ミリちゃんは、生後半年の女の子。
きりりと思慮深い目を持ったミケジョです。
photo by homeforpaws
性格はいたって温厚。
「おとなしい女の子を迎えたい」との希望で、家猫に迎えられてまだ2週間です。
お外生まれのミリちゃんは、去年9月まで、とある農家の広い敷地内で暮らしていました。そのおうちのおじいちゃまが、ご飯を与えて居ついてしまったノラ猫2匹が、去年春にそれぞれ子猫たちを出産したのです。そのため、庭は、共同保育園のようなにぎやかさでした。
「このままうちに置くわけにはいかない」という考えのご家族から相談されて、個人で保護活動を続ける女性二人が、居場所がなくなる猫たちの一斉保護に入ったのは、去年9月のこと。そのひとりは、以前ご自宅シェルターを取材させていただいたことのある紗由里さんでした。
(その時の記事は、コチラ →
野犬の子のシェルター、ボスは元捨て猫「コタロウ」 子犬と遊び、時には眼力でしつけ)
私も、9月の一斉保護現場に立ち合わせてもらいました。すぐ近くまでは来るけれどけっして触らせない猫たちの捕獲は、一日では終わらないとも思えましたが、その日のうちにうら若い母猫2匹と子猫10匹を捕獲。まずはネットで、最終手段は捕獲器という手慣れた捕獲の技に目を見張りました。
12匹全員保護できてやれやれという時に、ハプニングが!
ふだんはめったに現れないという、子猫たちの父親である顔デカのノラくんが、家族が見知らぬ人間どもに拉致されるただならぬ気配を察したのでしょう、庭をウロウロし始めます。そして、なんと、自分から捕獲器の中に入ったのです。
保護を引き受けた紗由里さんたちは、「この際、父さんも譲渡につなげよう!」と、思い切った決断をしました。ふつうは譲渡至難のバリバリのおとなノラだけど、なんだか愛嬌があって、きっと「迎えたい!」と思う人が現れるはず、と。
この日、保護された13匹は、捕獲を手がけたふたりの自宅預かりで、二つの母子組に分かれて譲渡先を探すことに。
野犬の子たちの個人シェルターをご自宅に持ち、すっかり人馴れした後に譲渡につなげてきた紗由里さんのおうちには、「ムーン」と名付けられた顔デカ父さんと、テト母さんと、その子供たちが集合。
photo by homeforpaws
シェルターでおくつろぎのムーン父さんとテト母さん。
photo by homeforpaws
うら若きテト母さんは、目ヂカラのある美人さんです。
photo by homeforpaws
ムーン父さんも、大猫好きにはたまらない風格です。
photo by homeforpaws
長毛オウジロウを初め、先住保護猫たちともすっかり仲良くなりました。
photo by homeforpaws
左真ん中の長毛さんが、シェルター長のコタロウくんです。コタロウくんは、どんな猫が来ても受け入れ、みごとな家猫教育をして送り出します。
外暮らしの長かったムーン父さんも子どもたちも、どんどん人馴れ犬馴れ猫馴れして円満なお顔になっていきました。
紗由里さんは言います。「毎日毎日、可愛いねって言ってると、猫たちの顔つき目つきがどんどん可愛くなるんです。言霊のチカラだと思います」
さて、年が変わり、ムーンファミリーの人馴れも進んで、もらわれていく子も出始めた新年早々。
私のもとにメールが届きました。
「もしまた猫を迎える気持ちになったら、連絡してねって言ってたわよね? 紹介してもらえるかしら」
6年前の当ブログで「リラちゃんの18年」という記事を書かせてもらった敦子さんからでした。
(リラちゃんの記事はコチラ →
リラちゃんの18年 )
おととし、リラちゃんが21歳のご長寿でしあわせな猫生を終えたことを聞かされていた私は、さりげなく声をかけておいたのでした。声をかけたとき、敦子さんは自分たち夫婦の年齢を考え、猫はもう飼わないというお気持ちでした。が、3世代同居の孫娘たちから「猫たちは最後まで私たちが面倒を見るから、佐竹さんに連絡して!」の猛アピール。敦子さん夫妻には持病もあるので「おとなしい女の子がいるなら」という申し出でした。
「います、います!」
すぐに紗由里さんに連絡。正月の鼓のように、打てば響く答え。
「それなら、メメちゃんですね」
photo by homeforpaws
メメちゃんは、ムーン・テト夫妻の子どもたちの中でも、控えめでおとなしく、誰とも仲良くなれるしひとり遊びも好きなおっとり温厚な女の子でした。
かくして、メメちゃんは、敦子さんちに迎えられ、「ミリ」と言う新しい名をもらいました。名付け親は孫娘さん。ハワイ語で、「愛おしい」「小さくて可愛い」という意味なのですって。
photo by atsuko
お届けの夜は、レコードボックスの下に籠城してしまったミリちゃんでしたが、レコードを全部取り出して毛糸玉で釣ったら出てきたそうです。
譲渡からちょうど2週間たった昨日、会いに行きましたが、またもや家具の後ろに隠れられてしまいました。
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少しずつ、すこしずつ馴れてきて、ふだんは湯たんぽをくるんだミニ毛布が敷いてあるミリちゃん特別椅子がお気に入り。ご飯もしっかり何でも食べます。
帰宅したもご娘さんたちの第一声は「ミリちゃん、どこ?」
今は、敦子さんご夫妻の暮らす1階住まいですが、遠からず、孫娘さんたちのいる2階にもトコトコ上っていくことでしょう。
この次来るときは、くつろいだ写真が撮れるかな。
子ども時代を父さん母さんきょうだいたちと共ににぎやかに過ごし、これからは、敦子さんちの愛され末っ子に。家族みんなから「ミリちゃん」「可愛いね」と毎日、言霊を浴び続ける日々が続きます。
ミリちゃんの兄妹たちも、どんどんおうちが決まっているそうだよ!
みんなみんな、うんと幸せになあれ!
ムーン父さんもテト母さんも、譲渡先募集中です! 気になる方は、home for paws のHP(
こちらから)をぜひご覧ください。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
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『
猫は奇跡』
"ふつうの猫"たちが起こした奇跡の実話17選
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『
猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを
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『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
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『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
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『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
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『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
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『
いつもそばにいる猫』
描き下ろし猫スタンプが登場。猫たちがあなたのトークルームに寄り添います!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
Instagram
猫一匹飼うだけでも大変なのに、一度に13匹も保護し世話を始めるなんて想像も出来ない。猫鈴なりのhome for pawsのシェルターを見るとそのすごさがわかる。猫、犬の個性は様々で、写真を見てその性格を思い浮かべるだけでも楽しいけれど、当事者の愛情とご苦労は忘れてはならない。猫達のために、これからも宜しくお願い致します。
by Y.M 2025-01-28 16:30
ムーン父さん、いいお家に行けるといいですね。
お名前と体つきがピッタリです!
ミリちゃんも程なく慣れることでしょう。おうちの方に「可愛い可愛い」と言って貰えて、本当に良かった。今回保護してくださった全員が幸せになれますように。
by ちぃ 2025-01-29 20:20
ミリちゃん自立心の強そう、流石は三毛猫!
家族の一大事、自ら捕獲機に入るなんていい漢、ムーン父さん。
(以前当ブログで拝読した「顔でかナッツ」くんのようにとても可愛らしいです)
家族みんなで幸せになれるといいですね。
by ヤンヤン 2025-01-30 05:46
13匹の野良ちゃんを1日で捕獲するなんて、プロですね~!
母子一緒に保護してもらえて、ほんとうによかったです。
そして家族が心配で様子を見に来たムーン父さん、立派です!(^^)!
ビックリお目めにデカい顔、ぶっとい足。
確かに愛嬌たっぷり(^^♪
私も、このタイプには弱いです。
で、可愛いミリちゃんも敦子さんのおうちなら幸せ確定ですね!
佐竹さん、甘えんぼになったミリちゃんのレポート、またいつかお願いします♪
by ぴっころ 2025-01-30 15:16
>Y・Mさん
ほんとうに13匹一斉保護・・・猫愛だけでなく、胆力と覚悟が要りますよね。
現場の方々にはただただ頭が下がります。
by 道ばた猫 2025-02-07 15:10
>ちぃさん
ムーン父さん…この手の猫さんには、コアなファンがいるはず(笑)。
おうちが見つかったときには、きっと記事にしますね~~。
by 道ばた猫 2025-02-07 15:12
>ヤンヤンさん
顔の大きいオトコは(猫の場合(笑))、いろいろギャップがあることが多くて、魅力的。
そうそうナッツ君もそうでした!
by 道ばた猫 2025-02-07 15:15
>ぴっころさん
つぎつぎと、ムーン夫妻の子たちがしあわせに旅立っています。
間が空くかもしれませんが、つぎつぎと追っていきたいと思います~。
by 道ばた猫 2025-02-07 15:17