このコンビのことを、皆さんは覚えていらっしゃいますか?
そう、右がながれ爺さま、左が春吉です。
ふたりのこれまでは、
2021年10月の当ブログにてご紹介しました。
当時、ながれは24歳。なんと21年もの外猫生活から足を洗って、カフェ「きゃっとている」さんのあたたかい保護部屋に迎えられていたのでした。
そこへあとから参入したのが、飼い主のおばあちゃまを亡くし、行き場のなかった猫エイズキャリアの春吉。
ふたりは、最初は大部屋半分半分の隔離生活でしたが、いつしかワイヤー柵越しに友情をはぐくみ、、同居を始めました。
年の差15歳でしたが、マイペースでひょうひょうと暮らす老猫と、穏やかで優しいキャリア猫は、とてもいいルームメイトとなりました。
保護部屋は、日当たりのいい通りに面したガラス張りなので、親子連れや小学生たちものぞいていきます。長いこと、地域猫のお世話や外猫の保護譲渡を続けているカフェのますみさん・美樹さん母娘は、こんな張り紙で、子どもたちに「いろんな境遇の猫がいるんだよ」と知らせています。
ながれ爺さまの楽しみは、春吉に寄りかかって日向ぼっこをすること。
春吉の楽しみは、地域猫のもみじちゃんの訪問。もみじちゃんは、キャットテイルさんのおうちの裏に至れりつくせりのねぐらを作ってもらって、地域猫として気ままに過ごすのが性に合っている自由猫です。いまだに触らせないつわものです。
そんな平穏な春吉の暮らしが、ある日、変わりました。
2022年11月末、ながれ爺様は、24歳と178日で、天国へ。安らかな最後でした。春吉は、最後の日まで、老いた友の傍らに寄り添い続けました。
その後の春吉はどうしているのでしょうか。
久しぶりにキャットテイルさんに行ってみると、ちょっと渋さを増した春吉くんが、元気そうに暮らしていました。
ながれ爺さまが旅立った後は、匂いを嗅いで、しばらく探し回っていたそうです。そして、甘えん坊度が増したとか。
ますみさんは、もみじに「春吉くんと一緒に暮らしませんか」と誘ってみたのですが、「遠慮します。ブッシャア~!」がお返事だったとか。
でも、春吉ひとりぼっちになった保護部屋に、すぐにまたまた変化が。
「あんこ」という熟年ワケアリ雌猫さんが預かり猫としてやってきたのです。
なんと、その子は、偶然にも、ながれ爺様によく似ていました。
尻尾が縞々なのが違いますが、お顔はそっくり。
あんこは、おそらく何らかの事情で飼い主によりセンターに持ち込まれた、おとな猫4匹のうちの1匹でした。ボランティアの方に4匹ともども引き出され、その後、2匹づつ預かりボランティア宅に移りました。
ところがあんこは、先住預かり猫も多い家で暮らすのが、とてもストレスとなる様子。
そこで、ちょうどながれ爺さまを見送ったますみさんが預かりを申し出たのでした。
穏やかな春吉となら、同居も大丈夫と見てのことでした。
あんこちゃんを初めて見た、春吉、目が点になります。
「あそこにいるのは、いなくなってしまったながれ爺さまによく似ているけど......若返って戻ってきた??」
気になって気になって仕方がないセパレーツ生活をクリアして、同居開始。
マイペースのあんこと、懐の大きな春吉。相性はと言うと......。
ほら、この通り。またもや、座布団にされています。
美樹さんによると、新コンビも、主導権はあんこにあるようで。
あんこちゃん、自分から春吉の寝ている場所に割り込んでいくくせに、春吉が割り込んでくると怒るのだとか(笑)
彼女は口内炎で、ときどき痛そうにします。そんな時、春吉は「どうした、大丈夫か」と心配そうにそわそわします。
先日、あんこは、口内炎治療の抜歯手術で、ひと晩入院したのですが、春吉は、何度も何度もカラの寝床をのぞきに行って、落ち着かなかったとか。
ふたりの日向ぼっこの写真を見せながら、美樹さんがこんなおかしいエピソードを話してくれました。
春吉は相変わらず、地域猫のもみじが好きで、彼女が現れるとガラス越しにじっと見つめに行きます。
すると、すかさずスタスタとあんこが寄ってきて春吉の隣に寄り添うのだそうです(笑)。
そして、春吉にくっついて眠るあんこちゃんの脇腹に、ハート模様が!
春吉とあんこ。縁あって、新ルームメイトとなったふたりは、それぞれ譲渡先を募集中です。
(猫エイズは、咬み合いのケンカでもしない限り、他の猫にはうつりません。ストレスのない暮らしで、ノンキャリア猫と同じくらいの寿命を全うできます)
ここでの日々と同じように、のんびり過ごせるおうちが見つかるといいね。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
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道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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ながれ爺様は外猫生活が長かったとはいえ、大人の渋い雰囲気の春吉に静かに見守られて天国へ、さぞかし幸せな気持ちで一杯だったことだろう。あんこは、また、ながれ爺様にそっくり。甘え方まで似ている。譲渡先募集中というけれど、この熟年ペアがずっと続くことを祈りたい。
by Y.M 2024-02-06 13:28
春吉くんはなんでもうけいれ、何色にも染まる「空(くう)」の境地にある猫さんとみました。さすらいのながれ爺も、わけありあんこちゃんも、春吉くんを座布団にできちゃうんですね。そして窓越しに、孤高のもみじちゃんも惹きつけてしまう。見習いたい器の大きさです。
by ムヨク 2024-02-06 16:33
ながれ爺さま、お空に帰ったのですね。
寂しがる春吉くんにまた素敵な出会いが。歳を重ねるというのも満更ではありませんね。
春吉くん、あんこちゃんにずっとのおうちが見つかってほしいです。
by ヤンヤン 2024-02-07 10:58
春吉くん、なんて優しくて素敵なネコさんなんでしょう!
あんこちゃん達も、きっと春吉くんの懐の深さが心地いいんでしょうね~(*^-^*)
春吉くん、こう見えて、もうすでに、あんこちゃんのハートを盗んでいるかも…(笑)
そして、通りがかりの人から見える保護部屋いいですね!
エピソードの張り紙も愛にあふれています(=^・^=)
地域の方たちの保護活動への理解も自然に深まりそう。
どうか春吉くんや、あんこちゃんに素敵なご縁がありますように・・・!
by ぴっころ 2024-02-07 15:57
春吉くん、新しいお友達が来てくれて良かったね~
寄りかかる姿が、微笑ましいです。人の生き方が様々な様に、猫さん達の生き方も様々。それでも、心穏やかで安心できる場所があることは、どんなにか幸せなことでしょう。そこに仲間がいれば、なお、嬉しいことです。
by ちぃ 2024-02-07 18:46
凄く可愛い💠ですねー❤️心が癒されますねー😃
by 原田典子 2024-02-08 06:20
ながれ爺さま、24歳の猫生立派ですね!!そしてあんこちゃん!!ハートをつけて来るべきして春吉くんのところに来たかのような子ですね。2匹の様子は心が癒されます。猫の世界って人間よりうんと尊いのだろうなぁ…と思ってしまいます。素敵なお話を今回もありがとうございます!
by とも 2024-02-09 07:43
なんてステキなますみさん宅❤ 春吉君、あんこちゃんとルームメートになれて良かったね♫
かわいい❤模様。2匹一緒のずっとのおうちがみつかるといいな♫
by ruineko 2024-02-12 17:48
>Y.Mさん
このままこのカップルを続けてほしいような、それぞれずっとのおうちを見つけてほしいような。一緒のおうちが見つかればこの上ないですけどね。
by 道ばた猫 2024-02-14 09:49
>ムヨクさん
こういうオトコ、少なくなりましたよね(笑)。
春吉くんは、怒ったお顔を見せたことがないそうです。ナイスガイ。
by 道ばた猫 2024-02-14 09:51
>ヤンヤンさん
猫さんたちにも、人と同じく、別れや出逢いを繰り返して生きているのですよね。
すべてを受容して、えらいなあ~~。
by 道ばた猫 2024-02-14 09:54
>ぴっころさん
保護譲渡活動や地域猫活動は、こんなふうに地域に見える形で理解を広げていくのが素敵ですね。
貼り紙の言葉も、愛がいっぱいです。
by 道ばた猫 2024-02-14 09:56
>ちぃさん
子どもの頃、「猫たちは、どんな猫生を送ったか、だれにも言えずに死んでいくんだ」と思っていました。
いろんなドラマがあることを伝える仕事を持ててしあわせです。
by 道ばた猫 2024-02-14 09:59
>原田典子さん
ね、最高に可愛い風景ですよね、
猫が安心しきっている風景が、私も一番好きです。
by 道ばた猫 2024-02-14 10:01
>ともさん
はい、取材すればするほど、ニンゲンが敵わない自然体の思いやりを持った彼ら、尊いなあと思うこと多々です。
by 道ばた猫 2024-02-14 10:06
>ruinekoさん
猫って、相手のしてきた苦労を瞬時に嗅ぎ分けるのではないかなあと、最近思います。
人は言葉の使い方に、経験が出るような……。
by 道ばた猫 2024-02-14 10:09
ながれ爺さま 24歳 も生きたなんてすごいですね!!私の買っていたねこさんは20歳で天国へ行きました。
ながれ爺さまと春吉くんは最高のコンビだね!!
by とと 2024-03-09 18:44