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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2025年04月29日

青い瞳のリリア

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もうすぐ5月。
満開のモッコウバラの前で空を見上げる「りーちゃん」ことリリアちゃんの瞳は、どんな澄みきった空よりも湖よりも綺麗な青い色です。

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「この猫さんを取材しませんか」と、地道な保護猫活動をしている方から紹介していただいたとき、その目の美しさに息をのみ、すぐに会いに行きました。

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りーちゃんの飼い主さんの有砂(ありさ)さんは、千葉県松戸市でお母様が経営なさる「放課後等デイサービスありす」「生活介護ありすの家」のスタッフ介護士として働いています。デイサービスありすでは、軽度から重度までの障がいがある18歳未満の子ども・若者たちが通っています。自閉症のお子さんもいます。

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りーちゃんは、有砂さんと一緒に出勤してくる日が多く、ありすの利用者さんやスタッフたちの笑顔の真ん中で過ごしています。そう、青い瞳のりーちゃんは、みんなのアイドル! 有砂さんは、もともと2匹の姉妹猫と暮らしていました。NPO法人「にゃん2」から迎えた保護猫姉妹、キジ白の「ジュリア」と茶トラの「マリア」です。
昨年6月のある日、いつも見ている「にゃん2」さんのブログに、1匹の猫が保護されたことが載っていました。
青い瞳のその猫は、それまでずっと一緒だった母猫と離れ、ガリガリで動けなくなっているところを保護された生後8カ月の子でした。農家の庭に居ついてご飯をもらっているノラの白猫母さんは、警戒心がとても強く、捕獲して手術ができずにいました。保護された子猫は、生まれつき首から下は麻痺していて、麻痺が進み、それまでは首根っこをくわえて運んでいたノラ母さんが運びきれなくなり子離れしたものと思われます。
有砂さんは、運命を感じます。「この子を迎えなきゃ」

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すぐに、にゃん2の預かりボランティアさんの家に会いに行きました。
この先、医療費がかかる事態になっても大丈夫なのか、圧迫排尿などのお世話が毎日できるかなど、しっかり念を押されての迎え入れでした。

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りーちゃんがやってきた日。
先住の2匹からは「シャ~」の洗礼を。

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お母さんの愛情がりーちゃんに向かっているようで、ちょっと不満げな姉妹。でも、お母さんは3匹とも大事ということがわかったのか、動けない妹をなんとか少しずつ受け入れるようになっていきました。
有砂さんが、りーちゃんに運命を感じたのには、こんなわけがありました。
「私には、6歳年下で肢体の不自由な弟がいたんです。母が、この事業を始めたきっかけも、障がいを持つ子を預けられるデイサービス施設が当時どこにもなかったから。りーちゃんの写真を見たとき、まるで亡くなった弟に会えた気がしました」

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圧迫排尿を続けていたりーちゃんですが、今は自力で排尿できているそうです。ベビーカーに乗せて、りーちゃんに負担のない範囲でのお出かけも楽しみます。
体温調節ができないので、寒さに弱く、寒い日の洋服や毛布は必須です。
「りーは、目でお返事するんです。『行く?』って聞くと、まばたきして『行く』って。気分が乗らないときは『うーん』って感じです。この前、しばらくお出かけしてなかった後に『お出かけする?』って聞いたら、パチパチパチパチって瞬きして『行く行く行く‼』って(笑)」

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りーちゃんは、有砂さんと一緒に仕事場に出勤するのも大好き。
利用者さんたちが、お庭で楽しそうに遊んでいるのを眺めるのがお気に入りです。
利用者のみんなに抱っこされたり撫でられたり、いつも周りをニコニコさせています。
りーちゃんが来ない日は、「りーちゃんは?」「どうしてりーちゃんいないの」と、みんながブーイング。
おうちでお留守番の日は、不登校でおうちにいる有砂さんの息子さんが、面倒を見てくれます。

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ありすスタッフ看護師で猫好きの日暮(ひぐらし)さん(右)と、有砂さんの保護猫活動仲間で今回りーちゃんを紹介してくださった中港さん(左)。
「猫って、いろんな人を不思議な縁で結び付けてくれますねぇ」と、取材時に語り合ったことでした。

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弟さんの面影を宿すりーちゃんがここにやってきたのも、きっと必然的な運命だった気がします。
ありすのモットーは、どんな命もそれぞれに個性的で、平等に輝き、日々の中に喜びを見出して生きることができますように。
りーちゃんの、美しい青い瞳は、そのことをそっと教えてくれているようです。

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有砂さんのキッチンカー「リリーズコットンキャンディー」号は、イベント会場などで、ときどき綿あめ販売をしています。そのイメージモデルは、天翔けるりーちゃん。

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「りーは可愛くて可愛くて。弟がいてお世話していたときと同じです」
そう言って微笑む有砂さんには、いつか保護猫カフェを開きたという夢があります。
空から舞い降りた天使のようなりーちゃん、これからも周りの人たちを笑顔にして、いろんな縁を結んでね!!

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「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。

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道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

リリアちゃん、その澄んだ瞳は天使そのもの。瞳の中の模様は、青空を駆ける蝶々のようにも見える。全ての写真から、リリアちゃんを囲む皆様方とニャンコ達の深い愛情が伝わってくる。皆様お元気にお幸せに。

by Y.M 2025-04-29 15:38

こんなに綺麗な瞳を見たことがありません。まるで宝石!赤ちゃんの澄んだ瞳とも少し違う。
リリアちゃんの存在が、利用者の方々に笑顔を届けているんですね。
リリアちゃん、これからもその美しい瞳で色々な景色を見てね。

by ちぃ 2025-04-29 21:11

リリアちゃん、なんて可愛らしい瞳!
毛色は違いますがさっちゃんのことを思い出しました。
迎えてくれる先住猫、有砂さんや皆さんがいれば不便なことなんて何もないのですね。
弟さんの面影を宿す猫さんを派遣なんて、神様も粋なことをなさります。

by ヤンヤン 2025-05-05 06:37

>Y.Mさん

青空を翔ける蝶々! 見直しましたら、ほんとうにそうですね!
やっぱりリリアちゃんは空からの天使なのでしょう。

by 道ばた猫 2025-05-07 15:53

>ちぃさん

今まで見た中で、一番青い瞳でした!
こんな瞳があるんだと息をのむほど。きっといろんな方の笑顔のもとになると思います。

by 道ばた猫 2025-05-07 15:55

>ヤンヤンさん

さっちゃんの面影を宿す猫さんに会うと、懐かしいやらうれしいやら、ずっと元気でと願わずにはいられません!!

by 道ばた猫 2025-05-12 15:56