみんなで仲良く元気にすごして、新しい年を迎えようね。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫は奇跡』
"ふつうの猫"たちが起こした奇跡の実話17選
『
猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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